表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

167/207

万夫不当ですとさ

感想を書いてくれた方、評価ボタンを押してくれた方、ブクマしてくれた方、そして、読んでいただいている皆様、いつもありがとうございます!

 襲ってきたのは熱波。

 ――いや、そう勘違いしてもおかしくない程に濃縮され、爆発した『気』の波。


「まずは及第点! 一撃もかませない程度じゃどうしようかと思ったぜ!!」


 見て取れるダメージの痕跡はない。

 俺は『降魔』を、スカーレットは『青頭巾』を。

 それぞれの手札は切ったうえで、ダメージはない。

 これが、絶望でなくて何だというのか。


「来るぞ!!」


 というセレナの言葉を()()()()()

 俺へと握り拳を振りかぶるイフリート。

 ……は?


「ご主人様!!」


 本当に嘘のような速度で。

 何なら、セレナやハウラと同じ速度で俺へと肉薄したイフリート。

 その状況に理解が追い付かず、けれども足は勝手に横へと跳んだ。


 ズガンッ!!


 そんな音を立て、クレーターを地面へと作ったイフリートは、ゆっくりと体勢を戻していく。


「ほぅ。よく避けた。人間じゃあ久しぶりか? 俺が力を出した時の拳を避けたやつぁ」


 何やら変に感心されているが、俺は避けていない。

 避けたのは――避けてくれたのは……()()だ。

 俺が動けないと悟ったシズは、足だけを俺の管理下から奪い取ると、とにかく横へと跳んでくれたのだ。


(シズ、助かった)

(躱せて何よりです)

(おい相棒、私と合体してんのに他の女(シズ)に感謝すんなよ)

(助かったのは事実なんですからしょうがないでしょうに。……というか、シエラの衝撃波じゃあ火力が足りないみたいですぜ?)

(四大相手に通用する火力の方が珍しいだろうが。……つってもこれ以上火力上げると『降魔』が解けちまうんだよなぁ)


 一瞬何やらドロリとした感情を覚えたが、今はそんなの気にしている場合じゃない。

 ぶっちゃけて言うが、勝てるなんて思ってはいない。

 ただ、抵抗しなければそのまま縊り殺されてもおかしくはない。

 ……だったら、死に物狂いで抵抗するしかない。……ないのだが。

 その手立てが……思いつかない。


「なんだ、そんな顔するなよ。まだまだ力は隠してるんだろう?」


 そう言いながら、またしても俺へと詰めてくるが、今回は意表は突かれていない。

 シエラを構え、その範囲に収まるようになるべく身を縮こまり。

 来る衝撃へ備えて力を込めて。


 ッッガウンッ!!


 と、もはや何がぶつかったかすら分からない音を上げ、俺の体は思いっきり吹き飛ばされる。

 ――だが、シエラは衝撃を反射する呪われた盾。

 俺をぶっ飛ばすほどの衝撃は、自分で自分にフルスイングをかますようなもの。

 食らいやがれ!!


「――んうぉっ!? へぇ、面白れぇ。衝撃を跳ね返すってか。今どきの人間はこうなのか?」

「呆けるとは舐められたものだ!!」


 吹っ飛ぶ途中に視界に入ったのは呆けるイフリートに肉薄するハウラ。

 ……って、このまま飛ばされたら壁に――。


「ほいキャッチ」


 そんな俺を空中で捕まえ、勢いを殺してくれたのはスカーレット。

 

「た、助かった。ありがとな」

「いいって。誰か欠けたら……いや、今でも勝ち目は見えないけどさ。勝てる確率は少しでも高い方がいいし?」

「勝てるって本気で思うのか?」

「ごめん、嘘。けど、一矢くらいは報いたいじゃん?」

「同感! ってことでスカーレットには働いてもらいたいんだがな?」

「何しろって?」

「とにかく水をまき散らしてほしい。……出来れば常人は殺せるくらいの威力で」

「人使いあら過ぎない!?」


 いや、だってそれくらいしないと多分あいつには通用しないだろうし……。

 やるけどさ、と言葉を残して、インファイトを繰り広げるハウラとイフリートの元へと近づいていくスカーレット。

 おーおー、最近の子は度胸があるな。俺はあれに近寄るなんて真っ平ごめんだぜ。


「ケイスは入らんのか?」


 そんなインファイトをしている二人に近寄って、俺のところまで飛ばされてきたセレナが少しむっとした顔で聞いてくる。


「冗談だろ? あんな中に参加しようものなら体が吹き飛んじまう」


 拳と盾が、パイルバンカーと拳がぶつかる度に、腹にすら響く重い音を立てる連中の間に入って何をしろと?


「しかし、我らが個々で行ったところで……、いやまとまっても変わらぬかもしれぬが、力を合わせて挑まねばどうにもならんぞ?」

「何とかなるならそれこそさっきの連携でどうにか出来てなきゃおかしい。水ぶっかけて『降魔』の衝撃波くらってハウラのパイルバンカーがモロに入ってセレナの一撃喰らってるんだぞ?」

「た、確かにそうじゃが……」

「それに、精霊ですら倒せるか分からないのにましてや四大だぞ? まず勝てないだろ?」

「しかし奴は襲撃してきたのじゃぞ?」

「あいつは襲撃はしてきたが、メリアの捕獲が目的じゃない……多分」


 やろうと思えば、それこそいつでも出来るはずだ。

 これほどまでに力の差があるのだ。俺らの攻撃を一切無視し、メリアを攫ってハイ終了。

 そんな芸当、少ししか戦ってないがあいつなら余裕でやれると確信できる。

 けれど、イフリートはそれをしない。

 ここに来た理由も、時折口を開いたときに出てくる言葉も、実は一貫している。

 すなわち……面白い、だ。

 完全な俺の推測だが、イフリートはハルデ国――はないか。恐らく人間がコンタクトを取れる相手じゃあない。

 とはいえ、今のハルデ国やエポーヌ国の事を知っていて、かつイフリートとコンタクトが取れる存在が俺たちの事をリークしたのだ。

 ……そんな存在、俺にある心当たりは一つ。


(藤紅……っすよねぇ?)

(クッソ面倒だが、藤紅であってほしい。これ以上、二つ名持ちで眷属になってるような存在とお知り合いにはなりたくはない)

(仮に、藤紅と、して……向こうの、メリット、何?)

(んなもん知るかよ。俺はモンスターでも、精霊でもなく人間だ。あいつらが何を望んで動いてるかなんて、女心以上に分かるかよ)


 なんて予想を立てているからこそ、こうしてある程度は平静を保てているが……。

 一体いつまで、イフリートが俺らに飽きないかってのが問題だな。

 飽きたら全力出して、俺ら屠ってさようならも考えられる。

 ……どうやってあいつの暇つぶしに付き合うか……。


 などと考えていると、急に俺に向かって飛んでくる塊が。


「うぉっと!!?」


 この時、俺は回避か受けるか、選択肢が存在したわけで。

 この時取った、受け止めるという選択をしたことを、未来の俺は褒めてくれていい。

 俺がキャッチしたのは、装着した盾が欠けた、ハウラだったのだから。

くっそしつこい藤紅みたいなキャラ滅茶苦茶好き←

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ