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陶酔

作者: れう

 もうあたしは誰も傷つけたくないし何よりもあたしは傷つきたくない。


 疲れた。君から向けられる好意も。先生が望んでいる結果も。本当はエゴでしかない癖に分かったように言ってくる親も。


あたしなんか何にも魅力は無い。全部全部中途半端だ。



__友達はいるけどお互いに1番の仲の子は誰もいない。


__勉強は得意だけどトップにはなれない。


__人より絵は描けるけどセンスがないからどこかで見覚えのある物にしかならない。


__ピアノも弾けるし相対音感も持ってるけど上手に表現出来ない。


__顔だってそこまでブスじゃないけど美人でも無い。



 上を見たらもうキリが無い。だから蓋をして下だけを見て優越感にずっと浸っていた。


 __でもさぁ、もう、無理なんだよね。


 現実から目を背け続けるのも、出来ないんだ。これから先、多分一生そうだ。


 「何故貴方は生きてるの?」


 知らない。知らない知らない知らない。でも楽しい。


 何かしら楽しいから生きれる。あぁ、自分でも分からない些細な楽しみがきっとあるんだろう。

でもそれには気づけない。だから辛い。


 あたしはもっとダイナミックで刺激的な娯楽が欲しい。


 そんな事を考えながら大して見えもしない星を探して散歩する日々。月はどんどん雲に隠れていく。


 あたしは一体何者なのだろうか?


 それでもあたしを好いてくれる人がいる。上辺かもしれないけど期待してくれる。考えてくれる。


 人間なんて皆私利私欲の塊。自分が不利になるような事なんてしない。


 自分を犠牲にして誰かを助けるのも、良い事をして自分という存在に酔いしれてるだけ。所詮そんなもん。


 なら結局は上辺で薄っぺらい方が楽。利用もされず、深い干渉もされず。


 しかしそれで飢えてしまっているのが今の現状。あたしは結局理想が高くてそれになれなくて嫉妬してるだけ。


 本当は欲しい。目には見えないモノが。


 溺れたい。何かに。


 ただただ、虚無感が広がっていく。心に穴があく。


 あぁ、これがあたしなんだな。結局は1人で酔ってる。


 _大好きなんだ、自分が。


 隠れていた月は光を帯びながら顔を出し、見えないはずの星々も目を奪われるような美しさを放っていた。


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