朝食
床の冷たさで目を覚ます。暖をとる為に朝日の注ぐ窓辺へと身体を這いずらせる。両手両脚が縛られているので私にはそれくらいしかできない。
窓から差し込む光によって朝が来たことは分かるけど、景色すら見れないのでは退屈を紛らさせることもできず、生きることにさえ飽きてくる。
ここに閉じ込められてからもうどのくらいたったのだろう。
時間の感覚が曖昧になっている。
食事もほとんどさせてもらえないのに、全然お腹が減っていないのもおかしい。
ふと気付くと縛られている右手の人差し指が熱い。痛いのを通り越して熱いくらいだ。
私にとって”それ“を見ずに最後を迎えられたのはたぶん幸いだった。
静かに引き寄せられていった私は、そのまま何かの朝食となったのだ。
三題噺です。お題は「朝日の注ぐ窓辺、人差し指、飽きる」でした。