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王城の門前で

 リーシャ、ミア、魔術師団が黒龍と戦っている頃、斗和達は騎士団と合流、そのままの流れで王城を目指していた。

 斗和達h知らないことだが、リーシャ達と黒龍の戦いで黒い魔物達が激減し、またそちらの方へと黒い魔物達が流れて行った結果、斗和達は快適に進めていた。


 「もうすぐで王城の門に着くはずだ」


 遠目には王城の門は固く閉められているように見える。

 それは騎士団長にも見えたようで、顔を顰めていた。


 「中にやはり誰かいるな」

 「やはり、そうですか?」

 「ああ、門を閉めて閉じこもっているのか、はたまた……」


 そこで口を閉じてしまう。

 何か空気が変わったように感じる。

 さきほどまでより冷たく、まるで身近に死が潜んでいるような。


 「ひ、ひぃ」


 兵士の一人が声を上げる。


 「おい、一体どうした?」

 「は、は!!すいません」


 その兵士の顔は青くなっているようだった。

 何かが起きている。

 あまりよろしくないことが。


 「気を付けて進め、今魔術師団はいない、魔術に十分気を付けるのだ」

 「「「は!!」」」


 門に近づくたびに、周りの雰囲気は冷たく、重くなっていく。

 兵士の中には、また声を上げる者も出てき始めた。

 まさか、なにか魔法を使われているのか?


 「魔法、違う」


 コマチは横で魔法ではないと言っている。

 しかし、この雰囲気は何かおかしい。


 「けど、魔力の流れがない」

 「確かに魔力が動いていません」


 普通、魔力というのは空気のと同じで常に何かに影響を受けて動き回っている。

 それが動いていないというのは非常に不気味だ。


 『確かに、なんだかおかしいね。うん?あそこ、門の辺りに誰かいる』


 門のそばを見る。

 ここまで近づかないと気づかなかったが、門のそばで誰かが座っていた。

 服は至ってシンプルで、町民誰でも着ていそうな物だ。

 麦わら帽子を被っているために顔までは確認できない。

 町がこのありさまである中、その男か女か分からない人物は異質だった。


 「弓兵前へ」


 騎士団長は弓兵を前に出し、すぐさま放つように指示した。

 そして放たれる矢。

 それはその座った人物を貫かず、手前で減速し地面に落ちてしまった。


 「やはりな、あいつもか」


 立ち上がった。

 そして、こちらを向く。


 「顔が……」


 兵士達にどよめきが走る。

 顔が黒く焼けただれているのだ。目と口、そしてかろうじて鼻があることが分かった。

 そんなどよめきを意に返すこともなく、そいつはこっちに歩いて来る。


 「弓兵、撃て!!」


 再度放たれるが、それでもそれには当たらない。

 まるでそいつの周りに何かバリアのようなものが張られているように矢が勢いを失うのだ。


 「ズドンッ」

 「なっ!?」


 そして、敵は目の前の不気味なやつだけではなく。


 「まさか、ここまで客人が来るとは」


 3メートルを優に超える機械仕掛けの巨人が後ろに控えていた兵士達を踏みつぶしていた。

 赤い液体が地面いっぱいに広がる。

 それを見て騎士団長は自らその機械仕掛けの巨人へと切りかかった。


 「ふんっ」

 「ははは、なかなかな力を持っているようだが、お前ではまだ足りんな、人間の限界という奴だ」


 そして、それで終わりかと思うとそうではない。

 次に現れたのは銀の魔物の集団だった。

 それは忘れもしないドヴェルグタウン前で戦った時に現れた魔物達である。

 それを見て、フリジアは真っ先にその銀の魔物達に向かって行く。

 フリジア専用のヘカトンは攻撃力よりも機動力を優先しており、その速さに銀の魔物達が追いつけずに攻撃を喰らっている。

 しかし、それでも一体も倒れる気配はない。


 「くそ、こいつらがドヴェルグタウンを」


 そこで俺はリーシャ達から聞いたフードの男を思い浮かべた。

 まさか。

 機械仕掛けの巨人は兵士達を蹴散らし、騎士団長はさせまいと粘っている様子だ。

 あの機械仕掛けの巨人はフードの男なのか?

 機械仕掛けの巨人はどことなく銀の魔物と似ているところがあり、また銀の魔物より数倍性能がいいのだろう、その動きを捉えられずに兵士達が切られ、踏みつぶされ、殺されていく。

 俺は銀の魔物の相手をしていたが、このままでは騎士団の方が危ないと判断し、駆けつけた。


 「助太刀します」

 「すまない、俺の力では止めることは難しいようだ」


 振られた大きな剣を避け、その頭部まで背後から駆け上がる。

 そして、頭を龍撃魔法で殴った。


 「かってぇ」


 凹みすらしなかったが、それでも衝撃は中に伝わったようで、前向きに倒れた。

 立ち上がる前に俺は何回も殴ったり、蹴ったり、魔法を使うがそれでも傷が付かない。


 「ふん、そんな攻撃で傷が付くものか」


 反撃を喰らわないように、一旦下がる。

 そして、メル達の方を見た。

 あちらは門のそばで座っていた不気味なやつを相手にしているが、その相手は動きすらしていないようだ。

 メル達も警戒して、対峙しているが相手はただ立っているだけ。

 沈着状態となっている。


 「だが、お前は危険だな。ふんっ」


 標的を俺に定めたようで、迷いなく俺に向かって剣を振り下ろす。

 動きが早いと言っても、避けられないほどではない。

 避けながらこいつを倒す方法を考える。

 さきほど物理と魔法の両面で攻撃してみたが、それはあまり効果がなかった。


 「まあ、だが戦闘センスに関してはあまり良くはないか」


 確かに動きは早い上に、その剣は重く喰らえば即死してしまうほどの脅威である。

 だが、戦う勘のいうものが少し劣っているように感じた。

 それは見え透いた狙いだとか、単調な攻撃であるとかだ。


 「トワ、私にこいつと戦わせて。こいつは私の弟分達も殺したやつだから」

 「だがお前には荷が重いと思うが」

 「それでもこいつは許せない」


 ヘカトンに乗ったフリジアは引く気が無いようだ。


 「ああ、あの青二才どもの仲間か。そのようなおもちゃは見たことがある」


 ぎり。

 フリジアは相手の挑発に歯を強く噛みしめる。

 これは挑発だ。

 しかし、死者を侮辱しているのは許せるはずもない。

 近くでトワが何か忠告をしていたが、怒れるフリジアにはその言葉は入ってこない。

 フリジアの体の中で魔力が弾けた。


 「ああああああああっ」


 機体は赤く光り出し、そのあふれ出す魔力を吸いつくす。

 ヘカトンの形が変わっていく。

 より速く動けるようになる第二形態へ。


 「ほう、面白いことをするじゃないか」


 そして、一陣の風が去った。

 カカカカカカカン。

 ヘカトンはすでに機械仕掛けの巨人の後ろに。

 その後に鉄がぶつかる音が連続して聞こえる。


 「なっ」


 斗和は驚いた。

 フリジアのヘカトンの動きが完全に見えなかったのだ。

 気が付いたらすでに動いていた後だった。

 そして、攻撃を受けた機械仕掛けの巨人には切り傷が出来ている。

 速さこそ力と言えるほどの威力が機械仕掛けの巨人を襲ったのだろう。

 まるでテレポートしているみたいにフリジアの位置が変わる。

 そしてそのたびに機械仕掛けの巨人の体には浅い傷が作られていった。


 「まどろっこしい、蠅がっ!!」


 剣を無茶苦茶に振り回す。

 そして、背中からミサイルらしき物を周りに放った。

 それは地面に到達した瞬間大きな爆発を起こす。


 「これでどうだ」


 粉塵が舞う中、そこには赤く光る機体があった。

 攻撃は受けていない。


 「…………」


 まだまだこれからだというように、機械仕掛けの巨人を睨みつけていた。



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