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儀式への参加決定

 翌日。

 カヤさんの家で、ただいさせてもらっても悪いので、掃除をしていた。


 「それそれそれ~」

 「おーし、行くぜ」

 「レディ、ゴオ」


 和風な建物であり、縁側を日向と充が雑巾で拭いていく。

 一休さん拭きで競争をしている。

 そのかけ離れた身体能力で行われる競争は縁側を何周もしていた。


 「よし、こんなもんか」


 宗太と俺は障子のほこりを取り除き、天井の掃除を担当している。

 三人娘は掃除ではなく、料理を担当していた。

 そして、残った後の者は庭掃除に徹している。


 「あ、あいてて」


 障子のほこりを一マスずつ拭き取る作業は少し腰に来る。

 それは縁側を雑巾で拭いていた日向達も同じようで、何周かした後に腰を抱えながら倒れていた。

 宗太はというと、この作業に慣れているのか、腰を痛めた様子はなくうまく掃除ができている。


 「まあ、綺麗になったわね」

 「ふふん、どうじゃ。我らに任せれば早いじゃろ」


 リーシャが得意げに言う。

 それを見れた俺の顔をいつのまにかほころんでいる。

 リーシャの生まれ故郷であるためか、それともカヤさんと久しく会えたためか、今まで見たこともない表情をしていた。


 「トワ、リーシャに惚れ直した?」

 「な、コマチ」


 庭掃除組もちょうど終わったらしい。

 コマチは無表情で、どう?惚れたの?と何回も聞いてくる。

 メルは何か悔しそうな顔をしているし、ミアはよく分かっていないようだ。


 「朝食もできたよ」

 「集まれ~」

 「それな~」


 お、朝食もできたらしい。


 「おし、飯だ飯」

 「俺が一番乗り~」

 「おいおい、騒ぐな、せっかく掃除したのにほこりが舞うじゃないか」


 忙しない日向と充を保護者の宗太はしかる。

 が、あの二人は聞く耳を持たないだろう。

 クラスメイトが行ってしまった後、俺達はカヤさんとともに向かった。


 「まあ、すごいのねぇ」


 カヤさんが見た食卓の上には純和風な朝食が乗っている。

 炊き立ての白ご飯に、みそ汁、大根の漬物に、焼き魚とどこか懐かしさを思わせるラインナップだ。

 三人娘は、興奮した様子で味噌があることについて、感動していた。

 どうも味噌という物がどこにも売っておらずもう食べれないのか、と諦めていたところ台所で見つけたため、急遽みそ汁を作ったようだ。

 それにしても、やはりこの龍人族の文化は何か、昔の日本に似通ったものがある。


 「さ、座って座って食べましょ」


 カヤさんが一番乗りで座り、その目を輝かしていた。


 「カヤはのう、食べるのがとても好きなのじゃ」


 リーシャがこそっと耳打ちされて、カヤさんの様子を見てなるほどと納得。

 待たせたら悪いので、すぐに座って食べ始めた。


 「あら、おいしいわね」

 「そうですか?ありがとうございます」

 「おお、懐かしい味」

 「うまし」

 「…………」


 皆がもくもくと食べ続けている。

 宗太なんか無言で食べていた。

 そうやって、楽しく話しながら過ごしていた時のことだ。


 「カヤさん、儀式が開始するって殿様が宣言したらしいぞ」

 「!!」


 その言葉にリーシャとカヤさんは驚く。

 その儀式がどういうものかは知らないので、その教えに来てくれた人に聞いてみる。


 「それってどういう儀式なんだ?」

 「あん?弱っちい人間族に誰が教えるかよ」


 そうだった、カヤさんと話していたから忘れていたが、龍人族は力が全てっていう種族だったわ。

 その走って来た龍人族の言葉には貶しているような感じがあった。


 「風神、雷神」


 カヤさんがその様子に怒ろうとした時、すでに動いている者が数名いた。

 メルが風神雷神を発動し、ミアが拳を振り上げ、コマチが魔法を発動させようとし、ダリルは獣化しかけている。

 それを俺とフリジアはぽかんと見ていた。


 「うげぇ」


 まあ、一対多では叶うはずもなくぼこぼこにされている。


 「なあ、あれって止めなくてもいいの?」

 「フリジア、俺は彼女達の善意には逆らえない」


 まあ、俺も少しかちんときたこともあり、少し置いておく。

 彼女達の目はまじで、無表情で攻撃し続けていた。

 で、流石にこのままじゃと使い物にならなくなるというところでカヤさんが止めた。


 「はいはい、終了」


 と彼女達の動きを一瞬で止めてしまった。

 俺を馬鹿にした龍人族はぼろぼろで倒れていた。

 うん、気を失っているね。


 「それで、カヤさん。儀式って何なんですか?」

 「ああ、そのことなんだけど」


 カヤさんは丁寧に儀式の説明をしてくれる。

 それは力自慢が戦うものであり、次の殿となる者を探す儀式。

 つまり――――。


 「この儀式でリーシャの夫を決めるってことなのよ」

 「はぁ!?」


 リーシャは呆れた顔をしていた。

 この国の王、シャガラ殿下だけが言い渡すことができることで、ほぼだいたいの龍人族の男はこの儀式に参加する。

 それで、自分の強さを周りに誇示し、殿となるのだ。

 宣言した後は取り消すこともできない。

 勝者が出た瞬間に、強制的にリーシャはその勝者の嫁となるのだ。


 「それは本人の意志を尊重してないじゃないですか!?」

 「ほんとそれな~」

 「リーシャさんは斗和さんのものなのに」


 同じ女性である三人娘達はその儀式が許せない。

 俺だって許すことはできない。

 だが、カヤさんはにこっと笑みを浮かべた。


 「けど、ピンチこそチャンスなのよ」

 「と言うと?」

 「つまり、その儀式でトワさんが勝てば国認定でリーシャの夫だわ」


 勝てばいいとカヤさんは言っているが、勝てるだろうか。

 カヤさんより強い人は数えるぐらいしかいないらしいが、それでもカヤさん以上の人がいるのだ。

 俺がカヤさんと戦って勝てるか、と言われるとそれは怪しい。

 龍人族は戦闘に特化したと言っていいほどの戦闘民族なのである。


 「トワさんはリーシャのことが大切じゃないの?」

 「大切です!!」

 「好きなんでしょ」

 「はい」

 「じゃあ、出て勝ちなさい。それならあの殿様も文句は言えないでしょう」


 カヤさんに説得される。

 確かに出て勝てばいいだけか。

 とまあ、俺ながら単純に説得され儀式に参加することとなった。

 リーシャは、まあもし負けたらまた逃げればよい、と言っていたが負けて逃げるのは嫌なので、出る以上は勝つ。

 そう思い、より情報を得るために町の中心部へと向かった。

 町の中央通りに作られた大きな看板には、でかでかとその儀式の日にちとルールが書かれている。

 日にちは……明日!?

 ルールは殺してはいけないなどの、一般的なものだったが、日にちが明日とか早すぎる。

 そのことについて、看板前に集まっていた人達も困惑していた。


 「おいおい準備期間が無いのか?」

 「やるしかねぇよ、おらぁ儀式に参加すらぁ」

 「それがしも参加いたす」

 「儂も参加しようかのう」


 下は中学生ぐらいから老人まで、幅広く参加するらしい。

 中にはちらほらと強そうな人が混じっている。

 魔力量が高かったり、カヤさんと同じで底知れない者までいた。


 「これは、勝てるかな?」


 俺はその看板に集まった人たちを見て、不安を覚えた。



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