平和維持省
この世界は1日に無作為無作為に選ばれた人達を抹殺することで平和を維持している。
「今日はどいつだ?」
「No.142857、シューウィッツに住んでる小娘さ」
「行くかぁ」
平和維持省の男二人は、緋色緋色のスポーツカーに乗って軽快に海岸沿いを走っていく。
「今日も平和だなぁ」
「いいことじゃないか。それを守るのが俺たちの仕事なんだから」
「ここの家だな」
それは森の中にある小さな一軒家だった。玄関近くには花が多く植えられていて、母親と思われる人物が水やりをしている。
「平和維持省の者です。娘さんはいらっしゃいますか?」
「えぇ…」
その母親は少々涙声で途切れにいった
「あの…!…娘は何もしていないんです。もうすぐお嫁さんに行くところなんです。だから…私が…殺されます...なの…で見逃してはいただけませんでしょうか………」
「残念ですがお母さん、これは法律で決められてることなんです。そのお気持ちよくわかります。ですが、人を選ぶことはできません。」
「そんな…そんな…」
「お母さん?どうしたの?」
木の陰から出てきた娘が今回の目標目標〈No.142857〉だ。
俺は専用の銃を構える。
「やめてぇ…やめてください………」
「キャァ!!ヒャァァ!!」
「逃げないでください」
次の瞬間、俺の銃から一筋の光が放たれ、娘を直撃した。
そこにいた母親は泣き崩れ、地面にうずくまった。
「今日はこれで終わりか」
「あぁ。そうみたいだなぁ」
「こんな仕事、いつまで続けるんだろう」
「さぁな。」
政府会館に帰ってきた二人はそれぞれ飯を食って自分の家に帰った。
平和維持省の執行役員はあまりにも重い任務なため、やることが終わればすぐ家に帰れるのだ。
俺は相方と別れて地下鉄に乗り込んだ。
「まもなく横浜 横浜です。京急線、JR線はお乗り換えです。」
俺の家は横浜。嫁と一緒に住んでいる。
「ただいま」
「おかえり」
「ごはん?お風呂?」
「じゃぁ風呂で」
「はぁーい」
その後、風呂に入り飯を食って寝た。
朝が来た。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
鶯の声が響き、車の走行音が聞こえる。今日も平和だ。
地下鉄に乗ってあざみ野駅まで来た。政府会館は隠された場所にあって、ここから専用の車に乗って向かう。
「今日は誰だ?」
「No.789787……」
そのIDまさしく俺のIDだ。
「とうとうこの日が来たか」
「いずれ…いずれ来るとわかってたよ。」
「さぁ早く。殺ってくれ」
「じゃぁな。良介」
この世界は1日に無作為無作為に選ばれた人達を抹殺することで平和を維持している。






