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他の情報を探しますとさ

 想像越えていきなりだな畜生! もう少し誤魔化す問答があってもいいと思ってたんだがな。

想定してなきゃ面食らって動けなかったかもしれないが? 残念無念また来週――てな。

大地を蹴って大きく横へ飛び、降り注ぐ矢を回避。そのまま宙を蹴って外壁を飛び越えると……。


 居るわ居るわ。怪しい見た目の弓構えた連中がざっと十数人。

全員と目が合ったが悪いな。相手する気ねぇんだわ。


 そのまま再度宙を蹴り、統治者の屋敷を飛び越えて進む。


(旦那? 乗り込むんじゃ無かったんですかい?)

(明らか敵視してきてるのに探し物なんざ出来るわけねぇだろ。んで倒したら即お尋ね者だぞ? 三十六計逃げるに如かずだ)


 眼下に弓を構え直す姿が見えたが、流石に間に合わ無いし届きゃしない。

とりあえずここは逃げて身を隠して、対策を練るとしよう。


 空気が切り裂かれる音を背後に聞きながら、俺は統治者の館を後にした。


*


 街に一つだけある教会。その鐘の下に一旦身を降ろし、一呼吸つく。

流石に追手は居ないだろうが、街中を探されている可能性はある。こんな街中を出歩く奴なんざ限られてるだろうしな。さて、どうしたもんか。


「何とかして街の統治者引きずり出してぶっ叩くかい相棒?」

「そうしたい所だがまだ統治者が諸悪の根源とは決まって無いんだよなぁ」

傀儡(かいらい)の、可能性、有り」

「ですが今後どうやって調べるのです? もう他に記録が残ってそうな所なんて……」

「もう面倒だし、この風を起こしている魔法石を調べようぜ」

「それこそ警備が厳重なんでは? 要はこの霧の核に当たる部分ですよね?」


 トゥオンのその発言で気が付いたが、魔法石は本来は風を操ってたはずだよな? けど今は霧が出てて、風は発生していない。つまりどこかしらで普段の魔法を変換する魔法が動いているって事じゃね?


「ねぇパパー? 高い所だと息苦しく無いよー?」


 ようやくお目覚めなのか今まで寝ていたツキの言葉は、シエラの耐性付与を受けた俺は気にしていなかった事であり。

今居る足場から下を覗けば、霧が一定の高さ以上だと薄くなっている事を気付かせた。


「高さ的に大の大人から頭一個上の高さ辺りか? ……高所に行けば行くほど薄くなるのか」

「割と重要な情報じゃ無いっすかね? ツキ褒めましょうよ」

「偉いぞーツキ。後でもーっと甘えていいからなー?」

「えへへー。パパ大好きー」


 こんな悠長にじゃれてる場合じゃないんだがな。

でも貴重な情報には変わりない。この瞬間だけはツキを褒める事だけに時間を使おう。


「このまま高所を移動して、魔法石を探しに行くか。ちなみにシズ、魔法石の場所とか知らないよな?」

「申し訳ございません。――というか、何故私に聞くんですか?」

「いや、風魔法って言ったらシズだし。風魔法の魔法石を探知とかしてないのかなーと」

「旦那、近くで発動された魔法とかいうなら話は別ですが、常時発動の離れた魔法なんざ探知のしようがありませんぜ?」


 無理を承知でシズに聞いてみたが、当然無理だとトゥオンに言われてしまった。

残念。魔法石の場所さえ分かれば手っ取り早かったんだがな。

仕方ない。しらみつぶしに探すとしよう。なんて考えて立ち上がり動こうとした時である。


「そ……そこに居られるのはどなたですか?」


 何て震える声が聞こえて来て。

聞こえた方向を見れば、へっぴり腰のシスターさんが見えて。


「別に怪しいものじゃ無いです」


 と口布で鼻まで覆い、ゴーグルをつけたおっさんの言葉など信憑性(しんぴょうせい)皆無であり、当然の如く……。


「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」


 大きな声で悲鳴を上げられた。


*


「落ち着いたか? いや、その……驚かせたの俺のせいだけど」

「鐘の下に顔のパーツ全てを覆った人が居たら誰だって驚きます!」


 とりあえず教会の中に入り、事情を色々と説明して、ようやく不審者では無いと納得してくれた。

流石に街の統治者宅に乗り込みかけた部分は説明してないけどな。

情報知り過ぎてたら下手するとこの子も狙われかねないし。


「それで……この霧の解決法って見つかったのですか?」

「見つかってたらあんな所でウンウン唸りながら考えてると思うか?」

「そうですよね……。何か私に手伝える事はありますか?」


 下手に深入りさせると襲撃対象になるからなぁ……。あまり情報を与えるのもなぁ……。


(旦那、旦那。教会なら書物を保管してたりしないですかい?)

(……お前いい事言うな。教会とか今に至るまで足踏み入れた事無かったから頭に無かったわ)


 トゥオンからのありがたい助言を参考に俺は、


「ここにある過去の文献をいくつか調べさせてくれないか?」


 と提案するのだった。

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