第2話 命の恩人
ブクマ、高評価、☆、感想をよろしくお願いいたします。
とりあえず私は、助けたおじさんに馬車で町まで送ってもらえることになった。
「いや、本当にありがとう。儂ぁ死ぬかと思ってたんだがね」
「まあ、私もあそこにいたのは偶然で…。私、まだ転生してきたばっかでこの世界のことは何も知らないし、ましてや自分のスキルについても知らなくて」
「そうなのかい。じゃあ、私が家を買ってあげよう。もちろん、家具付きで」
「いいんですか!?家ってやっぱり高いんじゃないですか?」
「儂は商人でな、無駄遣いなんてしないから貯金がたんまりある。金があるんだから命の恩人にこれくらの恩返しをしないわけにはいかない」
「そんな、いいですよ。私だって、あんなスキルを自分が持ってるなんて思ってませんでしたし。そもそも、私が貰ったスキルがもっとポンコツスキルだったらどうしてたんですか?」
「さぁ、どうだっただろうねえ。それはともかく、座らなくていいのかい?馬車の荷台は揺れると思うんだが」
「あ、はい。ちょっと揺れてはいますが、まだ自分のスキルにどういう効果があるか分かんないうちは下手にモンに触れられないといいますか…」
「まあ、馬車の1つくらいぶっ壊れたところで儂には何の問題もない。ささ、座って」
「は、はい」
躊躇いながらも私は馬車の荷台の中にある席に腰かけた。
本当にこれ大丈夫なヤツだよね?爆破したりしないよね?
うん、、触れただけだし。さっきはパンチしたから爆発したんだ。そう、ただ手で触れてるだけなら…。
そう考えていた矢先、馬車は段々赤く発光しだし、席も座ってられないほど熱くなってきた。
「ちょっと、おじさん!?さっきから馬車が赤く光り出してるんですけど!?これ絶対爆発するヤツですよ!?今すぐ馬を馬車から外してください!その子たちに乗って馬車から離れますよ!」
「わ、分かった」
おじさんは手際よく馬車から馬たちを外してくれた。
「コイツらは人間に慣れてるから安心して乗ってくれ。すぐ乗りこなせるようになるはずだ」
「そしたら私が乗った子が爆発しちゃうじゃないですか!」
「分かった。じゃあ、どっちかは走らせるからさっさと嬢ちゃんも走ってにげるんだ!」
「私、試してみたいことがあります」
もし成功すればだけど、地面爆破させて馬車を空中に飛ばせば爆破しても問題ないんじゃね?
「もう馬車から離れてください」
「分かった」
おじさんは1匹の上に乗り、もう1匹を単独で走らせ、私から十数メートルくらいはなれた。
それを確認した私は、馬車がある真下の地面に向かって思いっきりパンチした。
「ふんっ!」
爆破するまでの時差があることを信じ、私も馬車から離れた。
うまく行ってくれるかなぁ…?
すると、予想通りパンチした部分を中心に広範囲で爆破し、その馬車を空中に高く飛ばした。
ジャストタイミングで馬車は爆破し、あたかも解除が間に合わなかった時限爆弾を間一髪で投げ、それが空中で爆破しているかのようだった。
「ま、間に合った…」
「嬢ちゃん、もしかしてスキルがコントロールできないのかい?」
「はい。でも、何となく分かりました。私のこのスキルは、触ったもの全てを爆破させるスキルみたいです」
「それなら、スキルや魔力をコントロールする為に使う手袋を売ってるお店がある。手袋は買ってあげるから、とりあえずそのお店に行こうか」
「えっと、そういうのって手術か祈祷みたいなヤツで対処できないんですか?」
「その辺はまだ研究中でな、その手袋しかまだそういう技術がないんだよ」
「そうですか…」
このスキル、どう考えてもトンデモポンコツスキルだよね?ああ、早く他のスキルも覚えたいなあ。
*
その後、私はおじさんにありとあらゆるものを買ってもらった。
家、家具、服(何故か今私が着ているものが何着も売ってたからアニメやゲームのキャラクターみたく毎日服が変わらないのを演出したくて3着も買ってしまった。無論、下着くらいは色んなのを選んだけど)、食品、日用品、そしてあの手袋。ついでにお金も2000万ベル貰ってしまった。(これってどれくらいのお金なんだろう?)
「今日は何から何まで色々とありがとうございました」
「命の恩人だからね。これからも、儂のところで色々買い物してくれれば食品だろうと日用品だろうとお安くするよ」
「ありがとうございます!」
どうやら、ここはなろう系の世知辛い世界ではなく、ちゃんとスローライフ系の異世界らしい。
けど、爆弾処理班だった頃(私からしたらつい昨日か今日くらい)と変わらず、やっぱり誤爆は怖い。
これからは、不必要に人と関わらないようにしようかな…。
でも、人助けはしたいし、きっとモンスターを狩ってお金を稼がないと生活してけないだろうし。
まあ、この手袋さえしてればよっぽど問題ないと思うけど…。