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閑話 その他の勇者

今回は閑話です。

ちょっと本編に関わってくるところもあります。

どうぞ。


 「おい、聞いたか。トワが勇者を止めさせられたらしいぞ」

 「まじか、なんで止めさせられたんだ?」

 「どうも、ステータスがあまりにも低かったらしい」

 「へー、あいつもかわいそうだな」


 ゲームオタクである日向と充は修練場へと向かいながら最近のことに関して話していた。

 その中でも一番大きな出来事がクラスメイトである斗和が勇者を止めさせられて、王城から追い出されたことである。この情報は他のクラスメイトや王城で務める者にも伝わっており、反応は様々だが、一番多かったのは納得という反応だった。

 斗和のステータスの低さは意外であり、それゆえに広まるのにそう時間はかからなかった。

 日向と充はそれ以上その話をせず、違う話題へと話が変わった。


 ――修練場にて。


 神野宗太は誰よりも早く修練場にきて、走り込みをしていた。

 自分は地球にいた頃、体が弱く、体力もないに等しかったが、この世界に呼ばれてから彼の体は変わった。

 もうすでに修練場を10周しているが、まだ体力に余裕がある。


 「まだ、いける」


 彼は今の体をくれたことを神に感謝していた。そして、同時に最近噂で流れている斗和に関して、憐憫と同情を抱いていた。なぜなら、それはまさに地球にいた頃の自分を見ているようだったからだ。

 自分もあの頃に戻らないようにしなくてはと一層気合が入る。

 その後も彼は自分を鍛え続けていた。


 ――王城の個室にて。


 そこには三人のクラスメイトがいた。

 それは、亜里沙、芽衣、美貴の三人娘である。

 彼女たちは訓練に参加せず、モンスター狩りにだけ参加している。

 そのため今日は訓練だけの日なので、部屋にこもって話に花を咲かせていた。


 「で、どう気になる人とかいる?」

 「ガスベルさん以外皆美形じゃん。気になるっていったらやっぱり、リビル王子じゃない?」

 「だよねー。この世界に来て、リビル王子が一番かっこいいよね。本物の王子様だし、すごいきらきらしたオーラ放って……」


 亜里沙がリビル王子のことを思い浮かべうっとりとしている。

 芽衣も亜里沙ほどではないが、リビル王子のことを思い出すと少し顔が赤くなった。


 「えー、でもガスベルさんもワイルドでいいと思うけどなー」

 「「ま、まじでか!」」


 一人、美貴だけがガスベルさんを推していることに二人は驚愕する。

 言っては悪いが、この顔面偏差値が高い世界で、ガスベルさんは何を間違ったのか顔がごつく、ゴリラに近いともいえる顔だと認識している。


 「で、でもガスベルさん。もう結婚してるよね」

 「うん。そうなんだー」


 芽衣の言うとおり、ガスベルさんはすでに結婚しており、亜里沙と芽衣は結婚相手はゴリラではないかと思っていたがそんな事は無かった。

 一度だけ修練場に現れた金色の鮮やかな髪を腰まで伸ばし、地球でのモデル顔負けの容姿を兼ね備えた女性がガスベルさんの所へ行き、お弁当を渡していたのにはびっくりしたものだった。

 その後、その人がガスベルさんの妻だと分かり、もう開いた口が閉まらなかった。


 「でもー、この国って重婚とかって許してるでしょー」

 「う、うん。あ、そういえばあのークラスの……えーっと誰かさんが勇者止めさせられたんだって」

 「あー、斗和君だっけ。ちょっとかわいそうだよねー」


 美貴がおぞましいことを言い出す前に話の方向転換を企てる。そして、それは成功した。


 「何でもステータスが低かったとか。どうして一人だけ低かったんだろうね?」

 「「そうだね~」」


 方向転換のために振った話だったが、以外と気になる話題だった。

 その後は美貴がガスベルさんの話を出さないように、と水面下の戦いを繰り広げており、彼女たちは今日も訓練に出ることは無かった。


 ――王城の庭にて。


 「おい、ちゃんと見張ってるか」

 「おう、大丈夫だ」


 王城の庭にある井戸の周りで男二人が何か作業をしている。

 色とりどりの花が咲き誇っている花壇から少し離れた場所にその井戸はあった。

 周りには誰も居らず、誰か来たときのために一人は見張りをしているようだ。


 「本当にこんなことしていいのか。なあ、悠太」

 「今更何を言ってるんだ、見ただろこの国の醜悪さを。これは正義のためにやってることなんだ」

 「でも……」

 「うるさい、これはメフィル様のお役に立つんだ。黙って見張ってろ」

 「わ、分かった」


 和也から見て、悠太の様子がおかしいのは良く分かるが、逆らう事はできない。逆らうとどうなるのかは自分の身がよく知っているためだ。

 和也は悠太に背を向け、辺りを注意深く見る。

 それ以降、悠太は黙々と作業を続けて、和也は見張りに徹していた。


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