表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【挿絵多め】煌燈十二軍と供犠奇譚《サクリフィス・サーガ》  作者: HaiRu
第一部【フォルニカ公国篇】 第一章《奴隷少女》
27/73

第26話『ジェイル対リッパー 其の二』



 ――――。



(妙だなァ……なぜヤツは、氷熱系魔術しか使ってこねぇんだ?)



 壮絶な魔術の撃ち合いの最中、ふとリッパーは疑問に思う。


 先程からリッパーは、熱量系や雷撃系、風衝系など、基本三属性と呼ばれる攻性魔術を巧みに扱い、攻撃を仕掛け続けている。


 一方ジェイルは、それを身体能力強化の魔術で間一髪に躱し、防御魔術の障壁で見事に捌き、僅かな隙から反撃の攻性魔術を放っている。

 それらは一見、完璧な対応――なのだが。


 その攻性魔術の全てが熱量魔術――その中でも氷熱系に分類される魔術なのだ。


 確かに熱量操作の特異魔力体質者(フロート)らば、少ない魔力で高威力、高精度の熱量魔術を起動することができる。

 しかし、明らかに他属性の魔術を使った方が有利になる状況でも、あの男は頑なに熱量魔術のみを使用しているのだ。

 さらに、浮かび上がる疑問はそれだけでは無い。


(加えてあの無様な立ち回り……あれが本当に、噂に名高い煌燈十二軍の筆頭なのか?)


 例えば先程の差し合い。リッパーが三等軍用魔術、炎熱系【フレイム・ロード】を放った時もそうだった。


 ジェイルはあえて防御系【オリジン・シールド】の障壁で炎柱を受け止め、【グレイス・ブロック】で反撃に転じていた。


 その結果、ジェイルの反撃まで一呼吸の間があったおかげで、【グレイス・ブロック】の着弾まで数瞬の猶予が生まれ、リッパーは余裕を持って躱すことができた。


 現代の魔術士同士の戦いにおいて、魔術戦とはリズムの奪い合いである。


 相手からの攻撃に対し、防御して反撃、この二工程(ツーアクション)で差し返すよりも、攻防一体の一工程(ワンアクション)で差し返す方が、相手に隙を与えずこちらの有利に立ち回ることができる。

 このような事は、我流で魔術を磨き上げてきたリッパーですら周知の事実だ。


 あの状況の場合、本来ならば風衝系【バイシクル・サイクロン】などで炎をいなしつつ、そのまま反撃に転じるのが定石だろう。


 だというのに。


 ジェイルは差し合いごとの展開に関わらず、愚かしいほどに氷熱魔術を使い続ける。

 その立ち回りは極めて非効率。

 一方でリッパーは、ほとんどの差し合いを一工程(ワンアクション)の魔術で返している。


 故に使用した魔術の回数は、ジェイルの方が圧倒的に多い。燃費も最悪のはず。

 今時、学生魔術士でも、もう少しマシな魔術戦を披露できるだろう。


「…………」


 度重なる、違和感。


(ということは……だ)


 先程からリッパーの頭の中で浮かんでいた、ある一つの仮説(・・)が、いよいよ確信へと変わってくる。

 そして。


(なるほどなァ。どうやら一体一の魔術戦に限っていえば、俺にも勝ちの目は大いにあるらしい)


 にやり、と。

 リッパーは内心、ほくそ笑むのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ