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とっ捕まえましたとさ

もの凄く今更ですけど、登場人物紹介とかって必要ですかね?(小声)

 勝負は――いや、勝負にすらならなかった奇襲は一瞬。

 唐突に虚空から現れた俺たち三人は、村長も、アイナ達すらの意識からも外れた存在で。

 後から聞いたが、アイナ達は俺たちが村長の家の傍で話を盗み聞きしていると思っていたらしい。

 そんな、誰かに見つかったら不審者扱い確定の立ち回りなんてするはずがないのだが。

 ともかく、俺らは村長への奇襲を成功させ、セレナが軽く蹴飛ばし座っていた村長の体勢を崩し。

 俺がその崩れた村長をふん縛って拘束。ハウラは村長の眉間へとパイルバンカーを構えて一言。


「貴様の持つ『水晶』はどこだ?」


 以上、真実以外を口にすれば二度と返ってこれない場所へとお連れする問答無用の尋問タイム開始。


「な、何のことですかな?」

「セレナ、『水晶』を探せ。この家の中にあるはずだ」

「分かったのじゃ!」


 一旦とぼける村長だが、無駄だ。


「アイナ達からあんたが『水晶』を持っていることを聞いた。ここから先、嘘を口にすると後悔する間もなくあの世へと旅に出ることになるぜ?」

「何を言って――」

「霧の中に化け物を見た? 戻って来た奴らが居る? 確かに俺らも霧から戻って来たが、簡単じゃなかったぞ?」

「それこそ、私達じゃないと無理だった位にね」


 アイナが会話に入ってきて、見ればすでに向こうの五人も戦闘態勢になっている。

 ……お前らだけじゃ無理だろうがよ。俺ら……いや、今回はスカーレットが居ないと抜けられなかっただろうし、ハウラが『オオモノヌシ』と会話しなきゃあの状況を打開は出来なかった。

 アイナ達が居ても居なくても、正直な話あまり変わりはしない。


「我はあまり気が長くはない。()く答えよ。『水晶』で何をしていた?」

「『水晶』を見つけたのじゃ!」


 ハウラからの問いかけに顔を背け、答えたくない。という態度を見せたとき、家の奥からセレナの声が。

 思わず目を見開く村長だが、今の状況なら己の身を案じた方がいいぞ?

 なんせ、後は拷問でも何でもして、何を企んでいたか洗いざらい吐かせるだけなんだから。


「ハウラ、場所を変えよう」

「? 何故だ?」

「『水晶』は確保した。村長から聞き出す必要のある情報は何をしていたか、だ。それを聞き出すのに、方法の非情さはもはや気にしなくていい……が、ここでやれば村長を襲っているのだと他の住民に思われてしまう」


 仲間を呼ぶ……なんて事はしないだろうが、尋問中の悲鳴で住民が来ないとも限らない。

 ……ていうか来る。確実に。

 ならば、今のうちに人気がない場所へ連れて行ってしまい、誰からも邪魔されないような場所で聞くのがいいだろう。

 丁度夜だし。夜中に今異常が発生してる霧の近くに来る住民などいまい?


「……理解した。ケイスよ、声を出せぬようにしておけ」

「分かった」

「これより、貴様を未知の場所へと飛ばす。その場所では何をしようが、どう声を上げようが貴様の思う結果は伴わん。暴れることは推奨しない」


 そう言ったハウラは何を思ったか、村長の頭をむんずと掴み。

 羽交い締めにしている俺ごと、強制的に精神世界へと、村長を投げ飛ばした。



「お主らの見た『水晶』というのはこれでいいのじゃな?」


 妾の顔ほどある水晶を抱え、アイナ達へと確認を取ってみればゆっくり頷いて。

 何じゃ楽じゃったなと思ったところ、母上とケイスと村長の姿が見えず、ちと困惑。


「ケイス達は何処に行ったのじゃ?」

「ハウラさんが何かして、急に消えちゃって……」


 ふむ、急に消えたとあれば精神世界にでも飛ばしたかや?

 相変わらず母上も無茶苦茶なことをする。あの場所はケイスだからまともでいられる場所だというのに、他の人間があの場所を『見て』正気でいられるとは思えんのじゃ。


「消える前に何か言うておらなんだか?」

「未知の場所に飛ばす、と」


 やはり精神世界に飛ばしたようじゃ。……しかし、そこから出てこないと言う事はあるまい。

 となれば一体どこに向かうのか……。最終到達点はどこじゃ?

 そう頭を悩ませておると、


(セレナよ、霧の発生している場所に向かえ。我らもそこへ出てくる)


 という母上からの通信が。

 ならば妾達も霧がある場所へと向かうかの。

 本来ならば霧の場所といっても範囲が広すぎて特定は無理じゃが、精神世界から出てくるのであれば、妾達を目印に出てくるじゃろう。

 適当な場所でも構いはせんの。


「さて、妾は霧が発生している場所へと向かうが、主らはどうする?」


 念のため聞いておくか。

 正直な話、居ても居なくても構わん――どころか、居たら確実にお荷物になる連中じゃ。

 かといって何も言わずに置いていけば、何をするか分かったもんではない。

 だからこそ、一応こうして尋ね、こやつらの意思でどうしたいかを尋ねたのじゃが……。


「もちろん行くわ。あの村長が何を企んでいたか、私達も知りたいもの」


 と威勢よくのたまいよった。

 ならばよし。己の発言には責任を持つのじゃぞ?

 ケイスは知らんが、妾は貴様らがどんな窮地に陥ったとて、助けることはないと心得よ。


「であれば行くぞ。着いてくるのじゃ」


 本来は精神世界経由で妾も飛びたかったのじゃがの。

 あまりあそこを行き来するのも疲れるよって、妾は徒歩で向かうとしよう。

 どうせ母上達は精神世界で一方的な尋問をしておるじゃろうし。

 あまり遅くならんければいいはずじゃ。

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