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戦っていますとさ

先週は申し訳ありませんでした。

パソコンも復旧しましたので更新再開いたします。

 ひとまずシエラを構えるが、どうせ真正面からは突っ込んでこないだろうと即座に動けるように程よく脱力。

 案の定、途中でハウラへと方向を変えるが、よりによってハウラに行くか……。

 確かに見た目はデカい盾構えててやりやすそうだが……そいつはどっちかというとジョーカー(死に札)だぞ……。


「まともに食らうなよ? 原型なぞわからなくなってしまうからな?」


 なんて物騒なことを呟いて、ついでにちょっぴり嬉しそうな笑みを見せ。

 とった行動は右腕に装着された盾を水平に振るう動作。

 なんてことなく聞こえるかもしれないが、それが風を切る轟音を立てているならば話は別。

 鋭利ですらない盾を、速度だけで刃物へと変えるその横薙ぎは、けれどもスカーレットの残像をむなしく斬り割くのみ。

 ……正直、当たらなくてほっとしたというか、無事でよかったというか。

 とはいえ回避行動をとったスカーレットは、今度は間違いなく俺へと向かって来て。

 トゥオンを地面に突き刺し、その進行経路に氷塊を出現させる……が、出現とほぼ同時に空中へと飛ばれ、難なく回避されてしまう。


「ナイスじゃケイスよ!!」


 けれどもその空中へ、セレナが待ってましたと言わんばかりに飛び上がり。

 勢いをつけた膝蹴りは、反応したスカーレットに腕で防がれる。

 けれど、当然踏ん張る地面もない空中で勢いを殺すことはできず、スカーレットはそのまま吹き飛ばされて。

 吹っ飛んだ先は滝。そのまま流れに逆らえず滝つぼへとスカーレットの影は流されていく。

 さすがにあれ程度で死にはしないだろうが、ひょっとすると助けに行ったほうがいいか? などと考えていると。

 ゆらり、と。水で龍を象り、その龍の額に立って、ゆっくりと水から出てくるスカーレット。

 ……これさ、もしかしなくてもさ、


「『オオモノヌシ』に意識を乗っ取られているようじゃな」


 やっぱりか。

 普通に今までのスカーレットの動きじゃねぇもんな。


「長く『憑依』させすぎたか、あるいは乗っ取られるほど適性が高かったか」


 とまぁ気になることをハウラが口走るが、そんなのはスカーレットの動きを止めてからだ。

 水の上で龍の額に立った状態で陸に上がって来ないスカーレットは、どうやら自分の有利なポジションを見つけたらしい。

 その場所から動かないまま、新たに作り出した水の龍をこちらへと向かわせてくる。

 ――が、甘い。

 動き出した瞬間に、水の龍はいきなり爆ぜる。

 一瞬驚いた表情になり、俺とセレナとハウラを見るが、誰の仕業かわからんだろ?

 遠隔で衝撃を放てるシエラとの『降魔』。人間には過ぎた力とか言われる呪いの装備の力だ。


(あんま調子乗ってると、痛い目見ますぜ?)

(『降魔』解除後の激痛は約束されてんだ。痛い目はどっちみち味わう羽目になってるぜ! HAHAHA)


 わざわざ眼を逸らしていた現実をありがとう。マジであの全身を襲う激痛は勘弁願いたいのだが。

 逆に言えばその程度の代償でセレナやハウラと肩を並べられるのなら安いのかもしれない。


(破格の安さでしょうよ。出血大サービスもいいとこですぜ?)

(出血、するの、どっちか、というと、にい様)

(う~……ツキもパパの役に立ちたいの~!!)

(ツキ、順番ですよ。順番)


 脳内の装備たちの言葉は無視し、先ほど水の龍を破壊した衝撃をスカーレットへと向ける。

 が、それらの衝撃は突如として伸びた水の壁によって阻まれ。

 その水の壁から、高速で水弾が発射される。

 当然食らいたくないし、食らったら何が起こるかわからないしで回避行動をとるが、その水弾の雨の中を突っ切っていくハウラ。

 大丈夫か? と心配になるが、どうやら障壁的なものを展開しているのか、水弾が直撃することなく左右へと流されていっている。

 そうして水の壁へと肉薄し、当然のようにパイルバンカーを構え――ゴウン!! と。

 空気を震わす衝撃を、音を響かせて、水の壁をぶち抜いて。


「――っ!?」


 どういうわけか、水の壁から離れていたはずのスカーレットを吹き飛ばす。


「ふむ、ケイスの見様見真似だったが、飛ぶ衝撃というのはなかなかに良いな」


 パイルバンカーを見ながらそんなことを呟くハウラは、どうやら先ほどの俺の衝撃波を飛ばしたやつを真似てみたらしい。

 いや、んな簡単に真似られるのか知らんが。


(簡単なわけないでしょうに。簡単だったら、あっしら呪いの装備である必要がないじゃないですか)

(そりゃそうか)

(ハウラ様も、規格外。……当然、だけど)


 吹っ飛ばされた結果、再度滝つぼへと飛ばされたスカーレットが上がってくるまでの間、一瞬一息付けた……が。


「嫌な予感じゃ!」


 おもむろにそう叫んで水へと飛び込んだセレナに、気を引き締める。

 激しく波が立つ水面は、水中の何を示すのか。

 そうして身構えていると、一つの影が水中から空中へと高速で放り出され。

 その姿をスカーレットだと確認すると、ハウラがパイルバンカーからの飛ぶ衝撃でねらいをつけ始め。

 まさに発射する寸前というところで、


(待った!!)


 セレナの声が脳内に響き、無理矢理に照準をずらしたハウラの一撃は。

 やはり空を震わす轟音と衝撃を放ち……天へと消えていった。

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