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勇者の到着、しかし戦争は終わってた。

 ラーマ王と獣人族の王との話し合いがあった次の朝。

 ラーマの国に、一つの集団が遅れながら姿を現した。


 「おい、本当にここがラーマか?なんか戦争してるって感じじゃねぇぜ」

 「確かにおかしいな。住民の様子が戦争のそれとは違う」


 そう言いながら、周囲を見回すのは人間の国の勇者――田村日向と刈谷充がいた。


 「なんだか、皆浮かれているような感じね」

 「それな」

 「ほのぼのー」


 そして、その後ろには、柏原亜里沙、区杉芽衣、笹原美貴の三人娘が。


 「住民に聞いてきたんだが、戦争はもう終わったらしい」

 「え、何で終わっているんだよ。せっかく俺つえーしたかったのに」

 「異世界の美女にかっこいいところを見せる機会が……」


 最後に姿を現したのは神野宗太だった。


 「どうも、今回の戦争は和解で済んだようだ」

 「そうなの?なら良かったー」

 「全然良くねぇよ。俺たちの出番なしってことじゃねぇか」

 「まあまあ、この国には奴隷商があるらしいし、ちょっと見に行かねぇ?」

 「うわ、男子って最低ね」

 「それな」


 それぞれ格好が上等なものを着ているためか、はたまたこの地域では見られない格好なのか注目が集まり、必然的に接触することとなる。


 「あなたたちはマルバーン王国から来てくださった勇者様方ですね?」


 三人の兵士を携えた一人が声をかけてきた。

 他の兵士の無骨な鎧と違い、少し装飾が入っているため、この兵士より立場が上だと思われる。

 どうも、この兵士達は勇者達の目立つ姿に気づき近づいてきたようだ。


 「王城へと案内しますので、付いてきてください」

 「分かりました。それで、聞きたいことがあるのですが――」


 戦争が終わったことについて本当かどうか確認する。


 「戦争は終わりました」

 「そのおかげで私たちも生きてこうしていられます」


 そう言って、笑顔を見せる兵士に本当に戦争が終わったのか、と実感した。

 そして、兵士達に連れられて王城へと向かう。











 「面を上げよ」

 「はっ」


 今なぜかラーマ王の前にいるのだが。

 そして、周りにはいつもいるはずの貴族、宰相がいない。

 これは一体。


 「このたびの褒賞についてなんだが、何が欲しいのかと思ってな」


 戦争を止めた功績に対しての報酬は何かということだが。

 欲しい物は特にない。

 仲間にも相談してみる。


 「私もあまり必要なものはありません」

 「我も特にないのう」

 「ないです」

 「ない」


 仲間達も特に無いようだ。

 じゃあ、すげなく断って……。


 「まさか、褒賞を断るとかは言わんよな?」

 「は、はあ」


 なんかめっちゃ睨んでるんだけど。

 どうしてそんなに褒美を与えたがるのか、俺には分からない。

 そして、誰も欲しいものがないなら、無難にお金を貰うことにしよう。


 「では、少しばかりの金貨を貰えたらと」

 「それだけでいいのか?ならそれはすぐに用意しよう」


 そう言って鐘を鳴らし、扉から現れた文官の一人に金貨を持ってくるように伝える。

 これで、報酬の話は終わり。


 「それでなんだが」


 うん?

 まだ王は話があるようだが、一体。


 「実は頼みたいことがあってな、この文書をエルフが住む森へと届けてくれないか?金貨とは別に報酬も出す」


 そう言って、王はエルフであるメルを見る。

 つまり、エルフの仲間がいる俺にしか頼めないということだろうか?


 「そういえば、この国でエルフを見かけませんね」

 「エルフは少し特殊だからな。あまりあの森から出ようとしない、出れたとしても捕まえられ奴隷に落とされたりする確率が高いため、なかなか出ようとはしないのだ」


 我がラーマは保護するが、と悲しみを顔に浮かべながら言う。

 そして、その救いの手をもう十年も前から差し伸べているのだが、警戒心からかその手を握ってくれないのだという。

 そして、ここにメルという同族のエルフがいる。

 これは頼むしかないと思ったのだろう。

 俺たちもすべての種族が手を取り合える世界を目標に旅をしているから、ラーマ王の言葉には賛同できる。


 「それでなんだが、この者達も連れて行って欲しいのだ」


 そう言った瞬間、後ろの扉が開く音が聞こえた。

 そこには6人の男女と兵士が二人いる。

 その6人には見覚えがあり。


 「え?」

 「あ、斗和じゃねぇか!?」

 「本当だ!!斗和がいる、でもなぜだ?」


 日向と充が駆け寄って来る。

 それに遅れて宗太、亜里沙、芽衣、美貴が部屋へと入ってきた。


 「お前一体どこで何をしていたんだよー?」

 「お前は死んでいなかったのか、良かったぜ」

 「まあまあ、日向も充も落ち着け。久しぶりだな、斗和」

 「ああ」


 あ、そういえば勇者が応援に来てくれるという話を忘れていた。


 「生きてたんだ」

 「それな、まじそれな」

 「良かったよー」


 どうも黒田以外は無事のようだ。

 そのことについて、誰もしゃべらないため突っ込まないほうがいいのだろう。

 そして、今回の戦争について俺の方から説明しておく。


 「まじかよ、てか、お前ってそんなに強かったか?」

 「確か魔物使いだったよな、クラスは」

 「まあ、俺の炎には勝てないさ。くそー俺も活躍したかった」


 「ごほん、再会を喜んでいるなかすまないが、話を聞いてもらってよいかな?」


 おっと、ラーマ王をそっちのけで盛り上がっていた。

 これは、失敬。

 すぐさま、ラーマ王の言葉に耳を傾ける。


 「では、さきほどの話なのだが、これから君たちにエルフの森へと向かってもらう。もちろんマルバーン王国の方にも承諾は得ている。勇者達に経験を積ませてほしいともな」


 そして、このお使いを勇者の方にも頼むということか。

 難易度的には難しいわけではないし、命の危険もあまりない。

 また、手紙を送り届けられなかったとしても、そのことを報告してもらったらこのお使いは終わり。


 「まじかー、俺の奴隷ちゃんは……」

 「可愛い子ちゃん達が……」

 「本当にお前たちは」


 どうも日向と充は奴隷に関して楽しみにしていたようだ。

 それを咎める宗太。

 呆れた目を向ける女子たち。


 「この依頼を達成してもらえたなら、奴隷も与えよう」

 「え、まじか!!ラーマ王分かってるぅ」

 「すいません、ラーマ王。無礼な者達で」


 日向と充はなんか合わないうちに変わった気がする。

 雰囲気というかなんというか。

 まあ、彼らもいろいろとあったのだろう。


 「準備も必要だと思う。三日後にエルフの森へと出立してもらえるか?」

 「わ、分かりました」


 まあ、勇者の力があるならそんなに危険はないはずだ。

 不安を感じないか、と言われれば感じるのだが。

 日向と充は褒美の奴隷に関してすでに話し合っているようだ。

 三人娘は固まって何かを話している様子。


 「すまない、斗和。迷惑をかけると思うが」

 「宗太も大変だな。問題児を連れて」

 「ああ、それに関しては本当に大変だ。最近は日向も充も調子に乗っているからな」


 宗太が何だか老けて見える。

 日向と充のおもりが大変なんだろう、ご愁傷様、と心の中で思った。

 そして、三日後その問題児と一緒に旅をすることにため息をついた。


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