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2話 フェンリルは綺麗好き

 ……暖かい。それに……若干重い。


「あぁ、そういえばそうだったな」


 ダンジョンから自宅へ帰還した俺はダンジョン攻略の疲れを癒すべく布団に転がりそのままこの犬兼フェンリルをそっちのけにして眠った訳だ。

 なんかの恨みか知らないが俺の上で寝ているそれをもふもふしてやりたくなったりもするが……まずは洗ってやろうか。


「起き……」


 起こすのも悪い気がしてしまうな、とりあえず起こさないよう布団から出るか。


 ……あ。

 俺を見てはじっとしているな。


「……」


 ……。


「キュゥン!!」


 何か言語を発し走ってきた!?


「うが!!」


 避けきれなかった俺への戒めか何かで顔を舐めてくるのは何故だ……。


「よせ……辞めてくれ、汚い」


「くぅん……」


 如何にもな反応だな。まるで人の話す言葉を理解しているかのようだ。

 それに犬というものを飼った事がないから何がなんなのかさっぱりで……まぁ俺が飼うとは言っていないんだが。知り合いに動物関係が好きな奴が居るからきっと面倒を見てくれるだろうと勝手に思っている。


「とりあえずお前の面倒を見てくれるであろう人の元に連れていくが……って言った所で通じる訳無いよな。一応神獣の類ではあっても会話が出来ないなら……ん?」


 ダンジョン攻略の報酬として手に入れた首輪をくわえてくる。これを着けさせてくれってことでいいのか? まさか自分で何かを訴えるなんてこともするんだな。


「よっと、これで良いか?」


「私は……ご主人様の元でずっと居たいです!!」


 メスだったのか!? しかも人語を理解して尚且つ人語を話しているようだ。まさかその首輪の効力かなにかだろうか。


「いけないことでしょうか……」


 いや別に俺は良いんだがこう言ったことは面倒だと思い避けて通ってきたからな。いや、人語を理解して話すことが出来るなら面倒なことなんてほぼ無いんじゃないか? それなら俺の仕事の手伝いとしても使えそうだ。


「わかった。その前に……そうだな、種族名を聞かせてくれ」


 フェンリルだということは大体予想が付くがどんな種類なのかを知りたい訳だ。っと言っても大まかにフェンリルという種族があることしか知らないのだが。


「フェンリルなんですがその種族の中でも特異な性質を持っていると言われているエレメンタルフェンリルです!! えっと……闇、光、火、水、土、風の六属性を操ることが出来ます!!」


 そんな種類があるなんてな。俺が戦っていた時といえば所々の毛並みが青色だったが今は赤色だ。こうやって属性が変わているのを確認出来るのだろうか。


「よし、まぁわかった。とりあえず来てくれ」


「抱っこはしてくれないんですか?」


 抱っこ……あぁ、そういえばダンジョンから帰還する時にそんな風にしていたな。それを求めているのか? 良く分からん奴だ。犬は歩くことが好きだとか聞いたことがあったのだが。


「ほら、良いか?」


 改めて抱き上げ何となく分かったがかなりふわっふわでもふっもふだな。毛のせいで肉体が何処にあるのか全く分からない位だ。


「はい!! とっても幸せです!!」


 幸せかどうかを聞いている訳では無いのだが……とりあえず一階にある風呂へ連れていかなければな。


「ついた。とりあえず洗う」


「洗う!?」


 そりゃあ洗うだろうよ、若干汚いし。そこまで驚くことか?


「私こう見えても綺麗好きで……流石ご主人様です!!」


「お、おう」


 ただ俺の性分がそうなだけなんだが、まぁいっか。


「ご主人様が洗って下さるのですか?」


「そりゃあ一匹だけじゃ洗えないだろう?」


「……」


 なんでそこで黙った。


「は、はい!! 良ければお願いします」


 それなら良いんだが。


 サっと腕まくりをし、風呂へ入る。


「かなり広いんですね」


「言う程では無いと思うが……じゃあ水をかけるぞ?」


 微小の魔力を消費し水圧や温度を変更しながら水を広範囲に放出することが出来る魔道具を使いそのボサボサでもありふわふわでもある毛を水に浸す。

 水をかける前までの大きさは半分以下程までになってしまった。


「暖かくって気持ちいいですぅ」


 本当に幸せそうな顔をするものなんだな。さて、ここまでは良かったが人間用の石鹸を使って良いものなのだろうか。今はまだ分からないがとりあえず使ってみようか……皮膚が荒れたらすまん。


「あ……そこ……んっ……良いですぅ」


 なんて声を出しているんだか。って気付いたら物凄い泡立ちようになったな。最初の姿よりも泡によって大きくなっている。

 とりあえずササッと水で洗い流してやった。


「痒いところとかはないか?」


「大丈夫です!!」


「そうか、なら良かった」


 確か犬は水を浴び終わった後って確かかなりブルブルと震えたような……。


 背中に手を置き、すぐさま出した盾で身を守る。

 案の定フェンリルはブルブルと身体を軸を固定した状態で左右前後に水を撒き散らした。一瞬の判断が甲を制したようだ。

 もう大丈夫だと判断し俺は盾から手を離す。


「乾かすか」


「お願いします!!」

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