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第3話 友達

ブクマ、高評価、☆、感想をよろしくお願いいたします。

私がこの世界に転生して、どれくらい経っただろうか。確か、100年とちょっとくらいだったはず。

私があの日助けたおじさんは、もう70年くらい前に亡くなった。

この手袋は手袋とは思えないほどの代物で、手につけてる感覚がない。もちろん、外すこともできるけど。

この100年近く、私は『爆破の魔女』として恐れられ…てはない。むしろ崇められてる。

町の人々が私の力を借りたい時、私はすぐに駆け付けて何かを爆破させてきた。

例えば、町長の恥ずかしい銅像だったり、特級呪物だったり…。


モンスターを倒す方法も、あの頃みたいなパンチとか危ないのはやめて、頭の中で、敵やその周りがどんな感じに爆破するかを連想するようにした。

そうすれば、自然に連想した通りに爆発してくれる。そんなチートの所為で、私は『爆破の魔女』と呼ばれるに至ったのだ。

ちなみに、私が今獲得しているスキルは、最初から持ってた『爆破』に加え、物を破損させるだけの『バースト』、爆破のダメージを上げる『爆破増強』、爆風による被害を防ぐ『爆風制御』。つまり、爆破系スキルしか持っていないのである。



そんな私のところに、珍しく客人が来た。私の家は町から数キロ離れたところにあり、滅多に誰かが来ることはないし、何かの用事で町の人々が私を呼び出す時は電話で来る。

魔女狩りとか、そういうイベントじゃなきゃいいけど…。

私がドアを開けると、そこにはオレンジ色とも茶色ともいえない髪と目の色をした、ツインテールの美少女が立っていた。

おお、某メイドみたいだな、目は違うけど。私が一番最初に思ったことはこれだ。

けど、ドラゴンをも屠ったことのある私だから言える。この娘、私が倒してきたありとあらゆるモンスターよりも強い。

まさか、魔王軍の幹部!?いや、そんな筈はない。

私は50年くらい前、勇者と王都に頼まれて魔王討伐に協力したことがある。

というか、部分的に手伝うのが物凄くメンドウだった私が幹部全員に魔王城へ引き返すように言い、城ごと大爆発させた。

今更魔王軍の残党が私のところへ復讐に来たと考えるのは妥当じゃないか。

とすれば、この美少女は一体?


「あなたが私の(あるじ)ですか?」

「…ん?どういうこと?」

「私は、誰かが100年間積み上げてきた爆破による魔力と、その爆破によって殺された生物、魔物の残滓によって生まれた上位魔人です」

「ちょっと待って!?100年間爆破を蓄積させたってだけの根拠で私のところに来たの!?確かに、間違ってないかもだけど、他にもいるかもしれないんだよ?」

「私は、その爆破によって発生した魔力に最も波形が合うので来たんです。それに、100年間爆破系スキルだけを使い続けた方の前例がいないので間違いありません」

「そ、そっか。じゃあ、とりあえず上がって」


私はその娘を招き入れた。いかにも強キャラっぽい服装をしいてるけど、やっぱりメイド服を着せたい衝動には抗い難い。


「それで、君の名前は?」

「私?私に名前は無いです。ずっと<爆>と呼ばれていたので」

「じゃあ、私が君に名前を付ければいいの?」

「嫌でなければ、お願いします」


そうだな…。<爆>、か。爆は英語でLOL、lolは(笑)と同じ感覚で使われる表現だから…。

笑う、いや、元になった“咲う”か。この漢字は“咲く”って読むのが一般的だし、日本語の表現が伝わるか分かんないけど(喋ってるのはコッチの言葉だし…)。


「じゃあ、君の名前はサキにしよう!」

「サキ、ですか?いい名前をありがとうございます!」


良かった…。気に入ってもらえた。っていうか、こんなに可愛く咲う女の子は初めて見たなぁ。


「私の名前はアマネ。よろしく。それでだけど、さっき私のことを主って呼んだけど、あれってどういうこと?」

「魔界では親子関係は主従関係なので。間接的であれ私を生み出したあなたは私の母親であり、主です」

「そうなんだ。それで、もしかしてここで一緒に住みたいの?」

「いいんですか!?ありがとうございます!」

「いや、まだいいとは言ってないけど…。それなら、1つ守ってほしいことがあるの」

「何ですか?」

「私はいつもこの手袋をしてるけど、間違ってもこれを外そうだなんて考えちゃいけないよ。手袋がないと、触れたどんなものも爆破させちゃうから」

「それで魔王軍も討伐したんですね?」

「まあ、あれは遠距離からの爆破だったけども」

「でも、多分私は大丈夫ですよ。爆破によって発生した魔力が体の大半以上を構築しているのでよっぽど私は爆発しないと思います。それに、私はあの殺された魔王軍全員の魂も吸収しているので世界で1番強いですよ、主の次に」

「そっか。…え?魔王も吸収したの!?」

「まあ、主が爆破したので」


ええ、怖いよ、この娘…。まあ強いのは当たり前か、実質私の娘なんだし。


「それじゃあ、もう1ついいかな?」

「はい?」

「私のことは、主じゃなくてアマネって呼んでほしいかな」

「そんな、名前で呼ぶなど…」

「ここは魔界じゃないんだからさ、主従とかどうでもいいじゃん。これからは友達でダメ?」

「主…アマネがそう言うのであれば」


こうして、突然現れた魔人の少女が友達になったのであった。

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