2024/08/09(金)
ホームセンターのペットコーナーに足を運んだのは、十何年か前に妻がメダカを世話していた時以来かもしれない。結局、あのメダカの飼育で妻が関わったのは水槽の立ち上げまでで、それ以降すべてのメダカが死滅するまでの面倒は私が見ていたのだったか。
妻はなんにでも興味を持つ強い好奇心の持ち主だったが、その継続性と責任感については反比例のグラフを描くような女だった。猫の様とでもいえば格好はつくだろうか。あれでよく子育てなどできたものだと思うが、それでも三男三女を自立するまでちゃんと育て上げたのだから大したものだ。
思えば、ああも奔放な志向が強くなったのは末の三男が独り立ちした後のことであったやも知れない。現役時代の私は仕事人間で、家のことは妻に任せきりであったから、その揺り戻しであったのやも。今更思いを馳せても、詮無きことではあるか。
さて、宇宙戦艦の飼育グッズというのも多岐に渡るようで、いろいろ目移りした。艦種によって飼育方法にも若干の違いがあるようで、恥を忍んで店員に教えを乞うなどする。驚いたのは、その時つかまえた店員がメダカの時にさんざん教えを乞うた店員その人だったことか。もう十数年は昔のことになるのに、少し話すだけですぐに分かった。あの頃青年だった彼はすっかり中年になっていた。さすがに向こうは私のことなど覚えていなかったであろうが、昔と変わらず懇切丁寧に教えてくれてとても感謝している。
将来的な艦隊編成を見越してひとまずは大きめのドライドックと餌を購入してきた。餌は一番いい反物質を選んだ。そこそこの出費だったが、なに、どうせ使い道のなかった金だ。
帰宅してみると、宇宙戦艦はせっせとパルスレーザー砲で羽虫を撃墜していた。うん、害虫対策にもいいかもしれない。しかしちゃんと躾けないといつか火事を起こしかねない。本屋でそのたぐいの本を見繕って来ればよかったか。
ドライドックは明日組み立てるとして、まずは反物質を与えてみた。ピコピコと発光信号を打って喜ぶ様には、少しほっこりした。