白いリザードマン
遅くなり申しそうろう。
次の話もしばし待たれよ。
リーシャが仲間に加わった。
リーシャのステータスを確認する。
リーシャ
職業:竜神姫Lv12
HP:138/138
MP:5/5
物理攻撃力:68 素早さ:92 魔法攻撃力:121
物理防御力:104 器用さ:32 魔法防御力:98
ユニークスキル
龍撃魔法
スキル
危機察知Lv2、忍耐Lv3、格闘術Lv2、回避Lv1
ユニークスキルを持っており、またスキルも4つも持っているし、レベルが12となんとも頼もしいものだ。自分のステータスではゴブリンでさえ殺されかねないために、仲間ができたのはとてもうれしい。さらには可愛い女の子ならなおうれしい。
「これからのことなんだけど……」
リーシャに自分が勇者であること、しかし自分には恵まれたステータスは無く、戦闘では迷惑をかけることを説明する。
「女性に戦闘させるのは心苦しいけど、自分はこの世界の女性より弱いから頼む」
「それは構わんが、奴隷だからと言って何でも言う事を聞くとは思わんことだ」
何でも言う事を聞かせようとは思ってないけど……。
友好の印としていろいろポロリしそうな格好を直すべく、近くの洋服店で服を買ってあげる。
リーシャは動きやすい服装をチョイスしている。肌面積も少なく非常に残念だ。
残高を確認すると残り140万パラル。ユニ○ロなどで売ってそうな服なのに上下セットで40万パラルするのは高すぎるのではと思いマリルさんに聞いてみると、これが普通なのだとか。
「これからどうしようかな」
奴隷を買うという目的はもうすでに達成されたのだが、何だか味気ない気がする。
「モンスター商の所に行ってはどうでしょう、魔物使いなのですから」
マリルさんの提案に異論は無く、モンスター商店のある所へ馬車を走らした。
モンスター商は第二区画の商店地区にあるらしく、なぜ第一区画にないのかというと、第一区画に住む貴族達にもしものことがあってはいけないということと、モンスターに強い恨みを持つ大貴族がおり出店できないという理由があるようだ。
馬車の中ではリーシャに話しかけようとしたが、話しかけるなという雰囲気を醸し出しており、会話のないままモンスター商店に着いてしまった。
モンスター商店は第二区画にある建物に比べてとても大きく、看板にはでかでかと『モンスター商店』と記されていた。
「どうも、いらっしゃ~い」
モンスター商店に入ると、気だるげなお姉さんがお出迎えしてくれた。目にはくまができている。
王国にあるモンスター商はここしかなく、王国自らが運営しているらしい。なんでもコロシアムで戦わせるモンスターの管理場所もかねているのだとか。
「ちゃんと店番が機能してないのですかこの店は」
「は、はいー。い、いらっしゃいませ、きょ、今日はどのようなご用件で」
マリルさんからきついお言葉が飛び。
店番のお姉さんはマリルさんを見るなり、慌ててまじめに接客をしだす。
自分はさっきの方が気楽で良かったのだが。
「えっと、戦闘に使えるモンスターを買いに来たんです」
「はい、わかりました。どのようなモンスターがよろしいでしょうか」
店員のお姉さんは店の奥からリストを持ってきて見せてくれる。
モンスターの中にはゴブリンやスライムなどの知性を持たない者や、逆にオークやホブゴブリン、コボルトやリザードマンなどの知性を持つ者がいるようだ。
正直どれがいいのか分からない。
「スライムはおすすめですよ、物理攻撃はほぼ無効です。火などに要注意ですが」
つまり、魔法にはめっぽう弱いということだ。だめじゃん。
「じゃ、じゃあコボルトはどうでしょう。ペットとしても貴族の方に人気ですし、かわいいですよ」
しかし、戦闘能力はあまり無いというわけだ。もっと良いのはいないのだろうか。
不満なのが顔に出てしまったのか、次に次にとモンスターの紹介にあわせ、そのモンスターの豆知識を披露するがあまりしっくりこない。
「つ、次が、最後、です」
もうかれこれ十分ほど喋りっぱなしだったために、お姉さんは息切れしていた。
「このリザードマンです」
リザードマンはさっきも紹介されたのだが。
「もちろんさっきのリザードマンとは一味違います。なんとこの子は私たちと同じくらいの知能を有してるんですよ、それに加え一般のリザードマンより少し強く、捕まえるのに苦労したそうです」
紙に書かれている情報だけなのでどんな奴なのかそれ以上は分からないため、実際に会ってみることにする。
「どうぞ、こちらへ」
お姉さんの後ろに付いていき、店の奥へと進んでいく。少し薄暗い。
店の奥にはいろいろなモンスターがおり、鳴き叫び、中には檻にぶつかっているのもいる。
今にも抜け出せそうで怖い。
「大丈夫ですよ、この檻は魔法によって中にいるモンスターの力を十分の一にしてますから。ただうるさいだけです。まあ、それで苦しめられてるんですけど」
「は、はあ」
なかなか苦労しているようだ。
たくさんのモンスターを見て突き進み、ようやく例のリザードマンのいるところにつく。
そのリザードマンは檻の中で正座をし、目を閉じている。明らかにさきほどまで見てきたモンスターとは雰囲気が違う。まるで歴戦の戦士のようだ。
そして、もう一つ普通のリザードマンとは違うところがあった。それは鱗全体が白く輝いていることである。自分の世界で言うアルビノという突然変異なのだろう。
「ほう」
リーシャがそのリザードマンをみて感嘆する。
「おい、目を開けろ、客が来てるんだ。おい、聞いているのか」
「あ、あの一度このリザードマンと二人きりにしてくれませんか」
「え、ああ、いいですけど」
お姉さんが檻を蹴り、罵倒しており、このままではこのリザードマンに危害まで加えるのではと思い、リーシャとマリルさんと共に店の入り口の方まで出てってもらう。
行ったのを確認し、リザードマンの方に振り向くとそのリザードマンが目を開きこちらを見ていた。
「人の子よ、私を従えるつもりか」
「喋れるの!」
女性特有の少し高い声で目の前のリザードマンが語りかけてきた。
知能が高いとは聞いていたが、自分たちの言葉を理解し、喋れるのは予想外だった。
「あ、従えるっていうか、これから一緒に戦ってくれる人を探してて……」
「私を見て、人といいますか」
リザードマンさんは舌をちろちろとしながら、じっと見つめている。
自分も見つめてみると、リザードマンさんの目が少し赤みを帯びていることに気付いた。
白い鱗と相まって綺麗である。
それからどれほど見詰め合っていたのだろうか、リザードマンさんが口を開く。
「あなたは、悪い人ではないようですね。普通の人とは違うようです」
それからリザードマン――ミアさんと言うらしい、と自分が置かれている自分の状況や、逆にミアさんがなぜこのような状態になったのかなどの話題から話し始め、話はこの世界についてなど転々とする。ミアさんがなぜ捕まったのかについては、ミアさんは他のリザードマンといろいろ違うために群れから追い出され、一人で旅をしているときに冒険者に捕まったらしい。
ミアさんとは気が合うようで、話は結構長く続いた。
とても良い人だと話して分かったし、気が合うので一緒に来てほしくなった。
「もう、いいですか」
モンスター商店のお姉さんが来たので、話を終了し、決めたことを伝える。
「この人を買いたいんですが、いくらですか?」
「お買い上げになりますか。そうですねえ、こんな珍しいリザードマンなんで200万パラルはくだらないんですが……こ、今回は特別半額の100万パラルでいいです、はい」
あとから来たマリルさんの一睨みで値段が半分となった。マリルさんまじ半端ない。
その後は、100万パラルをその場で払い、契約書にサインする。
「あ、ありがとうございました。はぁ」
そして、今日は二人の仲間ができ満足したので、モンスター商店を出て王城の自分にあてられた部屋へと戻ってきた。
それから、その日の夜のことだがリーシャとミア(さん付けは不要とのことで)は女性であることと、リーシャがまだ自分のことを認めてないために、自分の部屋のベッドに二人で寝てもらい、自分はマリルさんに敷いてもらった布団の上で寝た。
布団でも高級品なのでふかふかだったために快適に眠れた。
その日の他のクラスメイトも自分と同じように各々自由に過ごしたそうだ。