結託
「さ、三宮様を、ご即位?」
黒牡丹からの意見は、浦風の予想の範囲をはるかに超えていた。
普通、会社でプロジェクトの方針が対立したからって社長を交代させようとはしないだろう。
これはサッカーでハンド取らされそうになったから、ルールを変えようとしているようなものだ。
常識外れどころの話ではない。
「いやいやいや! さすがにそれは無謀ですよ! た、確かに、三宮様がご即位すればうまくいくとは思いますけど......」
黒牡丹の意見は、極論で最終手段だ。しかし、実現が最も難しいといえる。絵に描いた餅だと浦風は言っているのだ。
「私なら、私だからこそできるのですよ......」
黒牡丹は、あくまで本気のようだ。
「確かに、危険性があることは否めません。しかし、それだけの価値があるとは思いませんか?」
笑みを絶やさず、声をかけ続ける黒牡丹。
「あなたが、上手に立ち回れば、あとは自然とことが上手く運びます」
「......条件は?」
さすがに美味しすぎる話なので、まだ警戒している浦風。
「ほほほ、私を次の左大臣様の妻にしていただきければ結構ですわ」
「次の左大臣? 誰のことです? 今の内大臣様ですか? それとも、右大臣様ですか?」
浦風、見当がつかない。
「まあまあ、三宮様がご即位した暁にはあなたが右大臣になるのですよ! そんな年増な男どもではありませんて!!」
頬を少し赤めて否定する黒牡丹。どうやら、若い男に惚れているようだ。
「そういえば、あなた、私を『次なる国家の一翼となるお方』と言ってましたね。それって、私が右大臣になるということだったんですか? 中将から一足飛びで!?」
自分に堂々と「右大臣」と言ってきたので、黒牡丹が誰の妻になりたいかよりも気になった浦風。まずは、そこを尋ねてみる。
「ええ、世代交代ですわ。さすれば、あなたは間違いなく右大臣ですよ」
浦風の聞き間違いではないようだ。黒牡丹は真剣に浦風を右大臣にしようと考えている。
「あ、あのお。まず第一、三宮様は皇位継承権第二位なんですけど......」
浦風、とりあえず大事なことを思い出す。
帝には、ご長男の東宮がいるのだ。世代交代だったら、自然と東宮が即位するだろう。
ちなみに、二宮はもうすでに亡くなっている。
「ほほほほほほ! 心配ご無用! 私にすべてお任せください!」
大声で大胆な宣言をする黒牡丹。だんだん口調が、名門貴族のようになっている。
「......で、私は何をすればいいのです?」
なんかもう、賛成しないと話が進まないと考えた浦風は半分やけになって尋ねる。
「簡単です。明日、左大臣様をこちらの時刻に紙の通りの場所に連れていくだけですわ!」
そう言って、一枚の紙を浦風に渡す黒牡丹。紙質は、明らかに悪い。
「......とりあえず、明日はあなたを信じましょう」
乗りかかった舟である。紙を受け取る浦風。
「それじゃあ、今日はこの辺で」
そう言って彼は礼をする。
「またどうぞ」
再び妖し気に微笑む黒牡丹。
「......でぐちまで、ごあんないします」
いつの間にか浦風の目の前に現れた幼女。
(ああ、そういえば、こんな子いたっけ)
彼はすっかり忘れていた。
いやはや。書くのに苦労しますね。伏線具合をどのくらいにするべくか悩みます。
里見レイ




