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クラスメイトと階層主

 トワとメルが話していた頃、他のクラスメイトは……。


 「ねー、これってどこまで行くの?」

 「超辛いんだけど」


 辺りは薄暗く、壁に埋まった鉱石が仄かに輝き、自分達を導いているように見える。

 悠太達はダンジョンを攻略しながら、レベル上げに勤しんでいた。

 この世界にあるダンジョンは確認されているだけでも六つあり、今悠太達は人間族の領域にあるダンジョンを攻略中である。

 このダンジョンは地下へと深く続いており、今悠太達が攻略しているのは十七階層。

 冒険者はここまで来るのに最低でも五年はかかると言われているが、悠太達はそれをたったの四日でやり遂げてみせた。


 「今回は階層のボスを倒してから帰ろうと思うから、もうちょっと待って」

 「はーい、早くしてよね」


 「「「ググギャアアア」」」


 実にまったりした雰囲気な中、上から魔物が複数体降ってくる。

 ハーピーやコボルト、小さなドラゴンも中には混ざっていた。

 が、しかし。


 「うぜえ」

 「我の爆炎に沈め」

 「「「グガァァ」」」


 狂戦士である和也が大剣を振り落とすと地面が爆ぜ、炎術の魔導師である日向が持つ大杖が振られると、炎を吹きながら魔物のが内部から破裂した。

 あっさりと全ての魔物が消滅する。


 「てかさあ、私いらないよね」


 天職が応援者である芽衣は未だサポートで役に立ってない事を呟く。

 彼女も一緒になって戦うこともあるが、それはレベル上げのためであって応援者として活躍したことは本当に手で数えれるぐらいしかない。


 「私も何もやってないから一緒だよ~」

 「そうそう」


 美貴と亜里沙が呟きを聞いていたのか賛同の意を示す。

 はっきり言って女性陣はこのダンジョン攻略を始めてから戦闘らしい戦闘はしていなかった。


 そのあとはあまり会話も無く、淡々と魔物が現れては瞬殺され、暗い道を進むだけ。

 ダンジョンを三階層下り、迷路状の通路をマッピングしていく。

 あまり変わり映えのしないダンジョンに飽き飽きしていた時だった。


 「お、着いたみたいだな」

 「やっと、ボスのおでましだぜ」


 何回目か分からない曲がり角を曲がったところに綺麗な装飾をした扉が現れた。

 暗いダンジョンの中でその扉は異様に照り輝いており、悠太は笑みを浮かべる。


 (やっと着いたんだ)


 悠太にはダンジョンを攻略するという目標の他に、もう一つ目標があった。

 それは、この扉の向こうにいる階層主――ダンジョンの守り手と呼ばれる魔物を殺すことだ。

 数日前にメフィルという悪魔族に仕えることになり、井戸での一件と今回のダンジョンボスの抹殺が命令されていた。もちろん、和也以外の他のクラスメイトはそんなことは知らない。


 「え、皆戦う気満々だけどここの階層主って戦わないので有名だよね?」

 「確か昔戦わなくていいのに攻撃して瞬殺された人がいたとか」

 「え、なにそれ怖い」

 「ふ、お、俺の爆炎もここでは調子がでなさそうだ」


 王様からはここにたどり着いたのなら、攻撃はせず質問に答えるだけでいいと言っていたのだが、充と日向は聞いていなかったようだ。

 もし聞いてなかったとしても、この扉の様子から今までの階層主とは違うことが分かりそうなのだが……。


 「じゃあ、皆準備は良い?開けるよ」

 「――ちょっと待ってくれ」


 悠太が扉を開けようとしたとき、待ったの声がかかる。

 皆がその声に振り向くと、そこにはずっと無言を貫き通していた宗太がいた。


 「入る前に気を付けてほしいことがある、ボスに攻撃しないだけでなく、階層主からの質問は絶対答えてくれ」

 「答えなかったら?」

 「その階層主と戦闘になるそうだ、本の知識が正しければな」

 「分かった、皆も分かったな」

 「「「はーい」」」


 宗太からの忠告を受け取り、悠太は再度手を扉に置く。

 そして、ゆっくりと力を前へと込めていくと徐々に扉が開いていった。


 「おおお」


 誰かが感嘆の声を上げる。

 感嘆の声を上げなかった者達も驚きに固まってしまう。

 扉の先にはダンジョンとは思えないほど煌びやかな空間が広がっていた。床には金の刺繍が施された絨毯がひかれ、壁には見たことのない紋章の旗がずらりと飾られている。極め付けにこの部屋の奥には王座が鎮座している。


 「それで、ここの階層主はどこにいるんだ?」


 辺りを見渡すが、階層主らしき影も見当たらない。

 すると……。


 「バタンッ」


 後ろの開いた扉が独りでに閉まる音が聞こえた。

 振り向くとやはり扉が閉まっている。


 「一体何が――」


 起こったんだと悠太は続けて言おうとしたが、その言葉は出ない。

 スキル『気配察知』によってこの部屋に何かが現れたことが分かったためだ。

 場所は王座の位置。


 「よく来ました、挑戦者よ」


 警戒しつつ王座の方向へと顔を向ける。

 そこには地球のスーツに似た服を着た男性が立っていた。

 男性は優雅な態度で王座へと座り、足を組む。

 たぶん、こいつがこの二十階層のボスなのだろう。そこら辺にいるモンスターとは違う強烈な存在感を放っている。


 「えと……まず、何でスーツなんだ?」

 「俺に言われても分かるかよ」


 日向と充が後ろでこそこそと話しているのが聞こえ、他のクラスメイトもその事については触れようとはしないが、疑問に思っていた。


 「ああ、この服は最近偶々見つけて気に入ったので着るようにしています」

 「「き、聞こえてたー」」


 日向と充は聞こえていたことに驚愕する。

 他のクラスメイトはこの世界にもスーツがあったことに驚いていた。


 「おっと、名乗るのを忘れていました。私の名はレーゲンです、この階層ではあなた達と戦おうとは思いません、一つだけ質問に答えてくれたら、次の階層までの道を開きましょう」


 レーゲンの悠太達に向けられた威圧が強まるのを感じる。

 レーゲンと戦わなくて良かった、と一人を除いて思う。


 「それでは質問です。あなた達はなぜこのダンジョンを突き進むのですか?」

 「…………それは、強くなるため、だと思います」


 質問に対し答えようとする者がなかなか出てこなかったため、宗太が答えを口にする。そして、その答えに右に同意と続き、最後に悠太が答える番が来た。

 だが、悠太はなかなか答えようとせず、皆が不審な顔をして見つめていると。


 「それは、お前ら階層主を一人残らず殺すためだ」


 悠太の口からその言葉で出ると同時に、悠太と和也が王座に座った階層主に向かって最速で突っ込んでいく。

 王座まで距離にして約50メートル。

 この距離は悠太と和也にとってほんの一瞬の間に駆けていけるものだった。


 「攻撃をするならもう少し殺気を抑えなさい」


 それに対しレーゲンは余裕な態度で前に右手を突き出す。

 そして、悠太と和也がレーゲンに攻撃を当てたと思われたが。

 そうはならず、悠太と和也の攻撃は見えない障壁には弾かれてしまう。


 「クソがああああ」


 和也が雄叫びをあげ、何度も大剣を見えない障壁に打ち当てるが一向に壊れる気がしない。

 悠太も魔法を駆使するが結果は変わらない。


 「しょうがない人達ですね。攻撃したのなら攻撃されても文句はありませんよね」


 いきなり始まった戦闘に取り残されたクラスメイトは唖然とする。

 なぜ、和也と悠太は戦っているのか?

 この状況はどうして起こったのか?

 頭が疑問に覆い尽くされて目の前で起きていることをただただ見る。

 途惑っていたのは一瞬、すぐに取り残されたクラスメイト達に動かざる負えない事態が発生した。

 今だ攻防を続けるレーゲンの降ろされていた左手に青白い炎が灯り、その左手を右手ろ同じように前へと突き出す。


 「ま、まずい」

 「皆集まって陣を構成するんだ」


 悠太と和也以外は宗太の声に従い一つの場所に集まり、回復術師である亜里沙を先頭に固まる。


 「亜里沙任せた」

 「本当は怖いけど、了解。頑張ってみる」


 そして、亜里沙は一つの魔法を発動する。

 それは自分の前方に結界を張るという魔法で、レーゲンが使っているように強力では無いがこれに頼るしかない。

 美貴、日向、充、宗太は亜里沙に自分の持つ魔力を譲渡し、応援者が天職の芽衣は亜里沙の結界が強固になるよう亜里沙に対しバフをかけまくる。

 そして、その時は来た。


 「残念です」


 レーゲンのその一言で左手に灯っていた青白い炎は部屋の中央へと飛び、カッと閃光し大爆発を起こす。

 炎の濁流が襲ってくるが、結界を強固にそして広く造っていた亜里沙達は耐えきることができた。攻撃を耐えきり警戒は解かないが安心した亜里沙達は和也と悠太を探し、見つけることができたが。


 「ひっ」

 「うへぇ」


 そこには炭化した和也だったものと、それを持って防いだ悠太の姿があった。

 和也だったものはまだ青白い炎で燃えており、まるで炎に食われているかのようだ。

 肉やいろいろなものが焼けたにおいが鼻孔を刺激した。

 悠太はその状態を見て、もう使い終わったというように地面へと捨てる。 


 「制裁はこれぐらいでいいでしょう、もう消えなさい」


 レーゲンが前に出していた右手を横に振ると、悠太を含め亜里沙達も白い光に包まれていく。

 数秒後には彼らの姿は無く、部屋も何事もなかったかのように元の状態に戻り、和也の焼死体もきれいさっぱり無くなっていた。


 「さて、また適合者はあの中にはいなかったようですね」


 そう言って、レーゲンはその場から姿を消す。





 「はっ、ここは」


 目の覚めた宗太は辺りを確認し、まだ自分達が死んでいないことを実感する。

 上に目を向けると優しい光を放つ月が浮かんでいる。

 横には今さっきまで攻略していたダンジョンの入り口があり、一寸先は闇が広がっていた。

 それを見た宗太は先ほどの光景を思い出され、恐怖からか身震いし一歩ダンジョンの入り口から身を引く。宗太の他のクラスメイトもダンジョンの入り口に飛ばされたようで、地面で眠っていた。

 しかし、そこに悠太とやはり和也の姿は無い。

 ダンジョンから離れたい気持ちに急かされ、クラスメイトを一人ずつ揺さぶり起こし、起きたクラスメイトも恐怖を心に刻まれたのか反射的にダンジョンから遠ざかる。

 そしてそのまま誰も何もしゃべらないまま王城へと戻り、王城では帰ってきた勇者の報告に驚きを隠せなかった。

 和也の死亡、悠太の違反行為と行方不明。

 心が折れかかっているクラスメイト達は長い休息をとることにした。



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