4話 フェンリルを連れいざダンジョンへ
あれから俺らはまた同じように部屋に居た。
「ご主人様の盾や剣といったものはどのような物なんですか?」
一番言いたかった、それもきっと俺と言う存在を知るにあたり最重要事項とも言えるその質問にすぐに答えた。
「大半がダンジョン攻略で手に入れた武器だよ。まるで自分の子供のように可愛がっているさ」
「子供のよう……ですか」
「ま、そんぐらい愛着があるって感じだな」
それに俺の能力のおかげでほぼ常に装備しているのと変わりないからな。そりゃあ嫌でも愛着の一つや二つは湧いてくる。
「……私のことも子供のように可愛がってくれますか……?」
……なんて可愛い発言をするんだこの神獣は。もう神獣として見ていいのかわからないほど可愛い。またもふもふしてやりたい。させてほしい。
「あぁ、保証する」
「あ、ありがとうございます!! 私、一生この身が尽きるまでご主人様の忠実なる剣として生きていきます!!」
それに一応フェンリルだ。俺一人では厳しいであろうダンジョンもこの子と共にあればかなり楽になるはずだ。暴走状態ではあったがこの子の実力は目を張るものがある。とはいえフェンリル流の戦い方など全く毛ほども知らないが。
「よろしく頼んだぞ。そうだ、ダンジョンに潜ってみないか? と言っても攻略された簡単な物だが。それでも君の実力はしっかりと分かるはずだ。どうだ?」
「ダンジョン……いいですね!! 今度はしっかり私の実力を発揮しますよ!!」
「そうと決まれば行くか」
俺はそう言い、立ち上がるとフェンリルを抱え、自宅から出る。
向かう先は俺が初めて最深部まで辿り着き、武器を手に入れた思い出のあるダンジョン。手に入れた武器はランスで名前はフラングルム。その後そのダンジョンを隈無く捜索し、抜け穴を見つけそこも探索した結果、そのランスと共に扱うであろう巨盾を手に入れた。その巨盾の名前はアギルス。結局このダンジョンには二つの武器が眠っていた事になる訳だ。
隣を四つの足で歩きながら着いてくるフェンリルに向けて俺は昔話を語っていた。
「此処がそうだ」
「ご主人様の初めてのダンジョン……ワクワクします」
「まぁ隅々まで捜索されているからそこまで期待しない方が良い」
そして俺はそのダンジョンにフェンリルを連れ、訪れた。