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新しい札ですとさ

よく考えたらこれに出てくるキャラがほぼほぼ近接キャラなの笑う。

殴るかパイルバンカーか槍て。

「大丈夫か!?」

「我は大丈夫……ではないが無事だ。しかし……」


 受け止めたハウラに尋ねれば、とりあえずは大丈夫とのこと。

 だが、


「我の概念で作った筈の盾が欠けた」


 という言葉もくっついてきた。

 ……つまり?


(ハウラ様の概念で構築されてた盾……言うなれば、半身ってわけで、それが欠けたということは……)

(存在そのものが破壊されかけてる)

(マジかよ。それは大丈夫なのか?)

(全く。……このまま、続けたら、ハウラ様、やられる)


 脳内へと説明を求めれば、どう解釈してもヤバイことがわかる説明が返ってきた。

 

(やられるといっても、戦えなくなるってわけじゃあありません)

(あ、そうなのか)

(存在ごと消滅しちまいます)

(ダメな方に振れてるのかよ!)


 つまり、あのイフリートとのインファイトはハウラですら死ぬ可能性があるほど危険ということ。

 それを踏まえ、何故ハウラは大丈夫などと言えたのか。


「しかし、予想外だ。よもやイフリートがここまで力を解放するとは……」

「あれで全力じゃないんだろ? 一体どうすりゃいいんだよ……」


 俺の手から離れ、しかしすぐに地面へと膝をついたハウラへと、半ば独り言を呟くと、


「勝てはせぬ。――が、負けもないと思える」


 と呟いて。


「ケイス、他に『降魔』とやらは無いのか? 今のままでは恐らくダメージが見込めない」

「もう一種あるけど、それは満月の夜限定なんだよ」

「ふむ。……『降魔』可能な装備はどことどこだ?」

「なんでそんなこと聞くんだ? ……兜と盾だが」

「なるほど。……ところで槍――トゥオンだったか?」

「へい、あっしですかい?」


 急にトゥオンへと喋りかけるハウラ。


「貴様に打ちこまれている(くさび)……解除してやると言ったら、ケイスと『降魔』をするか?」


 よくわからない事を言う。

 槍に楔なんて打ち込まれるわけが……。それに、一度だけだがトゥオンは俺と『降魔』を――、


「……本当ですかい?」

「嘘は言わん。前に会ったときは気にもせなんだが、あの槍だとは思わなかった」

「……いいんすね?」

「今は我は眷属に非ず。ならば、どうしようが我の勝手だろう。……最も、ヘイムダルが来るようなことがあれば全力で詫びよう」

「……分かりました。楔さえ外してもらえりゃあ、あっしも旦那の役に立てまさぁ」


 どうやら、俺の知らないことが装備たちにはあるらしく。

 そして、それをハウラは知っているらしい。

 しかし待て、この間精神世界に閉じ込められたときは、なんだかんだ言って『降魔』を拒否してたような……。


「もう四の五の言ってる場合じゃあ無いんで。それに、火属性のメルヴィや風属性のシズと『降魔』したって相性最悪っすからね。……あっしが適任でしょう」


 それが、俺の意志を勝手に読んだトゥオンの返事。

 まぁ、新しい手札が増えるに越したことはないが、いきなり新しい能力なんて言われてもうまく扱えるか分からんぞ?


「大丈夫っすよ。シエラに重ねるんで、基本的にシエラの能力と同じように使ってくだせぇ!」


 そう言って、ハウラに撫でられたトゥオンは、その全身を薄青色に発光させて。


「ひっさしぶりっすねぇ! 何物にも縛られないってのは!!」


 ご機嫌にそう叫ぶと、


「さぁ旦那、あとついでにシエラ! ちょっち体にお邪魔しますぜ!」

「うぉっ!?」

「ついでって何だよお前!!?」


 俺の体に、二体目の『降魔』が入ってきた。



 ケイスからのリクエストを貰い、少なくともある程度は戦えるだろうと考えていたスカーレットは、その自分の考えとあまりにも乖離(かいり)した現実に驚いていた。

 ハウラが飛ばされ、それまでハウラが戦っていた空間に飛び込んだセレナと共にイフリートへと攻撃を仕掛けていたが、手応えと呼べるものは皆無に等しく。

 何度か水分身を使用しながらも、必殺と呼べるイフリートの拳をぎりぎりのところで回避して。

 けれども一向に、反撃の糸口が見いだせない。

 常人ならば殺せる威力の『オオモノヌシ』の力、そんなもの、決死の一撃に等しいものだ。

 先ほどイフリートへとラッシュを行う際の始動になった力は、もはや通用すらしていない。

 イフリートの体へと届く前に、蒸発してしまう。

 無論、そんな芸当が可能なほどに熱を持っているわけではないのだが、どうも周囲の水を対象に何らかの魔法が働いているらしい。

 故に、水分身を行おうが魔法を放とうが、それらがイフリートに影響を及ぼすことは今のところはない。


(ひょっとして、ここまで読んでたとか? いやいや、だったら教えるのを渋るハズないし、単にとにかくデカい攻撃を当てろって言いたかっただけ?)


 こうなってしまえば、結局ケイスの言うとおりに最大火力を叩き込む以外に無い。

 そう決意し、押され気味のセレナを巻き込まないようにイフリートへと狙いを定めていると……。


 ゴウ!


 と。

 いきなりの気配の爆発に、思わず()()()()()()()()スカーレットは、セレナは。

 先ほどまでとは雰囲気が変わった、群青に揺れるケイスの姿を……目撃した。

読んでいただきありがとうございます。

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