極秘会議
権中納言は、右大臣邸にいた。今日も、礼儀として妻の白菊に会いに行ってたとのこと。
「どうか、力を貸してください!」
浦風は、これから自分たちが望まない縁談を仕掛けられているから助けてほしいと頼み込む。
「友人のため一肌脱ぐとしよう」
自身が望まない結婚をしていることもあり、全面協力を宣言する権中納言。
それを得ると、浦風は従弟橋立に使いを送り、右大臣邸に呼び寄せる。そこには、権中納言に彼の縁談について話す許可を求める文もあった。
一足早く使いの者が戻ってきて、許可が下りたことが伝えられる。
そこから少しあと、橋立がやってきた。三人がそろったところで、浦風は極秘会議をスタートさせる。
「重要なのは、対立している両大臣殿に、我らの提案に利点があることを伝えることです」
そう切り出す浦風。
「まず、何としても右大臣殿に橋立と椿の君が相愛だということを伝えなければなりません。以前は白菊の君に邪魔されたらしいので、権中納言殿には彼女の足止めをしてほしいのです」
「承知。私にできる限りのことをしましょう」
「そして、夫婦が相愛でなければ子もできないと説きます。彼の目的は子孫繁栄ですので、そこを言えば説得可能です。これで橋立と白菊の君が結ばれれば、自然と私の縁談もなくなります」
「なるほど、これで貴殿が白菊殿と結婚しなくてよくなるのですな」
納得する権中納言。
「あと、それがうまくいけば、三宮様は桜と結婚できるでしょう。そうすると、私たちと右大臣家・天皇家につながりが生まれます。そして、その話を権中納言殿から左大臣殿にお伝えいただけば、右大臣殿も、我ら一族を味方につけるべく弁中将と紅葉の結婚を認めざるを得ないっというわけです......ふう」
一気に作戦を伝える浦風。息をあまりしていなかったので、少々苦しげだ。
「兄者、なかなかの策士......」
唸る橋立。
「私から話せば父上も了承するでしょう。この作戦は、うまくいきそうですなな」
権中納言が同意を示す。
「あとは、権中納言殿にも利点があればよいのですが......」
頭をかく浦風。既婚者の権中納言には得るものがないのだ。
「別に良いですぞ、貴殿らのお役に立てれば私は満足です」
聖者のような返事をする権中納言。
「はは、あなたには到底かないませんなあ」
感服の意を示す浦風。彼のこの人徳こそ、浦風が彼より出世できないと考える理由だ。
と、そこに。
「あ、兄者兄者! 一つ大事なことをお忘れですぞ!」
橋立、何か思い出したらしい。首をかしげる浦風と権中納言。
「私の縁談には、帝の御意向があったのでした!!!」
「あっ」
「忘れてましたな......」
橋立の一言に、冷え水を浴びされた気分になる二人。橋立は、「帝から」女四宮の夫に望まれているのだ。
まだ、説得工作の根回しが必要のようだ。浦風の苦労はまだまだ続く。
一筋縄ではいきません。ただ、浦風が頭いいことは確かなので、ご了承ください。
里見レイ




