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王の帰還

この話が投稿されて、二週間はパソコンが使えないので、投稿がすごくおくれます。

すみません。

二週間後に頑張りますので、応援よろしくお願いします。

あ、あとPVが1000を超えました。ありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。


 「う……うん?」


 朝、自分には珍しく早く目が覚めた。だがしかし、身動きをとることができない。

 頭だけを起こし、辺りを見渡すと左にミア、右にリーシャと自分に抱き着き寝ているのが確認できる。


 「ど、どうぇ」


 どうして、と言おうとしたときリーシャのやわらかい体が押し当てられ、変な声が出てしまった。

 確か昨日は分かれて寝ていたはずなんだが。

 ミアとリーシャから昨日の出来事があり、高い信頼を貰ってとても仲良くなれた。

 そして、夜食を食べ、歯を磨き、風呂に入って、さあ寝るぞというときリーシャからの驚き発言が飛んできた。


 『トワ様、今夜は一緒に寝てよろしいか?』

 『え?』

 『いや、トワ様とその、一緒に寝たいと思ったのだ、忠誠を誓ったしな』

 『私も一緒に寝たいです、お願いします。トワ様』

 『ミアまで……』

 一緒に寝てしまったら、そわそわして寝れないだろう。だって、女性と同衾なんて経験無いからね。

 『えと、それは許してもらえないかな』

 『なんで――――』


 そうして、リーシャとミアを納得させるために必死に説得し、いつも通りミアとリーシャはベッドで、自分は布団でということになったはずなんだが……。

 さすがにこのままではまずいと思い、どうにか脱出を試みる。


 「ガチャ」

 「トワ様、起こしに参りました……が、お邪魔のようですね、では失礼します」

 「ちょ、ちょっと待って、誤解だ。助けてくれぇ」


 無理に脱出しようと動いたため、結構危ない状態になっていたことに今更気づく。

 ドアが閉まる隙間に見えたマリルさんの目は凍えていた。

 地球だったら、この状態は訴えられたら即豚箱行きである。男は世知辛い。

 その後、マリルさんの誤解を結構な時間をかけて解き、危機的状況を脱することができた。

 マリルさんに礼を言い、マリルさんは準備があるということで、どこかへ行ってしまった。


 「お、んん、トワ、様おはよう、ふあぁぁ」

 「お、おはようございます。トワ様、その、これは、その」


 リーシャとミアも起きた。

 リーシャはまだ寝たりないらしく、すごく眠そうにしている。それに対し、ミアは起きると同時に正座へと移行し、俯きながらあの、その、とつぶやいている。

 なぜ一緒に寝ていたのかの理由をミアは知ってそうだ。リーシャはまだうつろうつろしているため、理由を知っていても話せそうにない。なので、ミアに聞いてみることにする。

 聞いてみたところ、この事件の首謀者はリーシャであることが判明した。まず、リーシャが自分が寝たのを確認した後、布団に潜り込んだらしい。それに気付いたミアは注意したのだが、これは奴隷の役目だという事を聞かずそのまま、ミアは諦めず説得しようとしたがリーシャは寝てしまい、ミアも眠気が襲ってきてそのまま寝てしまったために、朝の状態になったというわけだ。

 うつろうつろしているリーシャの目を覚まし、今後はこんなことをしなくてもいいということを伝える。


 「トワ様は我と寝るのが嫌、なのか」

 「嫌っていうわけじゃないけど……」

 「なら、今日からも一緒に寝ることにしようか」


 リーシャが見せる悲しげな表情に、つい注意しようとしていたことを悪く思ってしまい、言葉が詰まる。それを見計らって、リーシャはこれからも一緒に寝るということを強引に決めた。さっきの悲しげな顔は演技だったのだろう。してやられた。

 それからは、何を言っても無駄だろうと諦め、それに便乗する形でなぜかミアも一緒に寝ることになったのは言うまでもない。


 「ガチャ」

 「失礼します。トワ様、お迎えに上がりました。今日、アベル・マルバーン王様と第一王子でいらっしゃるリビル・マルバーンがお見えになったので、早急に謁見の間までお越しください」


 突然、ドアが開きマリルさんが入ってくるなり、そう告げる。

 確かに、この世界に召喚された際、王様の姿をまだ一度も見ていない。

 ミアとリーシャにも支度をさせ、マリルさんと共に謁見の間まで急いで向かった。

 

 謁見の間にて。

 マリルさんと謁見の間に着くと、すでに他のクラスメイトがいた。

 どうやら、自分達が最後のようだ。

 謁見の間の奥には階段があり、階段を数段上ったところに豪華な椅子がおいてある。どうも王様が座る椅子のようだ。

 そして謁見の間には、騎士の方々とローブを着た魔法騎士の方々が隊列を組んで待機している。自分達勇者は隊列に加わるのではなく、謁見の間の壁の近くで騎士が並んでいるのを雑談しながら見ている。


 「遅かったじゃねぇか、トワ。くそ、イチャイチャしやがってよ」

 「俺たちも勇者だからハーレムも夢じゃねぇさ、この後お茶でもどうですか」

 「おい、抜け駆けすんな」


 日向は恨みがましい目を向け、充はリーシャに対しアプローチをかけるが、尽く(ことごと)無視されていた。


 「お、いい女だな。俺にくれよ、なぁ分かってるよな」


 次は和也が絡んでくる、こいつは地球に居たときからいじめることを楽しむクソ野郎だ。どうして、こんなやつが勇者に選ばれたのか、意味が分からない。

 そして、そのクソ野郎は俺からリーシャを奪おうとしている、到底許されることではないが、相手は元から自分より強い上に、すでにモンスターを狩ってレベルアップしているため勝てっこない。

 和也の手がリーシャの胸に伸びる。

 ミアが戦闘態勢に移行し、リーシャもいつでも龍撃魔法を放てるように準備しているのが分かる。


 「やめろ、和也。そんなことをしてはいけないよ」

 「ちっ、分かったよ」


 和也は手を降ろし、卑劣な行為を止めてくれた人物である悠太の元へと向かっていった。

 あぶなかった、もしリーシャとミアが戦おうとしたとしても勇者である和也には勝てなかっただろう。

 自分は非力なので最初から論外だ。

 それほど、勇者というのはこの世界で優遇されており、一騎当千できる力がある。自分も勇者なのだが、なぜこんなにも差があるのだろうか……。

 その後は、宗太君がいたのでいろいろと情報をもらうことにする。


 「いいでしょう。私の知りうる限りの情報を教えてあげます」


 話を聞き、宗太君からもらった情報の中で、自分にとって有用なものが二つあった。

 一つはこの世界にはダンジョンというものがあり、ダンジョンにはお決まりの宝箱がある。宗太君はなぜ宝箱があって、その中に高価な物が入っているのかが不思議に思っているらしいが、それはファンタジーな異世界だからと納得してもらうしかない。話を戻すが、ダンジョンは何階層もあり、自分に合った階層でレベル上げができ、もし宝箱から高価な物がでてきたなら、それを売ってお金にしても良し、装備品だったなら装備して戦闘能力を上げても良いとすごく、魅力がある。ただし、これまたお決まりのトラップには気を付けるように注意された。

 二つ目は商人に関してである。商人は戦争をしている中で、各国で攻撃をしてはならないという条約が結ばれており、ここマルバーンという国以外にも他の亜人達の国に出入りすることが可能であり、人間では作ることのできない高度な品物が売られる時もあるらしく、マルバーンから北に行ったところに商売の町と呼ばれるラーマがあるからそこにも寄れるなら寄ったほうがいいのだとか。もちろんラーマも不可侵となっており、戦争には巻き込まれないらしい。

 宗太の話を頭の中でまとめていると、たくさんのメイドが謁見の間に入って騎士の後ろに並び始めた。

 マリルさんの姿も見える。


 「「「「ダンッ」」」」


 甲冑を着たガスベルさんと同じく甲冑を着た騎士達が一斉に右足で床を踏んだ。

 その音で皆静かになり、騎士がに退き作られた道に注目する。


 「マルバーン王とリビル・マルバーン第一王子のご帰還です」


 魔法騎士団長であるカリスさんの声と共に、騎士やメイドの全員が片膝をつき頭を下げる。

 自分達もまねをしてしゃがみ、頭を下げた。

 歩いている音が聞こえる、だが頭をさげているので何も確認できない。

 そして、階段を上る音、椅子に座る音が聞こえた。


 「面を上げよ。皆の衆、今帰った」


 低く重い声が謁見の間に響く。

 顔を上げると、そこには椅子に座り厳つい顔をした王――マルバーン王とその横で立っているリビル・マルバーン王子が見えた。

 王と王子は貴族が着ているのよりもう一段階上の繊細な装飾がなされた服を着ており、王と王子は顔が整っており、その服がすごく似合っていた。

 マルバーン王がこちらを向く。


 「そなたたちが、勇者か。召喚の儀式の際に立ち会えず、悪い。突然のことで混乱もしておるだろう、今、人間は危機に瀕している、一緒に戦ってくれると頼もしい。よろしく頼む」


 王が頭を下げた。

 騎士やメイド達が慌てた様子を見せる。

 王は頭を上げるとその藍色の目を向け、再度言う。


 「我らと共に戦ってほしい」


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