表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/81

わからない

私は、十夢を見つめていた。


「わからない。でも、赤ちゃんが欲しいって」


「もし、赤ちゃんが出来たら、一人で育てられるの?」


「わからない」


「それだけじゃないよ!色んな事考えなきゃ!俺は、沢山の従業員がいるから知ってる。流産した人、子宮外妊娠した人、死産だった人、障害を持っている子供が産まれた人。健康で元気になんてうまくいかないんだよ!それでも、愛ちゃんは一人でそれを乗り越えられるの?」


こんなにも自分を思ってくれている(ひと)に出会ったのは初めてだと思った。


「わからない」


十夢は、私を引き寄せて抱き締めてくれる。


「愛ちゃん、あの人は無事に産まれたからわからないんだよ。愛ちゃんが、妊娠をしてこれからどんな道を進むかなんかあの人は全然わかっていない」


十夢の優しさが胸に染みていく。


「避妊しないのは、愛じゃないよ!責任は、お金でもない!愛してるなら、愛ちゃんの体の事を考えるはずだよ」


「十夢、私、妊娠するの怖い」


本音を初めて言えた。


「だったら、避妊しなきゃ」


「でも、純はしてくれない。生でするのが好きだから…。何度も、私にそうするのが好きだから…」


「ピル飲めるか調べに行く?俺が、産婦人科についていくから…。どうかな?もちろん、愛ちゃんの身体に負担がないか先生に聞いてからだよ」


十夢は、私の両頬を両手で軽く挟んだ。


「愛ちゃんの身体によくない事はしちゃ駄目だよ!だけど、避妊をあの人に任せてたら駄目だよ!あの人は、してくれるかわからないから…」


「わかった!ついてきて」


「うん、ついていくよ」


十夢は、そう言っておでこをコツンとぶつけてくれた。


「お酒飲もうか?」


「うん」


私は、十夢とお酒を飲む。


愛されてるって思ってた。


でも、十夢の話を聞いて違うと思った。


愛してくれてるって、十夢の事なんだ。


まだ、エッチさえしていないのに十夢は私の未来の身体まで心配してくれていた。


こんな人に、私は初めて出会った。


「どうした?」


「ううん」


十夢を好きになれたらいいのに…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ