表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/135

旅立ち

何度も何度も小出しにしてすいません。


 ――謁見の間にて。


 「ようやく行ったか」

 「父上、いや王よ。良かったのですか?」


 リビル王子が父――アベル・マルバーン王に問いかける。


 「ああ、あの者は勇者であるが勇者ではない。いや、勇者に成りきれない、が正しいな」

 「勇者に成りきれない、ですか……」


 リビル王子はなぜ勇者に成りきれないのかを聞こうと思い、止める。

 アベル王がこれ以上話すことは無いと立ち上がったためだ。

 アベル王はそのまま謁見の間の出口へと歩みを進める。


 「なぜ、逃がしたのかは儂にも分からんがな」


 扉の前でのアベル王のつぶやきは、誰にも届くことは無かった。


 ――王城の一室で。


 斗和はここの部屋から旅立つ準備をしていた。

 といっても自分の物は多くなく、その準備も三人ですぐに終わる。


 「しかし、どうして人間の王は追い出そうとするのだ」

 「それは……俺が弱いからなんだろうな」

 「でも、トワ様には特殊なスキルがありますよね。それなのにどうしてなんでしょう」


 三人そろってベッドに座り、さきほどの出来事について話している。

 真ん中が自分で、自分から見て右がリーシャ、左がミアという配置だ。


 「まあ、しかたない。王の決定は絶対だから」


 王の決定に逆らう人はいないだろう。逆らえば、すぐに人生終了のお知らせが届く。

 しかし、ミアの言うことも分かる、自分には勇者特有のステータスの高さが無いかわりに特殊なスキルを持っているのだが。

 もしかしたら、王はステータスしか見ないのかもしれない。そんなわけないか。

 まあ、どっちにしろこの王城から追い出されるのは決定しているので、三人で荷物を持ち、部屋の外で待機していた騎士に連れられて王城の外まで向かう。


 「ま、まってください。トワ様」


 城門から出ていこうとしていた時、マリルさんが手になにかを持って自分の所に走ってくる。


 「こ、これを、リビル王子から預かって、きました……」


 息を切らしながら駆けつけてきたマリルさんが持っていたのは、ろうで封をされた手紙とポーチのようなものだった。

 自分は王子とあまり接点がないと思うのだが、何の手紙だろうか。


 「えーと。この袋はアイテムポーチと言って、物だと最大300kgまで入れることができる第三階位のものです。そして、こっちの手紙はもし冒険者ギルドや商人ギルドに入会する時に見せると、王子からの紹介ということで、少しは優遇されるので、そのギルドマスターに見せてくださいという事です」


 まず、マリルさんの話にだ出てきたアイテムポーチだが、これは第五階位~第一階位まであるそうで、数字が少ないほど性能が良く、第一階位は主に王族などが活用しているらしい。そして、手紙に関してだが、これは王子によるギルドへの紹介状だろう。

 重ねて言うが、自分は王子とあまり接点がないためになぜここまでしてくれるのかが分からない。

 マリルさんでも分からないのだとか。

 マリルさんからその二つを受け取り、別れの挨拶を済ませて城門を出ていく。


 「あなたの旅に幸あらんことを」


 振り返ると、城門の所でマリルさんが目を閉じて祈っていた。

 その姿を見て、ミア、リーシャと顔を合わせ城門から街へと歩を進めた。

これで一応王城編は完ということになります。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ