最終回? 舞台裏の話
「カット!」
これは、とある大学の古典サークル。適当な部誌を丸めた監督もどきが、宣伝用に作っている映画の撮影を中断させる。
「いやさ。前から思ってたんだけどさ」
「ん? 何よ?」
「お前、女四宮に向かねえよ」
「な、なんですってえ!?」
高貴な十二単から、ギャグマンガの声が敷地内に響き渡る。
「いや。そういうとこ。脚本の雰囲気に合わないんだってば。なあ、里見!」
監督の青年が話題を後方で寝転んでいる青年に声をかける。
「ん? まあ、役を演じれれば良いんじゃない? 現に、黒木は寡黙な少女をこなせてるじゃないか」
寝起きではなく、ただ横になっていただけの青年。演技を見た感想をしっかりと述べる。
「いやさ。お前も感じるだろ! 内側から感じるオーラって言うかさあ。ハートっていうかさあ!」
「分からねえよ。俺は物語は知ってても映画とかのエンタメは分からん。文章以外から何かを読み取ることは苦手だ」
「つれないねえ。素人なりの意見ってのがあるでしょ!」
監督の青年は、なおも熱く語る。彼も、映画は素人だが、情熱はすごくある。
「あるかもしれないが、それは現時点で言うことじゃないからなあ」
「あ、そなの? じゃあ、その時に言ってくれ! 俺は、ひとまずリフレッシュも兼ねて主演女優サマとお散歩行ってきますわ」
「夕飯までには戻って来るのよ~」
大学生とは、軽いもの。高校生の様な自由なメンタルで、大人と同じ行動がとれる。
それにより、同じ組織に属していても空白の時間が存在するのだ。
「……まあ、役者のイメージが違うって言ったら、怒鳴られるよね。『贅沢言うな』ってさ」
大きく伸びをする、脚本担当。
浦風役はもっと悲壮感の欲しい顔が良い。
女四宮は、もっと髪がきれいな女性が良い。
そもそも、全体的にもう少し綺麗系の人選が良かった。
「言い出したら、キリがないよ。けど、ある人で作らないと意味ないし……」
組織の管理側なら誰もが抱くジレンマだ。けれど、大半がそれを叶えることなく土に還る。
「……あ」
しかし、この男は、里見レイは違った。
「……いや、でも」
少し、戸惑う。さすがに、反則ではないかと。
「けど、あそこまで言われちゃあねえ」
しかし、監督の言葉を受けて腹をくくった。ならば、自分の考える最高の人選で映画を作ってやろうじゃねえかと。
「ゲート、解放。行先、二次創作の世界」
そして、男は音もなく消えた。最高の人選は、この世界にないと分かっていたから。
浦風中将物語。舞台を変えて続きます。
ここまでお読みくださり、感謝です。
現在、なろうにて大型の連載プロジェクトを企画中で、その為の準備として、エタらせていた作品の店じまいを行っているところです。
ただ、本作は「版権キャラをキャストにした擬古物語の二次創作」の脚本として活用する予定ですので、そちらの方を楽しみにして頂けますと幸いです。
また、近いうちにお会いできればと思います。
それでは、また。
里見レイ




