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浦風中将物語  作者: 里見レイ
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夢のお告げと廃寺訪問

 その夜、浦風は家に帰るや否や妹たちとろくに会話もせずにそのまま自室で寝た。

 正直、橋立も、桜も、紅葉も、そして自分自身の縁談がすべて思い通りいかないのが確定してしまっているのだ。

 皆にそれを伝えるだけの体力は、彼には一切ない。とにかく彼は寝たかったのだ。


 そして、夢を見た。


『あなたには、まだ希望がある。もし、あなたが何を変えてでも、この縁談全てを成功させたければ、明日の夜、これから言うところに来なさい......』


 周りには何もない白の世界。ただ、一人の女性の声だけがこだまする。

 指定された場所は、今はだれも使っていない廃寺。一人で来るよう念を押してくる。

 それが何回も、何百回も繰り返されながら、浦風は朝を迎えた。



「あまり、眠れた気がしなかったな」


 肉体的には十分に回復した浦風だったが、気分は寝た気がしない。

 随分としつこい夢のお告げだと、憂鬱になる。


「兄様、お疲れですか?」


 朝食を用意している桜が心配そうに尋ねてくる。


「あ、ああ。何とか平気だ」


 まだ夢のお告げも完全に信じるわけにはいかないので、とりあえず何も言わない浦風。そのまま朝食をいただく。


「あまり、無理をなさらないでくださいね。私たちも、お助けしますから」


 そう言って、浦風に微笑む桜。それを見て、胸を痛める浦風。


(俺は、俺がすべきことをする。わずかな可能性でも、信じるしかないんだ......)


 決意を新たにした浦風は、ゲン担ぎで朝食にがっつき、むせた。


 その日の仕事終了後、浦風はなりふり構わず夢で指定された廃寺へと向かう。

 これを信じるという確信はなかった。しかし、浦風も平安貴族である。現代人よりは何百倍もこういうことを信じるのだ。


 大通りから道を外れて歩くこと十数分。


「ここ、か......」


 どこにでもありそうな古ーいお寺である。特に神仏の加護がある気がしない。


「そういえば、お寺のどの部屋に入れとか、そういう具体的なお告げはなかったな......」


 夢はしょせん夢、合理的な浦風は平安貴族の割にはこういうことを信じない。


「うん、帰ろう」


 そう呟いて、来た道を戻ろうとしたその時。


「うらかぜちゅうじょうさまで、ございますか?」


 と背後から声をかけられる。

 ふりむくと、十歳にも満たないであろう幼女が一人。なんか、生気を感じられないし、変な恰好をしている。


「......いかにも」


 いつそこに現れたのか全く見当がつかず、見るからに怪しいわけだが、まあ、もしかしたら目的の人物かもしれんと思い返事する浦風。


「おまちしておりました。あるじのところへ、あんないします」


「そ、そうか。頼む」


「では、こちらへ」


 なんかぎこちない動きで先導を始める幼女。

 浦風の不信感はますます大きくなるが、まあ、待っていたようだしここで帰るのも無礼である。

 そのままついて行くことにした。


 背中から、微かに寒気を感じながら......

なんか、物語の進捗が一気に遅くなりました。

しばらく浦風ワンマンショーになるかもしれません。

里見レイ

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