黒牡丹の心理
「はて、落雷については私は何も知りませんよ」
前回と同じ廃寺のとある一室。浦風と三宮の問いに否定の回答をする黒牡丹である。
「では、私に左大臣様を連れ出すように言った理由とは?」
その言葉をあまり信じなかった浦風、追及を続ける。彼は、ほぼ完全に落雷は黒牡丹の仕業だと思っている。彼女がこれからどれだけ人を殺していくのかを確かめるために訪問したのだ。
「あのお方は、私が関わるには面倒なお方ですので。浦風様に足止めしていただいたまでにございます」
「本当に、右大臣殿を殺したのはお前ではないのだな?」
ひょうひょうと答え続ける黒牡丹に対し、三宮が念を押す。
「ええ、殺すつもりなどなかったんですけどね」
突如、どす黒い笑みをこぼす黒牡丹。先ほどの「落雷など知らない」という言葉が嘘だと言わんばかりの表情である。
「ウッ・・・・・・」
思わず、おびえる声を漏らしてしまう浦風。それほどまでに、彼女の変わりようが凄まじかったのだ。
「最後に、一つ聞かせてくれ」
三宮、黒牡丹の悪魔のような視線に負けず、質問を切り出す。
「お前は、次の左大臣の妻になりたいと申しておったな。その男とは、権中納言のことか?」
このまま黒牡丹の計略が上手くいった場合、彼女は浦風より上の人物の妻になるよう計らって欲しいと頼んでいた。
浦風と三宮は、それを左大臣の長男と考えたが、それが当たっているかどうか確かめなければならない。
「ご想像にお任せします。しかし、あの方を巻き込まないでくださいね」
今度は、静かにほほ笑む黒牡丹。つくづく嘘をつくのが苦手のように見える。これではバレバレではないか。
「・・・・・・お邪魔したな」
そう言って、三宮は立ち上がる。浦風も、それに続く。
「またどうぞ」
黒牡丹は、先ほどの駆け引きなどなかったかのように二人を送り出すのだった。
「三宮様」
廃寺を出たところで、浦風は声をかける。
「うちにいらしませんか?桜に会ってほしいんです」
浦風、一度三宮と桜を会わせたいらしい。
よくよく考えれば、二人は直接会話したことがないのだ。まあ、平安の世なら当たり前の域であるが。
「・・・・・・わかった。一度あの娘と話しとかないとな」
この騒動中だ。次にいつ会えるかすら分からない。その前に、互いの本音を確認しておくべきであろう。
こうして、三宮はおよそ一週間ぶりに浦風邸を訪れることになる。
そう、この話はまだほんの数日の間の話なのだ。
最後に書いた通り、この作品。ほんの数日間の出来事の話なんですよね。
私自身も驚いてます。
執筆には一か月くらいかかってますからね。
里見レイ




