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段々と大事になってきましたとさ

古戦場が終わったと思ったらFFCC発売ですわよ奥様。

友達が別売りだったせいでソロを余儀なくされた十云年前、今こそその鬱憤を晴らすとき。

「ケイスなのじゃ?」

「おう。つっても、体は動かせねぇがな」


 鎧から声が聞こえてきた。

 ケイスと共に行動するようになってから、割と見た光景ではあるのじゃが、その声がケイスの声となれば話は別じゃ。

 自分の口が――体があるにもかかわらず、わざわざ鎧から発するなど日常ではあるまい?

 つまりは、意識はあれど体が動かぬ、あるいは動かせぬという状況という事じゃ。


「分かっている範囲で情報を共有せよ」

「なんか、俺の精神が肉体から離れてるんだと。その理由が『降魔』を重ねたからで、それのせいで体の方は瀕死。精神が体に入ると、途端に死ぬくらいには衰弱しちまってるらしい」


 母上がケイスへと説明を求めれば、恐らくは装備たちの知恵を借りて確認できた、自身の現状を報告してきおる。

 大方こちらの予想通りじゃの。


「それの解決策であるが、エリクサーなる薬が可能性がある……らしい」

「資料を見たことがある程度で、効能とか、どうやったら作れるとかは分かんないんだけどね」

「それでも、あらゆる伝手を辿ってみようと思うのじゃ」


 先ほど決まったことを、ケイスとも共有する。

 もしかしたら聞いておったかも知れぬが、もし聞いていなかった場合は後々に支障が出るかもしれぬ。

 たとえ二度手間になろうとも、この手の確認はしておくに越したことはない。


「そこらはぼんやり聞こえてたな。ハルデ国の研究所で見たって言ってたな」

「見たのは実物じゃなくて資料だけどね。……しかも確か、試作品的な感じだったような……」

「しっかりせよ。その情報が唯一の頼みなのだ」

「とは言ってもあの辺の記憶曖昧なのよね……」


 メリアの口から出たエリクサーという薬は、今現在彼女の中にしか存在しないものと言っても過言ではない。

 それに現実味を持たせるには、具体的な情報が欲しいところなのじゃが……。


「待て。ハルデの研究所で見たんだよな?」

「そうだよ」

「じゃあさ、キックスターはその資料を手に入れてたりしないか?」

「何故にキックスター……。なるほどの」


 何故にあ奴が? と思いはしたが、確かにあ奴ならば知っていても不思議ではないのじゃ。


「そもそもさ、なんでメリアは狙われてるんだっけ?」

「ハルデ国との和平の条件、『研究に関するデータの消去』に私の命が盛り込まれてるから」

「何度聞いても胸糞悪いがその通り。んで? お前はどこでエリクサーの情報を見たって?」

「ハルデ国の研究所……、なるほど」

「つまり、キックスターはそのデータに目を通している可能性が高い。というわけであいつをとっちめに行きたいわけだが」

「だが……何? 普通に行けばいいじゃん」


 妾達が最初に当たる情報を持つ者として、エポーヌ国丞相の名が上がり、この施設にいるからと向かうかと思いきや、


「あいつさ。イフリートが来た時には俺たちの傍にいたはずなのに、途中から急に姿を消したよな?」

「……確かに姿が見えなくなったね」

「最悪さ、イフリートとか藤紅がメリアを始末できればよし。出来なければ、第二のプランとしてキックスターを誘拐するなんて作戦だったら向こうの思うつぼなんだよな……」


 途中から姿が見えなくなったキックスターに、そんな心配をケイスは寄せていたが……。


「私は無事ですよ? あんな化け物大激突みたいな場所に居たら羽虫のようにプチッと殺されちゃいますし、早々に建物の奥に避難させていただいてましたよ?」


 ひょっこりと、妾達から少し離れた建物から姿を見せて歩いてくる。


「なんだ、無事だったか」

「随分と残念そうですねケイスさん。……そして、結構面白い事になっているみたいで」

「マジで笑えねぇけどな。……んで? キックスターはエリクサーって薬について知ってるのか?」


 歩いてきたキックスターは、横たわるケイスを見下ろし軽口をたたき。

 ケイスは叩かれた軽口を躱して単刀直入に聞く。

 妾たち全員の視線がキックスターを射す中、


「ええ。ハルデ国の資料内にそのような名前のポーションがあったことを覚えていますよ」


 現状、唯一とも言える糸は、しっかりと妾達の前に垂れていた。


「ただ――」

「ただ……なんだ?」

「作る気ですか? ……()()を?」


 その発言をするときの口元は歪み、まるで無謀だとあざ笑うかのように。

 知ったところで作れないと、無駄な努力だと諭すように。

 キックスターの口から出たエリクサーの材料は、妾ですら耳を疑うものだったのじゃ。


「地、水、風。四大精霊の内の三体の霊薬。プシュケーという表現が用いられておりましたが、とりあえずは……。それぞれの精霊の存在が溶け込んだ霊薬が必要です」

「霊薬……じゃと?」

「ふむ。……限りなく無理じゃな」

「全く話聞いても分からないので誰かに説明を求めまーす」


 キックスターの言った言葉の重さを、妾と母上で計っていれば、ついてくることなど出来るはずもないスカーレットやメリアが手を挙げて妾達を見ながら解説を要求してきおった。

 ……まぁ、理解している存在が多い方が確率は上がるじゃろ。

 毛ほどでも上がれば御の字じゃが。


「霊薬というのは精霊の力が溶け込んだ液体……いわば媒体じゃな」

「人間が飲めばどうなるかは知らんが、我らが口にすれば強大な力を得る。……最も、どの精霊の霊薬かによって大きく差が出るが」

「もっと分かりやすく言うなら核じゃ。精霊が力を振るうとき、最も力の集まる場所。……それが霊薬」

「てことはケイスを治す為には……」

「ユグドラシル、わだつみ、そしてヴァーユの核が必要になるという事じゃ」

まぁ古戦場はマジでやる気でなくてほとんど走ってないんですけどね。

いいんです。エンジョイ勢なんで。

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