神様がミスったために、異世界転移した。
「はっ」
目を覚ますとそこは一面白い世界だった。
ここは一体……?
周りには何もない。
「あ、トワ気が付いた?」
「う、うん?キリン、か?」
そこには白い靄のかかった存在がいた。
しかし、声の調子や感じる気配からキリンだと推測する。
「そうだよ。キリンだよ」
「そして、儂、神じゃよ」
「うわっ」
後ろから声をかけられて驚きキリンの方へ跳ぶ。
よく見ると、そこには神様がいた。
それも自分達をこの世界に連れてきた神様、キリンの飼い主。
「うわとは何じゃ、神にとって失礼じゃぞ」
「ああ、これが飼い主って嫌だなぁ」
「お主も失礼じゃな」
ぷんぷん、と怒った様子を体全体で表す。
非常に似合わない。
ん?そういえば、神様がいるってことはここ天界か?
「そうそう、忘れておった。今回の大功績である斗和をたたえねばのう」
そう言って、神様はお酒を持ってきて、それをおちょこに注ぐ。
そしてそれを渡してきた。
「ほら、ぐいっと」
「いやまだ未成年なんですが……」
「いや、アルコールは入っておらんぞ。まあ、酔った感覚は味わえるという代物じゃ」
「そうですか。それなら」
そういってぐいっと飲む。
初めてお酒を飲んだが、何だか不思議な感じだ。
なにかこう、ぽわっとした感じがする。
「おお、顔が真っ赤になっておるのう。ま、そうなるように作られておるんじゃが」
そこで、斗和ははっと気が付く。
そう言えば、あの人間族の神はどうなったのかとか、仲間達はどうなったのかとか。
聞かなくてはいけないことがある。
「おうおう、分かっておるわ。まずじゃが、察しておると思うがもう君は死んでおる」
「そうですね。前も死んだ時にここに来ましたから」
「そして、君の仲間達は大丈夫じゃ。全員生きておるわ、見てみるかの」
そう言って、白い床をなぞった。
すると、白い床の一部に円が描かれ、そこにはある風景が移される。
それはマルバーン王国の様子だった。
木を倒し、その木がマルバーン王国に運ばれていく。
そして、そこでは魔術師が手伝いながら家が作られていた。
それも人間族だけではなく獣人族やエルフ、ドワーフ、龍人族など他種族もいる。
「これは……」
「斗和が作り上げた世界じゃな。他種族が手を取り合い助け合う良い世界じゃ」
その中で指揮を執っている者がいた。
「ミア!!」
それはミアだった。
材料を運搬している者を中心に次に運ぶ場所へ指示しているようだ。
そして、町の中心部。
そこではメルがエルフ達一団体を指揮しながら町にあふれる瓦礫などの撤去作業をしていた。
コマチとリーシャ、ダリルは炊事をしているようだ。
あ、リーシャが火加減を失敗した。
「良かった。皆元気そうだ」
「そうじゃのう。今下界では戦いから1週間ほど経ったぐらいかの」
「それぐらい経ったんですね」
それならここまで復興しているのが分かる。
そして、視点は移り王城付近。
そこには大きな石のオブジェクトが建てられていた。
装飾も施されており、立派なものだ。
「これは?」
「これは君のお墓じゃよ」
その石のオブジェクトにズームすると、そこには俺の名前が刻まれていた。
なんか自分のお墓を見るというのは不思議な気分だ。
そこで映像は終わってしまう。
「これで分かったじゃろ」
「ええ、良かったです」
「よしよし」
「あとすいません、クラスメイトの姿が見えなかったんですけど、クラスメイト達はどうなったんですか?」
「ああ、帰ったぞ」
神様が言うには、異世界に飛ばされた時間軸に帰ったらしい。
それも記憶を抹消されて。
特例中の特例だそうだ。
「あの女神がこき使いよってからに」
「誰が女神ですって?」
「ひっ」
神様の後ろには前にも会った女神様が立っていた。
こちらに頭を下げると、一発神様の頭を殴る。
「い、痛い。老人に何て仕打ちじゃ」
「うるさい、今回の件をなんとか収めてあげたでしょう。大事になっていたらあなたなんか堕とされるわよ」
「…………む」
これには何も言えないのか、黙る。
「お久しぶりですね、斗和さん」
「は、はい」
「今回、地上へ逃げた神を倒してくれたこと感謝しています」
「あれはやっぱり本物の神様だったんですね」
女神様は頷く。
どうも神様でも破ってはいけない規律のようなものがあるらしく、それを破った神は権限を剥奪されるらしい。そして、無限宇宙という何もない牢獄のような場所で一生を過ごす。
ただ、今回はその送還中にどこかの世界に逃げ込まれ神様も見つけるのに必死になっていたようだ。
それを運がいいのか悪いのか、ちょうど転移した異世界にいた、と。
「倒せたのは奇跡としかいいようがありませんね」
「そ、そうなんですか」
「はい。腐っても相手は神、地上の者が勝てるはずはまずありませんからね」
俺が神力を授かっていなかったら、またこの結果は変わっていたかもしれない。
そう思うとぞっとするな。
「儂が与えんかったらすぐ終わってたのう」
「まあ、あなたは転移の道具の紛失という罪がありますがね」
「うぐっ」
聞くところによると、この老人の姿をした神様が起こした、転移の道具の紛失は極刑ものらしいが、どうもこの女神が最高神に交渉して罰だけは避けられたそうだ。
そりゃあ、この女神に頭が上がらないわ。
「それで話は戻しますが、その逃げた神を倒してもらいありがとうございました。斗和さんには最高神様から褒美を与える権利がある、と神言を頂いております」
「はあ」
「提案なんですが、あなたは死にました」
「はい」
「その願いを私の方で絞らせてもらおうと思います。一つは超絶人生イージーモードで転生、もしくは神となって天界で住む、または――――」
「今まで培っていた全ての力、記憶は失ってしまいますが、この異世界に天界から転移、ですかね」
元の地球での復活などは、神の規律などで禁止されているため難しいらしくできない。
が、俺はすでに聞いた時点で答えは決まっていた。
それは――――。
「この異世界に転移でお願いします」
「そうですか。神となって一緒に働いてくれるのかなと思っていましたが……」
そう言ってにこりと笑う女神。
その横でめちゃくちゃ残念そうな老人の姿の神様。
まあ、神になる機会は今しかないのだろうが、それでも俺はやっぱり皆に会いたい。
「ま、本人が決めたことですし、しょうがないですね。では、仕事ですよ」
そう言って横にいる神様の背中を叩く。
「痛い、暴力反対じゃ。もう、本当に人使いが荒い女神様だこと」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も言っていません」
そして、神様に言われてその場で立つ。
そこで女神様がその神様に何かを耳打ちしていた。
神様も「ええ!?」とか、「儂がやるの?」とか不満を言っている。
あ、けつを蹴られた。
「分かった。分かったからもうけつは蹴らないで」
「ならいいです。じゃちゃっちゃとしてください」
「へいへい」
そうして、神様が手を振る。
すると俺の立っているところに複雑な魔法陣のようなものが張り巡らされた。
それは高速で回転し始める。
光も放ちだして、さあ転移するぞというところで神様から棒読みの声が聞こえてきた。
「おおっと間違えてしもうたー」
「え、どういう――――」
とそこで目の前が真っ白に染め上げられた。
王城跡。
そこではリーシャ達が一人ずつ、建てられた石のオブジェクトに花を供えていた。
立派なこのオブジェクトは私達の主だったトワ様のもの。
戦いが終わった当日はいないことにショックを受け、立ち直れなかった。
今でもいなくなってしまったことが信じられず、目元には涙が溜まってしまう。
メルが最後に花を供えて、皆は黙とうする。
「う、うう」
誰かがぐずる音が聞こえた。
それが伝播するように、メル達は悲しみを抑えきれなくなってくる。
黙とうも終わり復旧作業に戻ろうとメル達はした。
その時。
「何じゃ、あれは?」
リーシャが空を指し示す。
そこには光の玉が浮遊していた。
ちょうどオブジェクトの真上らへん。
「何でしょうか?」
皆怪訝な顔でその宙に浮く光の玉を観察する。
嫌な気配はしないため、攻撃の類ではないようだが。
そして、一層光り輝いたかと思うとそこから一つの影が供えられた花の上に落ちてきた。
ドン。
供えた花がその衝撃で花びらを散らせる中、その落ちてきたものが立つ。
そして、こちらを見た。
メル達は――――。
「あ、ああ、あああ」
メル、リーシャ、ミア、コマチ、ダリル、フリジア。
全員が硬直していた。
「メル、リーシャ、ミア、コマチ、ダリル、フリジア、帰ってき――――」
「トワ様!!」
「トワさん!!」
「トワ」
メル達はそれが幻で、消えてしまわないように抱き着き、腕に力を込める。
もう見失わないように。
「痛い痛い、ってあれ記憶がある?」
皆に抱き着かれながら、記憶があることに気づく。
もしかしたら神様が融通を利かせてくれたのかもしない。
まあ、今はそんなことはいい。
俺はこの仲間達全員を抱きしめ言う。
「ただいま」
最後までお付き合いありがとうございました!!
これにて、このお話は終幕することとなります。
処女作であるため、拙い文章表現や、意味不明な箇所などが盛りだくさんだったと思います。(作者も途中で何度か面白くねぇ、書きたくねぇと思いました)
ですが、呼んでくださっている方々から感想を頂き、また批評を頂きとても励みになりました。
また、次回作は考えているところなので、次回作で会えたらよろしくお願いいたします。
ではまた次回作で会いましょう。では。
最終(2020年8月23日現在)
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