表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【挿絵多め】煌燈十二軍と供犠奇譚《サクリフィス・サーガ》  作者: HaiRu
第一部【フォルニカ公国篇】 第一章《奴隷少女》
16/73

第15話 『接触』



 ――――。



 ――舞台はハラル大森林の入り口近くへと移る。

 生い茂る木々の中で、ジェイルは角狼(ホーンガル)との交戦を続けていた。


「――はッ!」


 ジェイルの振り抜いた短剣の魔導器が、角狼(ホーンガル)の角を根元から正確無比に断つ。


「ふう……これでやっと十本目だ」


 角狼(ホーンガル)が逃げ去ったのを確認すると、角を回収。圧縮凍結の魔術を(ほどこ)し、ポーチに入れる。


「よっと、さすがに疲れたな……」


 ジェイルはくたびれた様子で、近くの木の幹に腰掛けた。


「これでナターシャさんからの依頼は完了、っと。手がかりが無かったのは痛いけど、一旦引き返すしかないか」


 短剣の魔導器の状態を確認しながら、そんなことを呟いていると。


 ――ぐぅ。


 ジェイルのお腹が盛大に鳴り響いた。


「おっとと。そういえば、お昼にお腹を空かせたまま、ずっと動いていたな」

 

 苦笑しながら、緑の葉で覆われた包みを、ポーチから取り出す。

 昼間にイーンの街で、カイナから貰った弁当だ。


「どれ、いただくとしよう」


 包みを解き、中にある白い塊――おむすびを口に入れる。


「むぐ……。これはうまい……!」


 ジェイルは思わず声を漏らした。


 極東の国ヤハムを中心に、レヴェナ大陸東部で食されている米。塩気の感じるそれにかぶりつくと、中からごろっとした肉の塊が出てくる。肉は燻製にしてあるらしく、またハーブや香辛料が効いており、鼻腔を通る風味はまるで草原の真ん中に立っているような、清々しい感覚だった。


(米も肉も違う文化の味付けなのに、ここまで合うなんて。それにどうしてだろう、どこか懐かしい味だな……)


 あのカイナという老人も、国外からやってきた移民なのだろうか……。

 そんなことを考えながら、ジェイルは食べ進め、入っていた二つのおむすびを瞬く間に完食した。


「ふう。ごちそうさま」


 満足気に微笑みながら、ジェイルは立ち上がる。


「さて、そろそろ引き返すか」


 そしてくるりと踵を返し、森から出ようとした――その時だ。


「ん?」


 ハラル大森林とイーンの街へ続く街道との境目――ちょうど大木の生え始めの辺りに、一人の少女がいた。ボロボロの服を着ており、煉瓦(れんが)色の長い髪をしている。

 間違いない。


「カレン!? どうしてここに――」


 予想外の少女にジェイルは声を上げ、傍に駆け寄ろうとする。


「……ジェイル……さん……?」


 カレンもジェイルの存在に気づいたようで。驚いて目を見開く。

 しかし、その顔は青ざめており――彼女が発したのは、意外な言葉だった。


「だめッ! 逃げてください!」


「!」


 その瞬間。

 ジェイルはピタリと足を止め、カレンから五メートルほど離れたところで停止する。

 カレンの警告を耳にしたからか。


 否。


 カレンの背後から放たれている、強大な存在感を感じ取ったからだ。


「……ほゥ、こいつはいい。まさか、わざわざ標的の方から姿を見せてくれるなんてなァ」


 深淵を思わせる、暗く残酷な声と共に。

 その男は姿を現した。

 ジャケットのような魔装束(シュレーゼ)を見に纏った、ボサボサの銀髪が特徴的なチンピラ風の男だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ