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エルフからの襲撃

遅くなりました。すみません。

 エルフ達の濃厚な殺気はじりじりとこちらへ向かってきている。

 もうすでにこちらのことなど聞く耳はないようだ。


 「おい、どうするんだよ」


 日向が呪文を使える状態へと移行し、待機しながら言う。

 相手が見えない以上、こちらは相手が攻撃した瞬間にこちらも応戦をしなくてはいけない。

 そして、それは勇者であるクラスメイトと俺にとっては簡単だろう。


 「相手に危害を加えたらいけない、まずは様子見だ」

 「それはいつまでするんだよ、応援を呼ばれても知らねぇぞ」


 宗太の行動方針に関し、充は納得がいっていないようだ。

 また相手が一歩近づいてくる。

 もうすでに彼らの射程圏内に入ると思われる。


 「もうやめてください、私たちは争いに来たわけじゃありません」

 「……!!」


 メルがフードを除け、エルフ特融の尖った耳を周囲に晒す。

 動きが止まった。

 どうもメルがエルフと知って迷いが生じたようだ。

 このまま話し合いに持っていけたらいいのだが。


 「下賤なまねを、エルフの森にいないやつはエルフではない。裏切者には死を」


 そういった言葉が聞こえてきた瞬間、四方八方から矢が飛来する。

 避ける空間も無いぐらい飛んでくる矢を日向は焼こうと考えた。


 「これでも食らえ」

 「まずい、それをやっては」


 とっさに宗太が止めようとしたが、すでに遅し。

 矢は全て焼け落ちたのだが、その火は森の木に燃え移ってしまった。

 木が一本だけ燃えている。

 このままだと他の木に燃え移る可能性もあるため、ミアに合図を送った。


 「はい」


 ミアはクレイモアを振り、燃えている木を切り倒した後、剣でその木を上へと打ち上げる。

 そして、メルにより空中で燃え尽きるように燃焼を加速、完全に燃え切って炭になって木が落ちてきた。

 ふー、危なかった。

 森が燃えました、とかなってしまうと俺達が国に追われることになるところだった。

 そして、その事態を起こした日向は三人娘に囲まれてお説教を食らっている。

 本当に危ないことだったので、日向も反省からかその場に正座していた。


 「く、大事な木を焼くなんてくそ野郎どもが」

 「もういい、容赦はいらない。こいつらは悪だ、滅ぼすしかないと俺は思う」

 「そうだ、殺してしまえ」


 んんん?なんかまずい方向で話が進んでいっているぞ。

 日向がバカなことをしたせいで、より彼らの敵意が増したじゃねえか。

 何かとりえる手段はないだろうか、と思案してみる。

 また矢が飛んできた、前のよりは数が少ないがそれでも脅威に変わりはしない。


 「よし、見えた」


 何が見えたって?それは矢が飛んでくる方向さ。

 もう相手が実力行使に出てくるなら、こちらもそうするしかないよね、という脳筋の考えのもと一人ずつテイクダウンしていく。

 仲間にもすぐに終わらせるために伝える。


 「気絶させるだけだったらいいよね?」

 「いいと思います」

 「やってやりましょう」

 「そうじゃのう、防戦一方というのも飽きるしのう」


 メルは頬を膨らませ、ミアは乗り気に、リーシャは呆れながら頷いた。

 行動開始。

 俺は一番近くにいるであろうエルフの元へと向かっていく。


 「なっ」


 矢が飛んできた方向に最速で突き進み、その姿を目に収めることができた。


 「はっけ~ん」


 なんだか悪いことしているようで申し訳ないが、攻撃を仕掛けてきたのは相手なので了承してもらうしかない。

 すぐさま高いステータスを活かし、背に追いつく。


 「貴様、なぜこの森で俺に追いついこれる」

 「ああ、えっと、ただのチートですね」


 これ以上追いかけっこしても意味がないので、そのまま首に打撃を与え、気絶させる。

 まず一人。

 そして、その行動に気づき逃げようとしている気配を感じたため、そちらの方に走る。

 一人目と同じようにすぐさま相手の背が見えてきた。


 「化け物め」


 今回はエルフの女性のようだ。

 おっと、矢を放ってきた。

 矢を手でキャッチしながら、距離を縮めていく。


 「この、くそ、食らえ」


 次はメルと同じ風魔法のようだ。

 だがしかし、メルとは違って威力も速度も全然足りない。

 手ではじけさせる。

 その様子を見て相手は顔を青くしていく。


 「ごめん」


 一応謝ってから首に一撃を食らわした。

 すぐさまエルフの女性が気絶し、その場に倒れる。

 俺が二人のエルフを気絶させている間に、メル達の方も終了したらしい。

 気絶させたエルフ二人を運んで、クラスメイト達のところに戻るとメル達が捕まえたエルフ達が縛られて座っていた。


 「なんつう化け物だ」

 「信じられねぇ、森で育った俺達を捕まえるなんて……」

 「……」


 どうも俺が連れてきたのと合わせて5人いたらしい。

 二人のエルフを横たわらせる。

 クラスメイト達は捕まえられたエルフ達を見て、とても驚いていた。


 「おい、まじで捕まえたのかよ」

 「すげえな」


 日向と充はエルフ達を見回し、一人のエルフに目を付けた。

 それは俺が捕まえてきたエルフの一人で、美少女だったのだ。

 そう美少女だ、男にとってはとてもうれしい存在だと言える。

 だが、イエスロリータノータッチの精神は守らなくてはいけない、それは日本じゃなくてもだ。


 「変なことするなよ、日向、充」

 「は、はあ、変なことってなんだよ」

 「そうだよ、何もしないって」


 俺が言う前に宗太が二人に釘を刺した。

 さすが宗太だ、二人の保護者という称号を与えよう。

 要らないだろうが。


 「さて、立場は逆転したんだが、どうしてこんなことをしたのか教えてくれないかな」


 ここは優しく言うのではなく、少し殺気を放ちながら脅すかのように聞いてみる。

 さっき丁寧に対応しても話を聞いてくれなかったためだ。

 もちろん、殺気は通常の人であれば気絶しそうなほどのものを放っている。

 彼らにとって息が詰まるような感覚に陥っているだろう。


 「話してくれるよな」

 「は、はひ」

 「ひっ」

 「くっ、くそ化け物が」


 一人ずつ目線を合わしていくが、それでも誰もしゃべろうとしない。

 なかなか訓練されているようだ。

 そうこうしているうちにまたも遠くから近づいてくる気配を感じた。


 「おい、次は誰だよ」


 全員気づいたのか、警戒する。

 そして、姿を現したのは数百もの数のエルフの軍隊だった。



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