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【挿絵多め】煌燈十二軍と供犠奇譚《サクリフィス・サーガ》  作者: HaiRu
第一部【フォルニカ公国篇】 第一章《奴隷少女》
32/73

(挿)第31話 『カレンの選択』★



「さてと、ようやくこれで一件落着だ。カレン、これからのことなんだけど……」


 ジェイルは膝をかがめ、目線をカレンと同じ高さにする。


「君が望むのであれば、故郷へと送り届けることができる。道中は、俺が護衛しよう。だけど、もし帰る当てが無いのなら……フォルニカ公国(この国)で暮らすこともできる。どうするかは、君の意志に任せるよ」


「あの……私は……」


 好きに生きることができる。

 私が――?

 自由になったことへの実感が湧かず、少しの間戸惑っていたが。

 やがて……


(……もっと)


 カレンの心の奥から、一つの思いが湧き上がった。


(……もっと、この人と一緒にいたい……この人の役に立ちたい……この人になら……)


 カレンの脳裏に、古き記憶が蘇る。



 〜〜〜〜。



『――あなたのその力、絶対に他の人に見せちゃ駄目よ。本当に信じられる、大切な人ができるまでは』



 〜〜〜〜。



 かつて、母から誰にも見せてはならないと言われた、あの能力(・・・・)

 彼になら――


「……ジェイルさん」


「うん?」


 カレンは両手を胸の前におき、ジェイルをじっと見つめる。


挿絵(By みてみん)


「……助けてくれて、ありがとうございます。どうか……どうか貴方の旅に、私を連れて行ってくれないでしょうか。

 貴方の傍に……役に立ちたいんです」


 まっすぐ、真摯な瞳でカレンは言う。


「……カレン」


 ジェイルは少し目を見開いて。


「気持ちは嬉しいけど、俺は軍人の身だ。ただの旅じゃないし、(いさか)いに巻き込まれることも多い。それより、誰か里親に引き取ってもらった方が――」


「ジェイルさんがいいんです――お願いします……! 絶対に、絶対に役に立ってみせます……!」


 カレンは引き下がらず、食いつくように嘆願する。

 ようやく出会えた、心から信じられる人。

 彼と離れることが、何よりも嫌なのだと。

 そして。


「……今から、それを証明します」


「カレン……?」


 なにやら意を決した表情のカレンに、ジェイルが怪訝そうな顔をした。

 カレンはそのまま、ジェイルの頬と首元に手を当て、顔を近づける。

 

「一体何を……」

 

 ほんの少し、頬を赤らめるカレン。

 そのまま瞳を閉じて。

 ゆっくりと、おそるおそる。

 それでいて、少し恥じらいながら――

 ジェイルの頬に、小鳥がついばむようなキスをした。



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