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【挿絵多め】煌燈十二軍と供犠奇譚《サクリフィス・サーガ》  作者: HaiRu
第一部【フォルニカ公国篇】 第一章《奴隷少女》
18/73

第17話 『油断大敵』



 直後。


 ぎゅいん! という音を携え、ジェイルがリッパーの背後に現れる。


「はあッ!」


 そしてカレンから引き剥がすように、リッパーをうつ伏せに倒した。

 そのまま、リッパーの両腕を背中側で押さえつけ、文字通り一瞬で制圧したのである。


「ぐッ!?」


 突然の事態に、低く(うめ)くリッパー。


「……カレン、怪我はないかい?」


「は、はい!」


 カレンもあまりに一瞬の出来事に、目を(しばた)かせた。


「そうか。よかった……」


 安堵したジェイルは、そのままリッパーを静かに見下ろす。


「――油断大敵だよ。先ほどまで角狼(ホーンガル)と戦っていたから、【エンチャント・クロス】は継続中だ。このまま、君を捕縛させてもらう……《磔刑(たっけい)の――》」


 そう言って、捕縛系【リストリクション・リング】を起動させようとする。


 が――


「? なんだこの感覚は……」

 

 男を押さえつける腕の感覚に、ジェイルは奇妙な違和感を覚えた。

 そして、その違和感の正体を突き止められないまま――


「へっへっへ……なかなかやるじゃねェか、優男。だがなァ、油断大敵ってやつだぜ?」


 不敵な呟きと共に。

 リッパーの体が突如、かっ! と激しく発光する。


「な!? これは――!」


 ジェイルが目を見開き、珍しく声を張り上げた。

 そんな声をかき消すが如く。



 ドゴォオオオオオオオン!



 刹那に響く、耳をつんざく爆裂音。

 なんと、押さえつけていたリッパーの体が、文字通り爆散したのだ。

 

「きゃああああああああああ――ッ!」


 爆発の余波で大きく吹き飛ばされるカレン。

 そのまま近くの大木に衝突しそうになり、思わず目をぎゅっと瞑るが。


 ど――ッ!


 全身がバラバラになる衝撃は……こなかった。

 代わりに、後ろで鈍く響く衝突音。

 恐る恐る見ると、カレンを抱きかかえる体勢で、大木に打ち付けられたジェイルの姿があった。


「ぐ……ッ」


「ジェイルさん!?」


 低い呻き声を出し、項垂(うなだ)れるようにその場に崩れ落ちる。

 先ほどの爆発をもろに喰らい、さらにカレンを大木の衝撃から庇ったため、かなりの深手を負っているようだった。


「そんな……私を庇って……」


 悲痛そうに顔を歪めるカレン。


「大丈夫……それより気をつけるんだ」


 ふらふらとしながらも、ジェイルは何とか立ち上がる。

 そしてカレンの前に立ち、十数メートル先――先ほどリッパーが爆発した地点を注意深く睨んだ。


「あれって……木の枝?」


 爆発の余波がまだ消えきらない中で。

 恐る恐る様子を(うかが)ったカレンがぼそりと呟く。

 リッパーがいた場所には、黒く焦げた太い木の枝が落ちている。

 木の枝は人型に加工されており、ちょうど大の大人と同じサイズだった。


「い、一体どうなって……」


 困惑するカレンを他所に、ジェイルは数秒その場を見つめる。

 しかし直後、何かに気づいたように声を上げた。


「まずい! カレン。今すぐここから――」


「遅せェよ」



 どっ。



 それはまさに、青天の霹靂。

 次の瞬間。ジェイルの胸には、拳ほどの大きな空洞が貫いていた。


「がッ……は……!」


 声にならない声と共に、ジェイルが仰け反る。

 喉から込み上げる鉄の味。そのまま、口から赤い液体をぼたぼたと零す。


「……ぇ……」


 返り血がカレンの顔に飛びかかって――


「…………ぃ…………」


 カレンの表情がみるみる青ざめていき――


「いやぁあああああああああッ――! 

 ジェイルさぁあああああああああ――――ん!」


 カレンの慟哭(どうこく)と共に、ジェイルが力なく倒れ伏すのであった。



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