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儀式~バトルロワイヤル~

 儀式を始めることが発表されてから一日経った。

 この儀式で賞品であるリーシャは、その儀式のルールが乗った看板を見て帰っている時に、城から来た侍達に連れていかれた。

 リーシャも抵抗していたが、虚しく連れていかれる。

 俺は助けようとしたが、それはカヤさんに止められた。


 「まあ、悪いことをされるわけじゃないから」


 と言われたので、連れ戻すことはしない。

 今日のこの儀式で勝つのだ。

 それでなんだが。


 「何でお前らがいるんだ?」

 「おいおい、俺達が出たら何か悪いのかよぉ」

 「そうだぜ俺達も斗和の力になりたい、その一心で参加するんだぜ」


 この二人、日向と充はにまにましながら心にもないことを言っている。

 あわよくばリーシャを。

 できなければ、強いアピールにより龍人族ハーレムを、という欲望を持っていた。


 「はあ、まあいいが」

 「お互い頑張ろうぜ」

 「負けたとしても文句なしだぜ、ぐへへ」


 彼ら二人が描くのは美女に囲まれたハーレムだった。

 だが、そんな上手くいくだろうか。

 捕らぬ狸の皮算用にならなければいいのだが、彼らはそこまで考えが至らない。

 そして、斗和を含めた三人は会場へと足を運んだ。


 「うん?」


 会場には住民達であろう者達がいたが、その中に明らかに桁違いに強い者達が混ざっている。

 それも平民のような恰好で隠しているようで違う。

 よく見ると平民ではなく城仕えの侍だということが分かる。

 リーシャとともに城に行った時に、殿様を止めていた侍の一人がいた。

 これはどうも殿様は自分の家来を参加させてまで俺達を勝たせたくないと見た。


 「すごいな」

 「ああ、すげぇぜ」


 日向と充も驚いている。

 彼らも違和感に気づいたようだ。

 と、二人を見るとどうも俺と見ているところが違う。

 二人の視線は会場にいる参加者ではなく、観覧席にいる龍人族の女性に向けられていた。


 「見ろあの美女と美少女を、あの着物の奥に隠された秘宝を」

 「滾るじゃねぇか、あれを見てみろよ。あの今もこぼれん限りの胸を、ふぉおおおお」


 ああ、だめだこいつら。

 日向なんて興奮しすぎて炎がちろちろとあふれ出している。

 続々と参加者が増えていくなか、俺達は参加者が集まっている受付へと向かう。

 そこでは何か紙のような者を配っているようだった。


 「どうぞ~」

 「参加票です」


 そこでは龍人族の受付嬢が参加票を配っていた。

 俺達も順番に並びその参加票を受け取る。

 斗和の参加票には虎が描かれていた。


 「俺は龍だったぜ」

 「蛇だな」


 それぞれの参加票には違う絵が描かれているようだ。

 そして、全ての参加者が参加票を受け取った時、儀式の前のお披露目が始まった。

 まず殿様が観覧席の上にある、特別の席からこちらを見下ろしながら言う。


 「これから儀式を始める。勝者には我が娘が嫁ぐこととなる、すなわち我の後継者となってもらう」

 「「「おおおおおおっ!!」」」


 会場は大盛り上がり。

 熱気が立ち込めるステージでは武器を振り回す者まで出る始末だ。


 「強い者が全ての上に立つ。強者よ、全てを屠るのだ」


 そこで殿様であるシャガラの言葉は終わる。

 そのまま優雅に座った殿様に変わり、次に出てきたのはリーシャだった。

 色鮮やかな着物に身を包み、ほんのりと化粧をしている。

 綺麗だった。

 現れた瞬間、ステージ上のボルテージは最高潮へと達する。


 「では、これより儀式を始める。最初の戦は――――」


 城仕えの眼鏡をかけた老中が最初の戦場を提示した。


 「乱戦とする」


 提示されたルールはバトルロワイヤル。

 ステージ上に乗った全員が敵であり、その中で生き残った2人だけが次のステージへと進める。

 そこで、受付嬢に渡された札の絵のグループに分けられた。

 日向と充とは違うグループということだ。


 「さて、まず行われるのは」


 最初に行われるのは鬼の絵の者達。

 これは日向も充もいないので、どれぐらいの強さなのかをじっくりと観察する。

 老中の掛け声とともに、バトルロワイヤルが始まった。

 全員が全員無差別に攻撃を仕掛ける。

 もう無茶苦茶だ。

 そのなかで、やはり城仕えの侍達は群を抜いて強かった。

 一人また一人とステージの外へと投げ出されて行ってしまう。

 侍じゃなくても強い者もいるようで、その者は侍達を積極的に狙っているようだ。

 あ、また侍の一人が気絶させられて外へと投げられた。

 確かに強いが、このバトルロワイヤルはただ強くてもいけない。

 最終的には侍相手に勝ち続けていた者も、残った者達で囲まれて集中攻撃を喰らっていた。

 で、そのままステージ外へぽいっ。

 バトルロワイヤル一回戦目は侍の二人が勝者として終わった。


 「では、次に二回戦を開始する」


 次の二回戦で呼ばれたのは蛇組だ。

 蛇組は充が参加しているグループである。

 戦闘が開始した瞬間、充は魔力を全開放した。

 儀式用に渡された木剣に魔力を行き渡し、その木剣から様々な属性の連撃が繰り出される。

 それは周りを巻き込みながら勢いをつけていく。

 すると、やはり一回戦目と同じように全員の標的として充が選ばれた。

 充に襲い掛かる侍含めた龍人族だが、そこは勇者である充にとっては苦ではない。

 最後残ったには充と一般の龍人族だった。


 「三回戦っ」


 それから三回戦、四回戦、五回戦と俺と日向以外のグループが戦っていく。

 中には侍より強い者も多々おり、侍達を跳ねのけて勝者となる者もいた。

 そして、次の六回戦は日向がいるグループだった。

 日向は余裕そうな表情を浮かべている。

 常に観客席にいる龍人族の女性に手を振っていた。

 今までの戦いを見ていた者なら思うことだが、充が勝ったことによって俺達人間族を脅威と思った奴も多いはずだ。

 今回の六回戦は、もしかしたら開始早々日向が狙われる可能性も多いにある。


 「六回戦っ、始め」


 老中の開始の声とともに、日向のところには大きな影が出来上がっていた。

 余裕の表情だった日向の顔が強張る。

 全員だ。

 日向以外の全員が日向一人に対し攻撃を仕掛けてきた。


 「おいおいおい、そんなのありかよ」


 それでも日向は諦めない。

 全力の炎の巨人となり、襲い来る全てを薙ぎ払う。

 最初の方は日向の猛攻に脱落していく者が多かったが、時間が経つにつれ日向の勢いが収まっていき、最終的に…………。


 「そいっ」


 魔力切れを起こした日向はそのままステージの外へと投げられてしまった。

 日向、失格。

 そのグループの勝者は侍二人で幕を閉じた。

 そして、次は最後のグループ、つまり俺の番だ。


 「よーし、頑張るぞ」


 ステージ上に登る。

 観覧席にはミア達が応援しているのが見えた。

 ミアが全力で手を振っている。

 その横では同じようにダリルが手を振っていた。

 絶対に負けられはしない。

 ステージ上に上がってくる相手を観察する。


 「あれ?」


 全員がステージへと上がり、今から老中が宣言すれば戦いが始まる。

 やっぱり、おかしいよな。

 ステージの全員が最初から意識を俺に向けている気がする。

 それもそのはず、俺以外全員が侍だった。

 完全にあの殿様の仕業だろう、何とも汚いことをする。

 そして、俺は文句も言えないまま。


 「七回戦、始めっ」


 バトルロワイヤルが始まってしまった。



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