クラスメイトvsヘカトン軍団
斗和達がリーダーとドワーフと激しい戦闘をしている頃、クラスメイト達は。
「おお、燃え盛れ」
体全体から炎を噴き出し、辺りに火をまき散らす。
生身の人間であれば火傷では済まない攻撃だが、彼らが乗っているヘカトンにはあまり効果がないようだ。
炎術の魔術師――田村日向は炎を一点に集中させ、炎の色を赤から青へと変化させた。
青の火の玉が生成されていく。
「吹っ飛びな」
指を鳴らし、指を向けた方向へと青い火の玉は飛んでいく。
数発は避けられたが、避けきれず着弾するのもあった。
「ああ、俺の武器があああああ」
ヘカトンの装甲は熱に相当強いらしく、あまり目立った傷が見られない。
が、武器の方は装甲よりかは柔いようだ。
そこで、日向は戦法を武器を潰していく方向へと変えていく。
「くそ、やっぱり操縦ロボはへこいぜ」
テレビで放送されていたアニメを思い出す。
まさか自分が憧れていた操縦ロボと戦うはめになるとは。
「死になっ」
「死ぬわけねぇだろ」
常に2、3体に攻撃されながらも着実に武器を溶かす。
「くそ、武器が」
「こっちもやられた」
「鉄の玉を喰らえっ」
筒の中から鉄の玉が連続で発射される。現代でいうところのマシンガンだ。
が、まあ地球にあったマシンガンよりも雑な作りなせいか命中率も悪く、玉も遅い。
すでに人間を止めるほどの身体能力を持っているクラスメイト達は見切っていた。
「よし、充。交代だ」
次は充が前へと出る。
日向はその間魔力回復に徹し、次また充と交代する予定だ。
「任された、いざ勝負」
魔法剣士――刈谷充は二本の剣を持ち、敵を圧倒していく。
片方の剣には火属性が、もう片方には氷属性が付与され、対極した二つの属性で交互に切る。
すると、前方のヘカトンが動きを止めた。
止めとして連続して手足を切り刻む。破裂。
切り落とすことは叶わないが、小さな傷からどんどんと大きな傷へと変化させていく。
鉄は急激の温度変化で脆くなるのだ。
「芽衣、応援よろしく」
「それな~」
応援者――区杉芽衣が舞を踊る。
彼女の舞には魔力が込められ、その魔力は仲間達へと供給されていた。
それを確認して狩人――笹原美貴が矢を放つ。
矢は一個から十個、十個から百個と十倍ずつ増えていく。
それが恐ろしい速度で飛んでくる。
彼らの視界が矢で埋め尽くされていた。
「あっぶねぇだろ」
「おいおい、俺達まで殺す気かよ」
その矢の範囲には日向と充もいた。
顔を背ける。
「あ、ごめんねぇ。気が付かなかったわ」
「あいつまじか」
「仲間ごといくか、普通」
まあ、芽衣はクラスメイトは避けると信じているので打てたのだが。
彼女はそのことを言ったりはしない。
「誰か怪我した人はいませんか?」
回復術師――柏原亜里沙はその危険な戦場の中をゆったりと歩いていた。
天然な彼女はマイペースに戦場をうろちょろしている。
「あ、危ないっ!!」
「へ?」
その無防備な亜里沙に対し、ヘカトンが5機突っ込んできた。
あと数秒で彼女の身に刃が生えることになるだろう。
「そんなことは私がさせはしない」
ヘカトン5機がいる地面が盛り上がり、下からゴーレムが5体出現した。
そのままの勢いでゴーレムはヘカトンの足を掴み、他のヘカトンを巻き込みながら投げ飛ばす。
飛ばされたヘカトンは岩に当たって動かなくなった。
外面は無事だが、中の操縦しているドワーフが気絶したのだろう。
「大丈夫か?」
「あ、はいぃ」
錬金術師――神野宗太は眼前の危機に固まっていた亜里沙に声をかけた。
亜里沙はびっくりしたなもう、と言いながら宗太が負った小さな傷を治していく。
「ありがとうございます」
「いや、こちらこそ。まだ俺達は大丈夫だから後ろに下がった方がいい」
「いえ、いつ怪我するのかは分かりません。それに少し攻撃食らったところで私は大丈夫ですから」
亜里沙は修行した結果、持続回復という技術を手に入れた。
そして、それを活用すると死ににくくなる。
消費魔力は結構多いのだが、通常より強い自分が使えばほぼ死ぬことは無いだろう。
だって傷を喰らっても1秒も経たず治るのだから。
「あ」
後ろから飛んできた流れ弾が亜里沙の頭を粉砕する。
「危なかった」
が時が巻き戻るかのようにすぐに元通りだ。
宗太は亜里沙の血を浴びて真っ赤になっていた。
「ほんとすごいな、私も本気を出そうか」
宗太は地面に魔力を這わせる。
魔力の流れである地脈に干渉し、その力の一端を借りた。
「さあ、出でよ。クリエイトゴーレム」
上の岩盤ぎりぎりのゴーレムが出現。
それを見たドワーフ達の動きが止まった。それぞれがそのゴーレムを下から見上げている。
そして、ゴーレムは破壊を開始する。拳を振り下ろした。
「ぎゃああああ」
そこかしこから悲鳴が上がり、ひしゃげたヘカトンが拳の下で倒れている。
一応手加減はしているので、中にいるドワーフは潰れていないはずだ。たぶん。
「おい、宗太のやつ。ハッスルしてやがるな、俺もじゃあ少し本気を出してみようか」
充と交代した日向が体を炎へと変化させる。
膨張した日向の体は大きな炎となり、そこには炎の巨人ともいえる日向がいた。
最高温度を維持しており、その大きな手でヘカトンを握り、手の中で溶かす。
やはり熱には強いが、それでも日向の熱量には負けて少しずつ溶けていた。
「よし、完成」
ヘカトンをただの鉄の塊へと変えていた。
充もそれを見て、もう一つの能力を解放する。
「はははははは、俺は最強へと至るのだ」
握っていた二本の剣を捨て、空間の割れ目から出てきた刀を引き抜く。
その刀は全体が真っ黒で、鞘がない。
抜き身のままの黒い刀は異様な雰囲気を放っていた。
「さあ、食らい尽くせ――――ジ・イズン」
黒い刀身の先から黒い何かが伸びる。
その黒い何かは目がなく、耳がなく、鼻がない。あるのは口だけ。
笑い声を上げながらヘカトンへと向かって行く。
「なんだ、この気色悪いのは」
「こんなもの切り落としてやる」
振った剣はその黒い何かを通過して地面へと突き刺さる。
切った手ごたえがない。
そして、そのままヘカトンの中を貫通していった。
「あ、え」
傷はないが通過されたヘカトンは膝を着いていく。
触れられただけでも少しよろめいている。
「こいつやばいぞ、力を持っていかれる」
「ただ攻撃の効果範囲は剣から半径10メートルほどらしいな」
それ以上離れていたら近づいてこない。
安心しているところで、黒い何かがこちらを向いて口角を向けていた。
本当に、安心できるのか?
「お前らも食われろ」
気が付けば後ろに剣が突き付けられている。
振り返り充の顔を見た瞬間に背後から黒い何かが貫通し、気絶した。
クラスメイト達が本気を出し、対処し始めてから立っているヘカトンの数が目に見えて減っていく。
もうすぐで全て制圧できるかと思った時、斗和が戦っているところから流れ弾が飛んできた。
それも恐ろしいほどの数だ。
「あん?なんだ?」
「リーダーが覚醒した!!」
「俺達はこれで勝ったも同然だ」
「うるせぇ、黙ってな」
斗和達は苦戦してるようだ。
クラスメイト達も助けに行きたいが、少し魔力量が心もとない。
まあ、こっちは全滅させたので後は斗和達に任せても大丈夫だろう。
危ない時は参戦できるようにクラスメイト達は見守る。
「ふれ~ふれ~」
芽衣は俺達にかけていたバフを斗和達に集中させる。
クラスメイト達は町に被害が出ないように、流れ弾を防ぐことにした。




