表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浦風中将物語  作者: 里見レイ
22/28

推論の密談会

 浦風、次に向かうは三宮邸である。

 彼に自分の得た情報を、洗いざらい伝えるつもりだ。もちろん、謎の女、黒牡丹のことも含める。


「兄上は、もう長くないかもしれない・・・・・・」


 三宮は、浦風に会うとすぐにこう言った。

 元々、東宮は故二宮と同じく病弱なのだ。早世した彼らの母親に似ているらしい。


「う、右大臣様は?」


 浦風は、東宮と共に重傷を負った右大臣についても尋ねる。どうやら、先に三宮の話を聞いたほうが良いみたいだ。


「しばらく黙っておいて欲しいのだが・・・・・・」


 苦痛な顔をして話し出す三宮。この時点で、大方予想はつくだろう。


「既に亡くなっている。治療する時間すらなかったらしい。今はこれ以上騒ぎを大きくしないべきというのが、父上、及び公卿たちの意見だ」


「承知、致しました・・・・・・」


 うなだれる浦風。静かに朝廷の賢人がいなくなったことを偲ぶ。


「私からも、右大臣様について姫君から聞いたことをお話いたします」


 浦風、右大臣が東宮と左大臣を自邸に招いた理由と、彼の考える縁談構想について三宮に伝える。


「なるほど、お前からすると複雑だな」


 と三宮。浦風の能力を評価され、橋立の結婚はうまくいくのに、自分の縁談は最悪の方向に進もうとしていることを理解しているのだ。


「そして、今回の落雷について。このことは、一切の他言無用を願いたいのですが・・・・・・」


 強く念押しした上で、浦風は黒牡丹のことを全て三宮に伝える。


「俺が、帝か。それさえ成功すれば、すべての結婚を俺の手で行えるということか・・・・・・」


 少し黙った後、ゆっくりと口を開く三宮。それだけ、重大なことだということだ。


「はい、そして今回の落雷が黒牡丹の仕業だとすれば」


「左大臣は、近いうちに辞任する。内大臣も失脚する。そして、父上も」


「おそらく、譲位される日が近いでしょう・・・・・・」


 浦風の話を、サクサク理解していく三宮。二人が仲がいいのは、両者頭の回転がいいことにも由来する。


「俺が帝で、お前が右大臣。そして、左大臣はおそらく・・・・・・」


「はい。我々と仲の良い、権中納言殿かと思います」


 現在、公卿の中で大臣たちの次に力を持っているのは、実は権中納言なのだ。若さゆえに、地位こそ低いものの、朝廷内では「次の朝廷の責任者は権中納言」と噂されるくらいである。

 家柄だけでなく、政治能力が高いことが評価されているからだ。


「で、黒牡丹は彼の妻になることを望んでいる」


「はい。そのために、右大臣様を消した可能性も・・・・・・」


 権中納言の正妻、白菊は右大臣の長女。彼女を追い落とすには、父の右大臣を始末しなければならなかったのかもしれない。


「だが、あまりにも極端ではないか?」


 不安を口に出す三宮。下手すれば、大騒動になりかねない。というより、このままでは国家の反逆者になりうるのだ。


「私もそう思います。ですので、これから黒牡丹の居るところに行こうと思います」


 浦風、三宮と同意見だったことにより、自身の推論に間違いはないと感じ、行動に移すと言う。


「俺も行こう。俺も当事者なら、関わる義務がある」


 三宮も同行を宣言。彼の責任感は、まさに帝に相応しい。


「お願い申し上げます」

 

 深々と頭を下げる浦風。


 落雷騒動は、まだ続きそうだ。



次期左大臣は権中納言。二人はそう考えています。ただ、太政大臣という職も朝廷には存在します。

三宮政権の最高権力者は一体誰になるのでしょうか、お楽しみに。

里見レイ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ