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外へ

短めです。

 斗和は城へと向かう。

 その間に、俺が優勝者であることが町中に広まっているのか、町は大騒ぎだった。

 皆が皆、俺の周りに集まり話しかけたり、べたべたと触られる。

 嫌ではなかったが、城へと急ぎたいので魔力で脚力を上げ、屋根伝いに人を避けながら城へと向かった。


 「来たな、トワよ」

 「は、はぁ」


 俺が城について、早々呼ばれたのは執務室だった。

 たくさんの巻物に囲まれながら、シャガラは仕事をしている。

 とても忙しそうだし、やっぱ来なかった方が良かったかな……。


 「すまんが、少し待っていてくれ」


 それからシャガラが黙々と仕事しているのを椅子に座って見ている。

 巻物を呼んでは決裁印を押すというのを行っていく。

 一山の巻物たちの処理が終わったところで俺の方を見た。


 「遅くなったな」


 対面に椅子を持ってきて座った。

 その目は俺を映していた。


 「呼び出したのは、話を聞くためだ」

 「話って言うと、やっぱり最後の戦いのですか?」

 「ああ、そうだ」


 そう言って、シャガラは一冊の本を出してくる。

 如何にも古くからあるといった本で、その表紙は少し痛んでいた。

 その本を開き、俺の方に見せてきた。


 「ここに描かれているのが、我らの始祖である黒龍様だ」


 その黒龍というのは、確かに俺が龍化した時の鱗と似ている気がする。

 仰々しく描かれたその本の絵は、迫力があり今にも動き出しそうだった。


 『これは、神の使いだね』

 「神の使い?」


 シャガラに聞こえないように、キリンに聞く。


 『神様が最初に作ったドラゴン第一号だよ。今は生きてないけど、確か一人の息子がいたはず』


 本はシャガラの元へと戻され、閉ざされた。

 そして、シャガラは俺の顔を確認する。


 「やはり、何も知らないのか……」


 明らかにがっかりした様子だ。

 確かにその絵の黒龍の鱗は俺のに似ているが、俺はそんな存在は知らない。

 キリンは知っているようだが。

 そして、心の内からキリンが語り掛けてきた。


 『この龍人族が斗和を指して似ていると言っているのもうなずけるよ。だって同じだもの、俺が使っているのは神力、原初のドラゴンも神力を持って生まれた。つまりほぼ変わらないんだよ』


 らしいが、それは秘密なので言わない方向にしておいてほしいらしい。

 何も事情を知らなかったら、そんな説明しても信じてもらえそうにないと思うが。

 シャガラは執務のための椅子に戻っていく。

 要件はこれで終わったのだろうか?


 「済まなかった。それと君とリーシャの婚姻を認めよう、()()()()婚姻の儀式ができぬが、それは許せ」


 そう言って、仕事を黙々とし始めた。

 俺はその言われた言葉の中に違和感を感じる。

 非常時?

 龍人族の町は至って平和であり、どこも非常時には見えない。

 それを聞こうとした時、扉が思い切り開いた。


 「殿、外に出た密偵が帰ってきました」

 「うむ、それでどうだ?」

 「やはり、外は急変しています。結界は越えられないようで町に異変は起きていません」

 「分かった、下がってよい」


 そのまま侍は出て行く。

 外が急変?一体何を言っているんだ。


 「外が急変って」

 「今、我ら龍人族の町以外全域がおかしな状態に包まれている。それはお前らの国も例外ではない」

 「!!」

 「ここもすでに変化が起きているかもしれんな」

 「一体何が起こって――――」

 「分からん、仕事の邪魔になるだけだ。お前は娘とどこへとも行くがいい、我は忙しい」


 そう言われ、俺は執務室から出た。

 そして、すぐさま仲間の元へと走っていく。

 これは急いで外の様子を確認しなければいけない。

 城から出て、カヤさんの家へと向かう。

 道中やはり町の人たちは何も感じていないのか、日常そのものだ。


 「皆、速めにここから出るぞ」


 カヤさんの家に入って開口一番にそう切り出す。

 それを聞いたクラスメイト達はぽかんとしていたが、何かを察したのかリーシャ達は急いで支度をしてくれる。


 「それで、父上はどう言っておった?」

 「ああ、娘とどこへでも行くがいいだって」

 「そうか……父上が」


 リーシャにとってそれは衝撃だった。

 あの頑固な父上が、我がトワに着いていくのを許したのだ。

 これは天変地異が起きるかもしれない。

 気が変わらない内に外へと出なくては。

 そこで斗和が言う。


 「どうも、外では異常事態が起きているらしい。急いでくれ」


 外で何が起こっているのか。

 それから数十分ほど時間をかけて旅に出る準備をし、町の外へと続く道を走っていく。

 斗和が有名人になったせいか、結構注目を浴びている。

 そして、町の外へと出て、結界のある場所へと着いた。


 「よし、ここだな」


 手で触れると少し抵抗する感触はあるが、するっと手が抜けた感覚がある。

 そのまま進む。

 手から順番に外へと出て行く。

 そして、完全に外へと出た時、そこは前に見た森とはかけ離れた光景をしていた。


 「なんだ、これは?」


 

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