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第7話 <ある不幸な竜の日々:1>

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※異世界2日目

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怒りつかれて寝てしまったらしい。起きたら太陽は真上にあった。

湖で顔を洗ったら額にポコッとこぶが出来ている。どっかにぶつけたかな??私は痛みもないのであまり気にしなかった。

それにしても空腹だ。

しくしく、ひもじいよぅ。お腹が空いて力が出ないー。結局1日以上まともに食べてないのだ。それも当たり前だろう。

チロリと横目で渡された本の存在を確認する。業腹だが私は生きねばならない。渋々私は1ページ目を開いた。

タマの書いた本は章ごとに整理されていた。3章構成で、

1章はドラゴンの心得。

2章はドラゴンの生活。

3章はドラゴン生活をより楽しむために。

とりあえず2章を見よう。幸い食べ物に関する記述はすぐに見つかった。


『ドラゴンは基本的に雑食です。中でも神竜であるあなたはなんでもいけます。気をつけなければならないのは毒や害のある成分をもつものだけです。あなたの今いる”箱庭”はその世界のミニチュア版の世界、It's a Small Worldです。ですから有害成分を含む動植物が仲良くたくさん住んで居ます。気をつけましょう』


だからなんだ。気をつけなきゃならないのは毒リンゴもどきで身にしみた。

私が知りたいのはもっと有益な情報である。私は読み進めた。


『次にこれら有害な成分を持つ動植物の見分け方です。たいていの動植物は警戒色といわれる毒々しい色合いをしてますが、中には警戒色を持たない種類も生息しています。ですから無理です。多種類に及ぶ該当動植物を見分けられる頃にはあなたはおばあさんになってしまいます。だから私はあなたに一つ提案しましょう』


確かに覚えるまでには長い時間がかかりそうだが、無理といわれると反発したくなる。私はページをめくった。


『焼いて食え』


私は思わず本を握り締め一文を凝視した。

親切のつもりか下手糞なイラストで尻尾で獲物を焼いている笑顔の竜?が描かれている。すごく小さい字で『焼けば君の能力の影響で全て無毒化!珍品からゲテモノまで魅惑のグルメを君に!』とおざなりに書かれている。パースの狂った竜らしきイラストのへラリとした笑みが奴を髣髴とさせた。

ビリリ。グシャグシャグシャ。ボゥ!

私はそのページを破り捨てこの世から抹消した。絶対奴が面倒くさくて後付した能力だ。これが毒でこれが安全で~とか一々説明するのが嫌で丸投げしやがったな!

昨日の麻痺事件も奴がミスリードしたのを確信する。焼けばいいなら一言で済む。毒があると教えるんだって一言で済む。奴はわざと言わないで面白がって見てたに違いない。

『ちょっと試す位いいんじゃない?』なんて遠まわしな言い方で自分に非がないよう立ち回りつつ私を煽ってる辺り、奴の曲がった性根が現れてるではないか。

むしろ巧妙に誘導して私にアレを食べさせたかったんじゃないか?説明の後怒り狂うと思われる私を拘束しなきゃなんないのが面倒だとかの理由で。

ぬおおおー!!ムカツク!!奴は性格最悪なくせにかなり頭が回る。なんであんなのが神なんだ!!上司はいないのか?!

怒りと空腹でゼイゼイしながら私は立ち上がった。腹を満たしたら覚えていろ。末代まで祟ってやる!

私は昨日見つけた毒リンゴを丁寧に焼きながら自分の不幸を噛み締めた。

尻尾の炎が燃え盛り、リンゴは程なく焼きあがったのであった。


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※異世界3日目

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とりあえず、焼けば問題ないのは本当らしい。

あの後やけ食いに走った私は、いまだ胃が重く朝食は無理。入らない。

目に付く木の実は取りつくしたので、どこかで調達しないと。

それにしてもなんでも焼いて食べるのはすぐ飽きるね。味に変化がないのが辛い。昨日は自棄だったから無理やり詰め込んで食べたけど、ああ、塩。塩気が恋しい。


運動と探索がてら湖の周囲を歩く。この湖は淡水で魚もいるようだ。どうやって魚捕ろうかな。なんか方法を考えよう。

動物に何回か出会うが、みんな地球の動物とはちょっとづつ違う感じだった。

鹿っぽいのに羽があったり、兎っぽいのに尻尾がネズミだったり。衝撃的だったのはハイエナみたいな群れが水を飲みに来てたんだけど頭が2つあるの!もう一つあったらケルベロスだよ!すんごく驚いた。

ああ、スライムみたいのもいたな。デカくてクラゲみたいな形でなめくじみたいにヌラヌラした見た目の。気持ち悪いのに目が離せなくて困った。ゲームでいえば敵モンスターだよね?怖いモンスターもいるんだろうなぁ・・・。うう、出会いませんように!

そんな見た目の動物や魔物を食べてみようとは思わないんだけど、魚なら見た目的にもなんとかいけるかも。夕食にどうだろう?


私は考えたすえ、木の蔓でザルを作ろうとした。

爪で蔓を切ってちまちま重ねて編んでいく。なるべく隙間がないように。爪が引っかかって途中蔓が切れてしまい何度も泣きながら作業するが、結局ザル作りは無理だった。気を抜くと切れるんだもん!こんなの扱って魚掬おうとしたって途中で穴が開くのがオチだ。

なんてこったい。大ざっぱな作業は楽チンだけど細かい作業がこんなに難しいなんて。

私の夕食は散歩中集めたゆずみたいな木の実になった。また焼き木の実。このゆずもどきは強烈に酸っぱくて美味しくなかった。


その夜、湖で水浴びしてたら水中で自然に動いてた尻尾にぶつかって魚が浮かんできた。

・・・昼間の苦労はなんだったのだろう?正直泣きたい。

私は肉弾戦で魚を捕ることを覚えたのだった。


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※異世界5日目

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水も食料もなんとかなる。昨夜から寝床は落ち葉や枝を拾い集め、ワサワサ茂った木を上部でクロスさせて作った。これで雨はしのげる。あまりにも簡単に作業が進んで、こういうのは大きいとやはり便利だよなぁと思い直した。

この湖のほとりが私の生活の拠点だ。

暑さ寒さも鱗である程度守られるようだし服はなくても問題ない。ここの気候は過ごしやすいしね。

水浴びもし放題で水温に冷たさは感じなかった。

少しづつ生活の基盤が整ってくると、もっとここの世界のことが知りたくなってくる。

タマのあの言い分だと私はこの世界でしばらく過ごさねばならない。ならば自分の生活する場所の情報は欲しいではないか。

この世界の人間にも会ってみたい。

もちろん言葉もわからないし、そもそもグルルとしか鳴けない私では会話が成立するとは思えない。

だけどボディランゲージでいいからコミュニケーションを取りたいのだ。

4日間タマ以外に私が話した相手は居ない。ぶっちゃけ寂しいんだ。


朝ごはんにヤシみたいな木の実を焼いて食べると私は探検に出発した。硬いものでも焼けば豆腐のように食べれるんだから私ってデタラメだよねぇ。

目指すは湖の東、遠くに見える別の水場。なんか波みたいのが見えるから海みたいで気になってたんだ。

もし海だったら、待望の塩が!確か沸騰させて水分飛ばせば塩が残るよね?

竜の体を動かすのにも大分慣れてきた。慣れれば歩いてて尻尾を木にぶつけることもなくなった。人間は成長するのだ。

私は5mほどの巨体にも関わらず軽やかに動けた。

なんだろう?普通にしてると体重をあまり感じないんだ。麻痺したときにはあんなに体が重く感じたのになぁ。不思議だよね、ほら!今だって足音がしない。

首をひねりながら歩くこと30分。ようやく水場に到着した。


水場は水平線がむこうに見えるほど広くどこから見ても海にしか見えない。強い潮の匂いがする。波打ち際はサラサラとした白銀の砂で覆われていた。

ちゃぽっと足を浸す。波が寄せては返し足元の砂を崩していった。気持ちいい~・・・。

水を掬って舐めてみる。うん!海水に間違いないよね!!待望の塩分に私はニンマリとした。

とりあえず他にも食料になりそうなものを探すと海藻っぽいものとピンク色のこぶし大の貝を見つけた。ん~~食べてみるか。

拾ったものを大きな葉でつつみ蔓で結わえて羽に引っ掛ける。それぐらいの作業はなんとか出来た。

蜻蛉みたいな羽は柔らかいが付け根の方は硬いのでフックのように物をぶら下げるのに使っている。

翼の使い方が激しく間違ってるけど、高所恐怖症の私は飛ぶつもりがないから、何かで使わないともったいないではないか。いい所に6箇所もあるんだからさ。

私のそんな思考は亜里沙に「おばちゃん臭いからやめれ!」とよく言われていたっけ。

亜里沙元気かな・・・私いなくなって探してくれてるかな?


向こうを思い出して沈んでいても仕方ない。それより作業だ!

私は気持ちを切り替えると塩作りに取り掛かった。

ん、まてよ?鍋なんてないよな??どうやって海水を蒸発させよう??

しばし悩んで私は砂浜に穴を掘ることにした。さっさと穴を掘るとその中に海水を引き入れる。地に染み込んで水量はドンドン減っていくから効率がいいとは言えないがしょうがない。私は水の溜まった穴に急いで尻尾を入れた。

数日煮炊きをして、尻尾の火力調整は出来るようになったんだ、エヘン!火力を上げようと意識をすれば、尻尾は応じてくれる。水の中に熱く熱した石を入れると沸騰するのと同じ原理だ。

うんと火力を上げると一瞬で海水はボコボコ沸騰しだした。水の中でも炎の消えない尻尾は不思議だけど非常に重宝する。もう尻尾なしでは生きていけない。蛇に似てようがこいつは相棒だ。愛い奴なのだ。スリスリ頬ずりが出来るほど私は尻尾に慣れていた。本当に人間は成長するものだ。

ふんふんふん~~♪鼻歌を歌って塩の完成を待っていると、急に背後の波音が高くなった。

慌てて振り返ると私より大きな魚が牙の生えた口を開けこちらに迫っているではないか!!図鑑で見たシーラカンスそっくりだ。


「グアアァァルルルーー!!(ぎゃあぁぁぁぁぁーー!!)」


顔色は変わらないし悲鳴がまったく怖がってる様に聞こえないが、私としては顔面蒼白で絶叫したつもりだ。

今回レーザーは不発。絶体絶命のピンチである。どうしよう、このままじゃ食べられちゃう!!

私は無意識に自分の前で腕を交差させ身を守る姿勢をとった。羽や尻尾まで胴体に巻きつく。

魚の口の中へ飲み込まれた瞬間、尻尾の炎が急に輝きを増した。

え?!

白色の炎が体全体に広がるのを私は呆然と見ていた。

腕にも炎がまとわり付いてゆく。閉じていく魚の口を受け止めようと自然に動いた腕が魚の上あごに触った瞬間。ゴウ、と腕の炎が温度を上げた。

熱っ!!!と一瞬目を瞑ってしまった私だが、次に目を開けて驚愕した。

惰性で砂浜にスライディングしていくシーラカンス。その口の中にいた私もサーフィンのごとく砂浜を一緒に滑っていた。

外から見ればデカイそりに乗った竜だろう。だって巨大魚の上あごが完全に消失し空が見えてるんだから。

砂との摩擦でようやく動きを止めた巨大魚から私は振り落とされた。

体中砂まみれで口の中にも砂が入る。うえぇえ。

口の中の砂を掻きだしてから再び魚を見上げるが、上顎を失くした巨大シーラカンスはピクリとも動かなかった。

何が起こったんだろう??何かをしようとした覚えの無い私はホケーっと立ち尽くしていた。


『その世界にお前を害することが出来るものはいない。神子を俺が見捨てるわけがないだろう?』


優しげなタマの声が聞こえた気がした。


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※異世界6日目

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昨日はシーラカンスを焼いて食べた。

生き物を知らないうちに殺めてしまった。

塩気があって美味しかったけど、複雑な気持ちだ。

私は危険生物ではないのか?自分でコントロールできない力なんて欲しくなかった。


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※異世界8日目

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尻尾だけじゃなく鱗にも慣れた。見慣れればどうってことない。綺麗ではないか。

自分の存在に疑問を持ったが、どんな時にもお腹は空く。あれからずっと木の実や食べられそうな植物を食べてきた。

動物にも人にも無闇に会っては相手が危険だと自分を律してきたが、やはり寂しい。

タマでもいいから来ないかな?


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※異世界14日目

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突然タマが現れた。久しぶりに会話が出来る!

喜んで迎えた私は開口一番『バカ者』と言われた。なんでバカにバカと言われなければならないのか。

タマは偉そうにふんぞり返っていた。


『君は記憶力がないのか?僕は強くなるよう修行しろと言ったはずだよね?肉体は僕が強くしてあげた。だけど内面を鍛えるのは君の仕事だ。今まで考える時間をあげたのに、いつまでもウジウジグダグダと』


言いながら私のお腹をグリリと抓る。どこ触ってるんだ、セクハラ野郎!!おまけにものすごく痛い。

涙目でタマを払いのける。タマは私の顔まで浮かびあがると今度は両頬を引っ張り出した。微笑んでるんだろうな。阿修羅にしか見えないけど。


『僕は君に出来ないことを押し付けたりしない。君は相手を傷つけることを恐れてるけど、暴走するような危険な力を神である僕が本当に与えると思ってるのか?』

『だって、シーラカンスは私攻撃しようなんて思ってなかったのに!』

『君の命を守るため力が発動したんだ』

『だからってあんな危険な力なんて私っ!!』

『お前を守るのに必要な力だよ?』

『私、もういい。強くなくていいから!帰りたいよ!タマ、お願い』

『神にとって契約は神聖な誓い。もう俺にも違えようがないと前に話しただろう?誓いを破ることは神である自分を捨てることと同義。俺に神を辞めるつもりはない』


冷たいよ、タマ。勝手に連れてこられて勝手に姿を変えられて、訳もわからず契約させられた。私の意思はまるっと無視するの?

強くなりたいって思ったのはこんな風に過ごすためじゃない。

いつか帰れるって遠まわしでもあなたが言ったから、今日まで必死に生きてきた。だけどもう限界。両親に会いたい。亜里沙とバカ話したい。今なら啓介だって許してあげていい。大学だって中途半端で課題が山ほど残ってた。駅前のおしゃれなカフェだってまだ行ってない。行きつけの居酒屋の新メニューもまだ食べてないんだ。

こうしている間にも向こうの世界から私の居場所がなくなってゆく。怖い。この目でも見通せない真っ暗な闇が足元に広がって私を引き込もうと舌なめずりしてる。

いつか私は向こうのみんなに忘れ去られる。この世界でいつまでも一人ぼっち。ただ息をしてるだけの存在。死ぬときすら誰にも看取られない。

嫌だよ、タマ。どうして私をこんな目に合わせるの??

神社を壊しちゃったのは心から謝る。だからお願い。タマ、私を元の世界に・・・!


フワリとタマの温度のない手が私の口に当てられた。


『茉莉』


その温かい優しい響きに心の中で押さえていた感情が爆発した。

ポロロロロ。

泣けない筈の瞳から熱い水滴がポタポタ垂れた。虹色のしずくは鱗に当たって空に溶けてゆく。


『お前は我のただ1人の神子で”神竜”だ。この世界はすでに茉莉を受け入れお前を愛している。お前は1人ではないのだ』


流れ込む神気がまた額に集まる。温かい・・・ね、タマ。私かなり人肌が恋しかったみたい。抱きしめられてるようで心が落ち着く。

タマが私の頭をそっと撫でてくれた。撫でながらクスクス笑う意味がわからないけど、気持ちいいからジッとしてる。


『お前はまだ未熟な赤子だ。茉莉、お前が望めばその身のうちにある力は全てお前に従うだろう。逆にお前が拒めば力は反発する。この意味がわかるか?そのための”修行”なのだ。命を傷つけるのが怖いか?奪うのが怖いか?人間は傲慢だ。生き物は皆そこに在る様にして在るというのに』


タマの言葉が不思議な旋律を奏でて私の身の内に刻み込まれていく。

神気はなおも私に注がれた。


『泣くな、茉莉。お前はまだこの世界で何もしていないのだ。我の言うことに茉莉ならすぐ気づく』


タマは私の額に温かいものを押し当てるとそっと体を離した。

フヨフヨと漂うタマは以前見たものと変わらない。なのに私の目は発光する中心部に人の影のようなものを感じた。

見間違えかと私は目をこするがやはりタマの中に顔は見えないけど人影が見える。

ジッと人影を見つめる私に苦笑するとタマはベシっと私の額を叩いてきた。

『ボケるな、馬鹿者』

だからどっから手を出してるんだこの野郎。

夢から醒めるってこのことだ。あまりの痛みに悶絶する。

くそーーー!このドS神!!お前の馬鹿力でおでこ凹んだらどうしてくれるんだ!!

女に手を挙げるやつは碌な奴じゃないんだぞっ!アンタはもともと碌でもないけどねっ!!!


涙目で顔を上げると発光体が消えてゆくところだった。また逃げるのか!!逃がさん!!

怒りで光を握りつぶそうとした私に小首をかしげて顔の横で手を振るタマ。

今更可愛く振舞ったって中身はアレだ。あふれ出す下劣な品性は隠せない!

タマは大きな笑い声をあげると青い空に解けるように消えていった。


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※異世界15日目

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昨日は全く不覚だった。

考えるたび私は身もだえる。頭を抱え、一睡も出来ずクマができたかもしれない顔を隠す。20歳を過ぎると肌年齢が衰えるというのに何たることだ。竜の鱗年齢がどうなのかは知らないけどね。

私は孤独すぎて結構弱っておかしくなってたのだろう。あのタマにすがって泣くなんて、なんかの気の迷いに違いない。迂闊だった。

次に会うときどんな顔をすればいいのやら。おまけにあの野郎ひとにデ、デデコチューしやがったな?!ぬおお恥ずかしすぎて死ねる!あいつなんであんなことしたんだよっ!

ゴロゴロ地面を転がってみた。誰も居ないからいいんだもん。

そういや『あんたは図太いくせに変なところ純情なのよねぇ』そう言って亜里沙に呆れられたよなぁ。

だって啓介としか付き合ったことないし。男慣れしてないって言われたって、ねぇ?そういやタマって男でいいんだよな?男扱いずっとしてるけど本人から文句はないし間違いないはずだ。今度本人に確認してみよう。私は火照った顔でため息をついた。

ゴロゴロしてたらすっかり土と落ち葉だらけになってしまった。昨日入りそびれたし水浴びでもすっか。


私はポリポリ頭を掻くと湖に向かって歩き出した。

チャポチャポ入って何度も頭からもぐる。ふぅ~い。いい水だ。ここは名湯異世界の湯。せめて温泉気分に浸らせて欲しい。

そしてゆっくり浸かった私は見てしまったのだ。額の真ん中に嵌ったうずらの卵大の灰色の石を。ギョッとして慌てて爪で取ろうとするが、なんだ、この石!外れないっ!!5分ぐらい格闘しうっすら額から血が出たところで私はがっくり項垂れた。

ふっ。ふふふっ。こんなことをする奴を私は1人しか知らない。

頭の中に昨日のデコチューの光景がリアルに再現され、これか!とパズルのピースが嵌るように疑問が解けてゆく。


「グギャルル、グルアアァァルーー!!(あの野郎!またやりやがったなあぁ!!)」


にんまりと小憎らしいタマが高笑いしてる気がした。

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