表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

147/207

見つけましたとさ

「さてさて、一体どうなりますかね」

「まぁ、言ってもそこまで大事にはならんじゃろ。何せ周囲には民家がある。下手に動けば周囲からも怪しまれるでの」

「……困惑しているのだが、ここは精神世界ぞ? 当たり前にケイスが入ってきているのは何故だ?」


 シエラと『降魔(ごうま)』をし、精神世界へとよいしょして、アイナの視線に映る映像を三人並んで見ている状況。

 そういやハウラに『降魔(ごうま)』化してるのは見せたことないか。

 ならこうして精神世界に俺が居るのはさぞかし不思議だろう。

 ま、別にハウラには隠すつもりはないし、そもそもハウラなら俺の頭の中覗いて何故俺がここに居るのか理解するだろうが。


「ざっとした説明になるが、装備となんやかんやしてこうなった。詳しくは聞いてないし装備達も教えてくれない。特殊な強化魔法って説明があったぐらいだ」

「そう……か。いや、人間が精神世界に入るなど前代未聞過ぎてな。……体の負担とかはないのか?」

「あるぞ。けど、『降魔(ごうま)』化が解けたら襲ってくるから、今の段階では何の負担もない」

「妾の目の前で数回しかしたことはないが、翌日からしばらくは動けなくなるほどじゃな」


 やっぱり、人間が精神世界に居るのって場違いなんだな。

 ……そういや、スカーレットの奴も入っていた――いや、入れられたが正しいか。

 それでもある程度自由に動き回っていたし、あいつもハウラにとっては驚く対象なのだろうか。


「まぁ、その程度で済むならよいが。……精神崩壊とか起こさんのだな?」

「パパはツキがしっかり守るから大丈夫なの~」

「一応あっしらが居ますから、そこまではさせませんさ。……もっとも、『降魔(ごうま)』を行った装備次第になりますがね」

「そうか……うん? どうやら話し合いが始まったようだぞ」


 しれっと怖いことを言われた気がするが、ツキやトゥオンが制御してるみたいだし、大丈夫なんだろ。

 それよりも、わざわざ『降魔(ごうま)』化してまで精神世界に入った目的を見逃しかねない。

 ハウラの指差す方向の映像を見て、その周囲へと意識を向ける。

 って、何処がどうなりゃ嘘ついてることになるんだこれ?


「人によって違うのじゃ。振動を感じる、色が変わる、異音がしたり、温度の変化を感じる場合もある」

「明らかに反応はするんだな?」

(しか)り。如何に舌先三寸で嘘を吐こうが、深層部分では嘘はつけぬ。注意深く見ているといい」


 よく分からんけど、とにかく違和感覚えたら嘘ついてるって事だな。

 さてさて、どんな事実が出てきますことやら。


『おや、貴方方は。依頼の方は達成できていない様子ですが?』

『はい、そうなんですけど……。色々と、伺いたいことが出てきましたので』

『何ですかな?』

『あの霧の発生したのはどれくらい前ですか?』

『さぁ……いつだったか。私もあまり詳しくは覚えていないのだが……先月には、もうあの辺りは霧に隠覆われていましたな』

『霧の発生した直後や、直前に誰かあの場所に向かった方は?』

『居ないでしょう。元々あの辺りは私らが管理している場所ではありませんし』

『管理していないのに依頼を出された?』

『あの近場に異変があれば、この村も被害を受ける可能性が高い。あの場所を管理している方々とは別に私共が依頼を出すのは不思議なことではないでしょう?』


 ……今の所俺の感覚的に変わった事は無い。

 言ってる内容も、特に納得出来ない部分があるわけでもなし、もうちょっと突っ込んだ部分を質問して欲しいところだが。


『確かに。では、それは私達以外にも依頼を受けようとした方がいましたか?』


 ラグルフがそう尋ねた瞬間。視界が急に暗くなった。

 いや、視界が暗くなったと言うより、周囲に闇が満ちた。

 これが……嘘の反応? 聞いていた以上に主張が激しいんじゃねぇか?


『まぁ、何組か居た――が、皆戻って来て依頼をキャンセルしなさる。霧の中に化け物を見たと言うてな』


 あぁ、ここが嘘か。ノワールが言っていた。確認できたのは何かが這った後だけだ。

 そして、霧の中に見た? 見える程度の霧じゃないのは俺が自身で確認済み。

 さらに()()()()()、だと? 魔法で抜け出せないようにされ、スカーレットの『『降魔(ごうま)』』化した魔法でようやく抜けて来た俺たちにそれを言うか?

 面白い位に嘘だと分かるな。


「ケイスよ、分かったか?」

「今のが全部嘘だな。ハッキリと分かったよ」

「それにの、あやつらの話では『わだつみ』の水晶は飾ってあったらしい――が、今は部屋の中何処を見渡しても見つからんぞ?」

「疑われている自覚有りってか」

「よほど大事な物らしい。――果たして、どんな悪事に用いていたかは知らんが」


 座っていたハウラが立ち上がるのに合わせ、俺もセレナもゆっくりと立ち上がる。

 飛び出すか。その『わだつみ』の水晶が戦闘面で役に立たねぇことを祈るよ。


「な訳無かろう。強力な水属性のアイテムじゃぞ?」

「我でなんとか防げると言った所か。……まぁ、使い手にも寄るが」


 一瞬気分が真っ黒になったが、少しだけ晴れた。あの村長が『わだつみ』の道具の手練れな訳ねぇもんな。

 ……頼むぜシエラ。


(任せろよ相棒! 滅茶苦茶に暴れてやるぜ!! HAHAHA!!)


 家を壊さない程度に加減してくれ。


(…………やだ)

「行くぞケイスよ!」


 微妙な不安が残る中、ハウラのかけ声の下、俺は精神世界から元の世界へ、村長に奇襲をする形で、戻って来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ