エンダーエルフ
いろいろと生活が忙しく投稿できていませんでした。
今日から通常投稿に戻る、かな?と思うのでまた二日後に投稿します。
よろしくお願いいたします。
また、視界から赤い機体が消える。
そして、壮絶な連続攻撃を繰り出すフリジア。
俺には赤い軌道が見えるだけで、気が付くと機械仕掛けの巨人が傷だらけとなっていく。
「…………」
当のフリジアは無言のままだ。
そして、何かが砕ける音が連続する。
機械仕掛けの巨人はとても固い、そのためフリジアがヘカトンに装備させている装備も何度も切りつけていれば欠け、そして砕け散ってしまう。
これは装備全てが砕けるのか、機械仕掛けの巨人が崩れ去るのかの戦いとなっていた。
もちろん俺はただ見ているだけではなく、機械仕掛けの巨人に対して龍撃魔法を放っている。
だが、全力ではない龍撃魔法で龍化した腕を振るっても傷が付いたりはしない。ただ、よろけさすことはできるので、フリジアに攻撃する機会を作る。
「お前も邪魔だ」
俺に向かって拳が振るわれ、足蹴りが飛んでくる。
狙いは分かりやすいのだが、如何せん巨大であるために避けづらい。
何とか地面を蹴り、避けて、次の攻撃に備えて構える。
すると、また機械仕掛けの巨人の体全体に赤色が走った。
「くそ、くそくそくそ。うざい蠅だ」
滅茶苦茶に腕を振り回す。
だが、赤い軌道を捉えることはできなかった。
何度目か分からないほどの攻撃でやっと機械仕掛けの巨人にも変化が現れる。
「どうしたんだ一体」
「なるほど、フリジアはそれが狙いだったのか」
よく見ると付けている傷はランダムで傷つけているのかと思うと、そうではない。
右足関節、左足関節、両肩関節、そして腹。
関節という部位の中では一番柔らかく設計されている箇所を狙いながらも、腹にいるであろう本人を出すために攻撃しているのだ。
しかし、腹は乗っている本人がいるため、一番固いことが予想される。
そのため、そこを攻撃することで直にその攻撃の威力が余波として感じるだろう。
それは焦りを生む。
そして、よい一層動きが単調化してしまうということだ。
またここに来て関節に付けていた傷と、機械仕掛けの巨人自体の負荷のかかる動きによって間接に限界が来てしまった。
崩れる。
「うぐ、くそまさか関節がいかれてしまったか」
「フリジアの作戦勝ちだな、おらっ」
俺も足の関節をやられ膝立ちとなった機械仕掛けの巨人の頭を思いっきり蹴る。
やはり傷は付かないが、完全に仰向けに寝る態勢となった。
「今だ、フリジア!!」
そして、今までの速度でそのまま腹目掛けて正面衝突した。
凄まじい音が響き渡り、耳を塞いでしまう。
見ると腹にフリジアのヘカトンの手が刺さっていた。
しかし、それ以外が衝撃で吹き飛んでいる。
「フリジア!!」
斗和はすぐさまフリジアのヘカトンに駆け寄った。
酷い状態だ。
頭部も両足も吹き飛んでいる。
コックピットの中は衝突面と接していて確認ができない。
「ぐ、くそが、ここで終わるわけにはいかないのだ……」
機械仕掛けの巨人の中から声が聞こえてくる。
「ここで倒れてしまったら、メフィルに顔向けできん」
苦しそうな声で叫ぶ。
俺はヘカトンを全力で引き上げた。
それと同時に当たりに血が飛び散る。
一瞬それはフリジアの血かと思ったが、どうも違ったようだ。
フリジアのヘカトンの腕は腹の中に座っていたフードの男を貫いていた。
「フリジアは……大丈夫そうだ」
額を切って血が流れているようだが、それ以外は無事。
むしろあの衝突でそれぐらいしか怪我をしていない事が奇跡のように思える。
目を開けておらず気絶しているだけのようだ。
「うぐうううううう」
「もう、止めておいた方がいい。本当に死んでしまうぞ」
「どうせ、一度死んでいた身、メフィルを、メフィル様を支えなくては」
自分の腹に刺さったヘカトンの腕を引き抜こうと腕に力を入れる。
そのたびに血が溢れ、辺りを染めていく。
それでもフードの男は諦めようとはしなかった。
「ぐう、あああああ」
ズボッと引き抜けた瞬間に、血が大量に溢れ出た。
とめどなく流れる血は彼の最後の時間を現しているかのように。
「ゆ、許し、許してく、れ、サニヤ」
誰かの名前を呼びながら目は光を失った。
「やっと、倒せたのか」
お姫様抱っこしたフリジアはうんともすんとも言わないが、生きていることは触れて分かる。
斗和はフリジアを抱いたまま、地面へと降り立った。
周りにいた銀の魔物達は騎士達、そして、メル達によって破壊されおりもういない。
そのためフリジアは地面に寝かせ、そこに結界を張る。
もちろん、俺は結界を張る魔法を使えないため、キリンに力を貸してもらった。
『よく倒せたよ。あれは倒せるような代物じゃなかったけどな』
キリンが言うには、あれはすでにこの世界の金属の硬さの域を超えていたという。
この世界で一番硬いというわけだ。
それをフリジアが傷を付けていたのだからすごい。
『まあ、斗和も本気を出したらできるけど、それでも君の場合は寿命が縮むからね』
「ああ、そうだな。でも寿命が縮んだとしても、仲間に死の危険が迫ったなら寿命を縮めてでも守るけどな」
それに恐れはない。
リヒトでの追体験で感じた仲間が失われる感覚というのは、死ぬことより恐ろしいと感じたためだ。
『まあ、その時はこっちで……っとトワ気を付けて』
キリンはメル達が対峙している女性に気を付けろと言った。
その瞬間、メル達の方向で魔力が膨らむ現象が起きる。
それは膨れ上がり、ここ一帯を満たし始めた。
「一体何が起きているんだ!?」
尋常ではないほどの魔力の量とその奇妙な現象に、急いでメル達の方向に向かう。
「どうしたんだ?」
「ん、あの不気味だったのが変化した」
コマチはその麦わら帽子を被った人物を指していた。
その人物は最初、顔が焼けただれ口と鼻と目ぐらいしか分からなかったのだが、今ではその端正な顔がある。
そして、特徴的な尖った耳もあった。
「エルフ、か?」
「そうです、それもエンダーエルフです」
「エンダーエルフ?」
メルは警戒しながらも説明を続ける。
それはエルフの中でも特別な存在であり、何千年に一人生まれるらしい。
そのエンダーエルフ。他のエルフとどこが違うのかというと、他のエルフと違っていつまで経っても人間族と似た欲望を持っているらしく、魔力も初めから桁外れて大きい。
闘争心も強く、成長すれば一人でも国を潰せるほどの実力を身に着けるとか。
「ですが、エンダーエルフはもういないはず」
だが、そのエンダーエルフはその危険性から、エルフのしきたりで今までは殺されてきたらしい。
メルは最低な慣習ですが、と言っていた。
「あ、ああ。うん、やっと戻ったということは、死んだのかあいつは」
その目で見られた騎士と騎士団長は体が硬直している。
俺もその目で見られた瞬間、微かな寒気が体を走った。
「そして、まだ決着が着いていないと。じゃあ私がここを守らなくちゃね」
としゃべったと同時に、騎士、そして騎士団長の首が飛んだ。
「は?」
それは呆気ない終わりだった。
今まで話していた、機械仕掛けの巨人の攻撃でも死ぬことはなかった騎士団長でさえ、首が飛び残った体は地面に伏した。
「次は誰かな」
エンダーエルフは笑った。




