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ドヴェルグタウン

 ドワーフの国。

 エルフの森を北上したところにある鉱山に作られた地下都市にそれはある。

 鉱山都市であるため、鉄や金、宝石などの鉱山資源は豊富であり、製鉄の技術、宝石などを使った装飾品などを作成する技術は世界一。

 敵国であるが、その装飾品欲しさに裏で取引をして買う者も絶えないのだとか。

 武具の作成も素晴らしく、この戦争でドワーフ製の武具を使った者は生存確率が格段に上がることが分かっている。

 そして、斗和達はそのドワーフの国へと着実に向かっていた。


 「まだ、着かないのかよぉ」

 「だらしないわね、もっとしゃきっとしなさいよ」

 「それな~」

 「もう少し歩こうよ」


 日向がとぼとぼと歩いており、その顔には隠せないほどの疲労があった。

 それは日向だけではない。

 俺も少し疲れたし、三人娘も疲れているのが分かる。


 「俺もう限界だぜ」

 「俺も俺も」

 「はあはあ、そうはいってもここで止まるのは危ないと思うぞ」


 宗太が言ったとおり、ここはまだ魔物の領域であり、また木が茂っているため視界が悪い。

 不意を突かれて奇襲でも食らえば、対処が難しくなるだろう。

 もう少し開けた場所でもあればいいのだが。


 「それなら、俺が焼き払ってやろうか」

 「やめるのじゃ」

 「何でですか?リーシャさん」


 まあ、当たり前だが燃え移って大火災になりでもしたら、それはエルフにも迷惑をかけることになる。

 それに、その行動はあまりに目立つ。


 「まあ、もうすぐで森は抜けると思う」


 歩き始めてからもう5時間ぐらいは経っている。

 森林でじめじめとしたなか、普通の人ならその時間歩いていたら倒れる可能性があるが、俺達はこの世界で恩恵を受けているため、耐えることができた。

 歩く速度も一定にしており、遅れが出ておらず計画通り進んでいる。


 「魔物、出た」


 コマチが指を指した方向から足音が聞こえる。

 今回は進むことを優先しているため、魔物との戦闘はせず無視して行くことにしていた。

 だが、今回は少し様子が違うようだ。


 「キュイーン」


 魔物の足音の他に聞いたことがない音が聞こえる。

 それは魔物の足音ともにこちらへ向かってきた。


 「逃げんじゃねぇ」

 「ギャオス」


 大型の鳥のような魔物数匹が姿を現す。

 それは俺達を避けながらそのまま後方へと走り去っていく。

 そして、先ほど聞こえた声の主が次は姿を現した。


 「くそっ、早ぇな。ん?」

 「な、まじか!?」

 「うそだろ、まさかこれって」


 日向と充が目を輝かせる。

 それ以外は茫然だ。


 「「操縦ロボって、まじかよ~」」


 目の前には機械駆動している人型のロボットがいた。

 それも声が聞こえていたため、中に人が入っていたと思われる。


 「あん?お前達は何者だ?」

 「あ、ああ、すまない。俺達は怪しい者じゃない、旅人だ」

 「旅人だぁ?この先には俺達の国しかねぇ。もしかしてお前らはドワーフに用があんのか?」

 「そうなんだ、良かったら案内してくれないか?」

 「いやだね」


 不穏な空気が流れる。

 音を立てながら、こちらを向きその手を向けていた。

 来るか――――。


 「なあ、それってどういう構造してんだ」

 「かっけえな。まじで、良いなぁ憧れるぜ」

 「おっ、そこの二人はこの良さが分かるのか?これは、シグマっつうんだ」


 戦闘に入る雰囲気が一気に崩れ、日向、充、謎のドワーフとの会話が始まる。

 饒舌に自分の機体の話を始めたドワーフは止まることを知らない。

 日向と充もその話に興味津々だ。


 「なるほど」


 後ろから独り言が聞こえてきたが、どうも宗太も興味があるらしい。

 まあ、宗太は錬金術しだし繋がるところがあるのだろう。

 話はす1時間ぐらい行われ、その間日向、充、宗太以外は相手を刺激しないように静かに聞いていた。

 そして、話し終えた時、気を良くしたのかコックピットが開き一人のドワーフが下りてくる。

 身長は150cmぐらいと小柄だが、見た目は完全におっさんだ。

 出てきてすぐに日向と充に機体の外見について聞いていた。


 「ここはこうやって、こうしたらどうっすかね?」

 「こんな機能を付けたらすごくないですか?」

 「ほう、確かにそうすれば機動力も上がるかもしれねぇ。難しいがなかなか楽しそうだ」


 めっちゃ盛り上がっている。

 今回は日向と充に助けられた形だな。

 そして、その意見交換もやっと終わった。


 「お前達は怪しいが、このシグマの良さが分かる奴に悪い奴はいねぇ。よし案内してやる」


 出会ったドワーフに案内されて、森を抜け鉱山都市へ向かう。

 道中の魔物はドワーフの操るシグマによって倒され、運ばれる。

 話を聞けば、どうもこの森で食料調達のために魔物を飼っていたそうだ。


 「ほら、見えてきたぞ」


 草原を歩くこと2時間。

 目の前には大きな山々が連なっており、その中腹のところに門があった。

 もう日は落ち始めている。


 「夜になっちまうと入れてもらえねぇから。急げ」

 「分かった」


 シグマの速度に追いつくように、必死に走る。

 結構全力で走っているのだが、なかなか早くて追いつくことは難しそうだ。


 「おおい、もうちょっと早く走れねぇのか」


 まだ速度を上げるらしい。

 必死に追いかけるが、途中で日向、充、宗太、三人娘の順番で脱落していく。

 最終的に残ったのはコマチとダリルだけだった。


 「やっと、着いた」


 コマチは最終的に実体を失くし、追随するという方法をとって脱落しなかった。

 そして、それから数分してトワとリーシャ、ミア、メルが到着。

 その後数十分してクラスメイト達がたどり着いた。


 「コマチはともかく、ダリルも早いな」

 「走るのは得意なんだぁ」


 まだまだ走れると胸を張る。

 俺はすでに走り疲れていたので、本当にすごいと思う。

 コマチも横で胸を張っていたが、お前はずるい。


 「じゃあ、全員集まったことだし、俺が門番の奴に入れるように行っといてやる」


 シグマに乗ったまま門を叩く。

 そうすると門が開き、中から違う機体が顔を見せた。


 「お、シグマか。お帰り、それでその後ろの奴らは何もんだ」

 「いや、知らん。旅人らしい」

 「おい、それ怪しすぎるだろうが、そんな奴らを入れる気か?」


 まあ、普通は怪しいよな。

 そこでまた日向と充が疲労から復活し、目を輝かせながら門番の機体に近づいていく。

 そして始まったロボット談義。

 で、またそれで許されて入れることとなった。

 大丈夫か、ここの警備と思うが、俺達は入れたのはそのおかげなので何とも言えない。

 シグマに着いていきながら、地下へ続く階段を下りていく。


 「これは、すごいな」


 降りた先には派手に彩りされた世界が広がっていた。

 地下なのに建物が並び、その建物からネオンのように発光している看板が主張している。

 そして、そこでドワーフ達は飲んでいたり、賭け事をしていたりと楽しそうだ。

 なんか想像していたのと全然違っていた。


 「な、自慢の国だぜ」

 「あそこにも機体が走ってるぜ」

 「あ、そこにも」


 町には機体も走っている。

 政治経済の教科書で見たネオン光る町の風景に、近未来の操縦ロボが走っているという何とも不思議な光景だ。

 俺達は圧倒されていた。


 「じゃ、まあ、外の者を連れてきたら決まりでね。ちょっと着いてきてもらうぜ」


 そこで愛機のシグマを降り、格納庫に入れた。

 狩ってきた魔物達は近くのドワーフに渡す。


 「ようこそだな、ここはドワーフの国――ドヴェルグタウンだ。そして、俺の名はギムルってんだ。よろしくな」


 ギムルと握手を交わし、彼に案内されて町をの中を行く。

 行く先々で、ギムルは他のドワーフ達に絡まれている様子から、町の人たちにとても人気だということが窺える。

 そのまま奥へ奥へと進み一つの大きな工房にたどり着いた。


 「ここだ、すまねぇが俺が手伝えるのはここまでだ。後はお前さんらが代表に気に入られるかだな、頑張れよ」


 この工房に代表のドワーフがいるらしい。

 俺達はここまで案内してくれたギムルに礼を言い、工房の中へと入っていった。



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