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救出作戦開始

 夜となり、エルフの森は綺麗に彩られる。

 道の端には花々が飾られ、エルフの人々は着飾っていた。

 その町の様子を見ながらイールと共に歩いていく。


 「もうすぐで結婚式が始まるね、体の調子はどう?」

 「ああ、大丈夫だ」


 花で飾られた道の奥に鎮座する城を見る。

 今から助けに行くからな。

 連れ去られてしまった仲間達とクラスメイトを助けなくてはいけない。

 エルフの青年イールもこの王の横暴は許せないらしく、表立っては協力できないが、裏から支援してくれるようだ。

 城の門が開く。

 そこから馬車が出てきた。


 「あれが公爵の馬車かな、で、後ろにある馬車が王と君の愛しのエルフが乗ってるはずだよ」


 ゆったりと時間をかけながら馬車は進んでいく。

 王が結婚するのだ、祝わない国民はいない。

 すぐさま、その民衆の中に混じって馬車の様子を確認する。

 馬車は特に変わったところはなく、普通の馬車のようだ。中はカーテンが張られているため詳しく見ることができない。

 そのまま前を通り過ぎて行ってしまう。

 ここでは仕掛けない。

 確認するため、馬車を見に来た。

 そして、メルが馬車の中にいることを確信する。メルの魔力が微かだが感じる。


 「どう、いるかい?」

 「どうも正解のようだ。この後城で祝いの席だよな」

 「そうだよ。そこが一番の狙い時だと僕は思う。なんたって誰も武装していないからね」


 エルフのしきたりで冠婚葬祭は武装が禁止なのだとか。

 そのため、ここが一番の好機と言える。

 もちろんのこと、相手側もその時が一番守りの薄い時だということは分かっているはずなので、警戒は特にしているはずだ。

 その警戒された中をいかに迅速にばれないように近づけるかが鍵となる。

 イールと少し話し合い、この場を後にした。











 「素晴らしいじゃないか、君も見たらどうだい。癖になるかもしれないよ」


 窓の外を指しながらこの国の王ははしゃいでいる。

 私はとてもそういう気分にはなれない。

 背筋を伸ばし、彼がどのような行動をとるのかを監視しなくては。


 「もう、そんな緊張していたらもたないよ。もっとリラックスしなくちゃ」

 「大丈夫です」

 「強情だなぁ、どうせ君の仲間は助けに来ないよ。結構ぼろぼろになっていると思うしね」


 マールズから仲間達が助けに来てくれていたことは聞いた。

 そして、トワさん以外が捕まってしまったことも。

 今回の結婚式の余興として、ミア、リーシャ、コマチや他にもいろいろな人が処刑されてしまうらしい。

 なんとか助けたいが、いまメルには体の自由があまりなかった。

 魔法は封じられ、ドレスにより早く動くこともできない。

 メルは助けを待つことしかできないのだ。


 「メルちゃんはさぁ――」

 「その名前で呼ばないでください」


 こんな男に名前を呼ばれたくない。

 反吐が出る。


 「まあ、いいや。どうせ式が終われば君は君じゃなくなると思うしね。今、反抗された方がいいよ」


 そう言って、座って横に置いてある木の実のお菓子を食べる。

 馬車の周回はもうすぐ終わりを迎えていた。











 城に忍び込むことができた。

 今、城の中は先ほどよりも警備が薄くなっている。

 城の中を守るよりも王を守ることが最優先とされた結果だ。

 俺は建物などの影に隠れながら王城の扉に向かって進んでいた。


 「うん?」


 城の奥の方から煙が上がっている。

 何かを燃やしているのか、煙は一向に収まらない。

 俺はそれが少し気になりその煙が立っている場所へと向かう。


 「!!」


 煙が出ている場所には焼却炉見たいな装置があった。

 そして、その傍にはさっきまで戦っていたメイドさんが横たわっている。

 顔は白く眼を閉じている様子からは、死んでいるように見えた。


 「おい、今回も派手に殺したな」

 「まじでこんな可愛い子を殺すなんて、もったいねぇ」


 俺も死にかけたあの紫の煙は彼女達を死に追いやってしまったのだろう。

 彼らはその焼却炉のような装置の中に彼女達、遺体を投げ入れていた。

 中が赤く光り、夜であるためよく燃えているのが見える。

 まさか、あの攻撃は自爆攻撃だったなんて……。

 衝撃の真実を知り、茫然とする。

 ミアやリーシャ、コマチも危ないかもしれない。

 彼女達も直にその煙を受けていたはずだ。


 「急いで探さなくては」


 一旦その場を離れ、城に侵入する経路を探す。

 確か、迎賓館の方からも入れたと思う。

 あの親切に教えてくれたメイドさんも、俺達が入った扉と違う方向にある扉から出入りしていたので、そこが王城へと繋がっているかもしれない。

 すぐさま、迎賓館へと行き、中に誰もいないことを確認して、親切なメイドさんが出入りしていた扉を開ける。

 そこは炊事場となっていた。

 ここでお茶を入れ、そして食事も出すのだろう。

 そして、左の方向にまた扉があるのが見える。

 これが王城につながる扉だろう。


 「よし、誰もいないな」


 気配は感じない。

 ゆっくりと開け、誰もいないと分かり、続く通路を進んでいく。

 代り映えのしない通路を進んでいくと、王城のエントランスホールへとたどり着いた。

 そこからは記憶を頼りにして牢屋の部屋まで向かっていく。

 そこまで時間がかからず、その部屋についた俺は立ち止まっていた。

 門番が4人体制で入口を見張っているのだ。

 そして、休憩場所もすぐ近くに用意され、4人同時に声を出す暇もなく倒さないと増援が来てしまうことが予想される。

 ミア達がここにいることは間違いないだろう。

 しかし、どうやって突破すればいいのか分からない。

 悩んでいると上の方で歓声が上がっていた。

 どうも馬車が帰って来たらしい。


 「これはまずいな」


 門番の4人も帰ってきたことが分かったのか、門を開けて中に入っていった。

 これから処刑の準備をするのだろう。

 これは好機だ。

 気配を消し、二人になった門番を同時に気絶させる。

 思いっきり頭を殴るのだ。死なない程度に。

 倒れる音を立てないために、体の表面を強化魔法で固めて立たせておく。

 これで完璧だ。

 扉に入っていった門番2人が帰ってくる音がする。


 「よし、一旦隠れることにするか」


 じゃらじゃらと鎖の音をさせながら、2人の門番は帰ってきた。

 その鎖の先にはミア、リーシャ、コマチ、そしてクラスメイト達が繋がれていた。

 ミア達の顔色は悪くない。彼女達の耐性が勝ったのか、はたまた処刑のために生かされたか分からないが、無事で良かった。

 門番2人は外で待っていた2人に声をかけている。

 が、彼らは気を失っているので返事をすることができない。

 兜によって隠された顔が見えないために、そのことが分からないのだ。


 「今だ」


 有り余る身体能力を活かし、音もたてずに近づき鎖を引きちぎる。

 鎖が落ちる音が鳴り響いた。

 ミア達は来ることが分かっていたかのように、分担して休憩室にいた看守を無力化していく。

 一方クラスメイト達は何が起こっているのか分かっていないのか、茫然として固まっていた。

 クラスメイト達に声をかける。


 「大丈夫か、助けに来たからちょっと手伝ってくれ」

 「あ、ああ」


 神野が硬直から回復し、錬金術のスキルで音が響かないように俺が来た入口を塞ぐ。

 そして、休憩室も塞いでしまった。

 さすがチート能力だ、末恐ろしい。ミア達もその現象に驚いている。

 この世界基準で言えば、彼らは神に近い能力者なのだろう。


 「それにしても、斗和に助けられるなんてな」

 「そうだぜ、俺達の方が助ける側になるかと思ったんだが」


 日向と充が少し膝を震わせながら話している。

 監禁されるというのは、普通、日本で暮らしていたらないことだろう。

 三人娘の方はまだましか。


 「それでこれからどうするんだ?」

 「これから行われる結婚式をぶち壊そうと思うんだ。手伝ってくれないか?」

 「それは構わない。俺も今回のことでこの国の王に疑問を抱いていたんだ、協力しよう」


 神野は一向に構わない様子だ。

 賢い彼のことだ、これからの作戦に当たっての行動の意味を理解してくれるだろう。

 一度全員を集め、イールと考えた作戦を伝える。

 神野も納得し、ミア達も言うまでもなく納得してくれた。


 「――という具合だ」

 「では、俺達は物的被害を増やしていけばいいんだな」

 「なるほど、ぶっ壊してけばいいってことだな。任せろ」

 「ああ、任せておけ」


 日向、充ともにやる気満々だ。

 それの調整役として神野もついていってもらう。

 そして、俺達はまず奪われた武器を取り返すことに専念する。


 「で、私達は町の人たちをどうにかしなくちゃいけないのね」

 「それな」

 「分かったよー」


 彼女達、三人娘には町の人たちにもしもの危険にさらされた時に活躍してもらうことになっている。

 イールは町にも被害が行くことに、王は何にも思っていないと言っていた。

 もしもがあってはいけないため、彼女達に任せることにする。


 「で、俺達は武器を取り戻した後、すぐにメルを助けに向かうぞ」

 「はいっ!!」

 「分かったのじゃ」


 そうと決まればすぐにでも行動を開始する。

 メルが王の花嫁となってしまう前に何とか助けなくてはいけない。

 メル救出作戦が始まった。



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