17話 妖刀に魂を喰わせた者
力が入らない、まさかこんなことになるなんてな……。ほんの少し触れていたというだけなのにこの有様か。
「これじゃあ道案内も出来そうに無いね……よし!! じゃあ元気になる料理、作っちゃおっかな!!」
「……え?」
これはヤバイ。どうする……? 今は動けないぞ? どう止めればいいんだ!?
「まぁまぁまぁ、病人はそこに。さあ、作るよぉ!!」
味は確かに保証できるし、美味いが、それよりも家にある食料が全て料理に使われてしまう。
何故か我が物顔で料理を多く作り、結局は残したり次の日に回したりするのだが、別にそこが問題ではなく、問題となるのは無くなった食料を買いに行かなければならないと言うところだ。
そして俺は人に会うのが苦手だ。だからこそなるべく避けて通りたい訳だが……。
「えっと……フェンリルちゃんとスライムちゃんもちょっと手伝ってくれる?」
「はい!!」
「料理……ですか。興味があります」
レイミアにフェリルとアスロラが取られていった。
そういえば名前を付けたことを話してなかったな。まあそれは別にいいのだが、やはり身体が思うように動かない。それに若干眠気も出てきた。寝て起きたばっかりだと言うのに。妖刀め、許さん。
それよりもあの妖刀と呼ばれる武器は一体なんなんだ。流石に収納している今は特に問題は無さそうだが、それでもこれほどまでになるほどの力を持っている等、初めてだ。
……出すだけならば大丈夫だろうか? 現状、肉体に触れていなければ吸い取られるということは無さそうだ。他にも何か吸い取られる条件がわかるかもしれない。
そう思い、すぐさま出す。
「こんな武器がなぁ……」
すぐに手放すようにしてベットの上に置く。それをただまじまじと同じくしてベットの上で見る。
どれほど見回して見たところで、何一つ変化は起こらなく、身体の疲れが取れることも増えることも無かった。
「何が目的なんだ……?」
じっと見ていたその時、ふと声が漏れる。これじゃあ頭がおかしい人のようだ。
だが、その言葉が妖刀を動かした。
「わっちはぬし様の生命エネルギーをちと吸い取りたいん」
「うぎゃあああ!?」
力の入らないこの肉体を思い切り跳ね飛ばす程には驚いた。
声の発生源は紛れもなくベットの上でただ横倒れになっている妖刀からだ。
「何もそこまで驚くことないんしょう!?」
「あ……ごめん」
心身共に衰弱しているのだろうか。フェンリルが子犬になった時も、巨大スライスがかわいい女の子になったときもそこまで驚かなかったと言うのに……。
「ふむ……ぬし様には大変迷惑をかけんしたね」
何処から声が聞こえてくるんだ……? 口とか無いよな?
「それは……まぁ良いよ、で、何だっけ? そもそもどうして話せるんだ?」
驚きすぎたのか、喋り出した時の台詞が思い出せない。
「わっちの名は楓刃というなんし。して、わっちがこうやって話せる理由を知りとうござんしたね?」
楓刃……喋る妖刀……これだけで見ればかなり異色な物だが。
「ぬし様には特別に、詫びの証としてお教えできることがありんしたらお教えしなければならんでしょう。わっちは魂を刀に喰わした憐れな女、と申せばいいんしょうか」
「つまり、それが本当だとすれば元々は人間だということか?」
頷きもできないその妖刀はそうだと言わんばかりに相槌をする。
「わっちは……己の命が終わりを迎えると悟ったその瞬間に、自らの魂をこの刀に喰わせなんした。それからというもの、長い年月を経て、ぬし様の元に訪れることとなりんしたが。ただ、やはり時代の流れと言うべきでしょうか、まさかぬし様がわっちを喰らうことができるとは思いいなんした」
一体何時の時代の言葉なのか分からないが、かなり昔の人物であるということは間違いなさそうだ。
「喰らった訳では無いが……。まあ答えてくれて感謝するよ……で、何故楓刃さんは俺の生命エネルギー? を吸い取ろうとしたんだ?」
「勝手に吸い取るようになってありんしょう。わっちにもよくは理解しきりんせん。それと、名はまんま、楓刃とお呼びなんし。今やぬし様のものでありんすから」
自分でも理解出来ていないのか。それなら本当にどうしようも無いみたいだ。何かを知れればと思い、行動に移した訳だが、思いの外凄い情報を手に入れたようだな。




