茶色の章(後編の下)
どん底の、どん底と言える所迄、落ちてしまった茶山・・・そんな彼に救いの手を差し伸べようとしたのは、あの男だった・・・。
ホームレスと化した茶山は働く気等は全く無く通行人達から適当に金を要求したり近くの飲食店やコンビニ等から残飯を強引に要求したりして生活をし当然、周囲の者達から疎まれ、そんな彼が住居としている場所を子供達が
「怪物退治だ~!」
等と叫びながらバトロボを使って攻撃して来る等の嫌がらせを行った、それを見ながら茶山は子供の頃に友達と一緒に同じ玩具で遊んだりした楽しかった日々を思い出し
「儂の楽しかった日々を返せ~!」
等と狂った様に叫びながら子供達に迫るが、その子供達の仲間には中高生も居て袋叩きにされる。すると其処を冴えない風貌の1人の男が通り掛かり茶山を庇って暴行を受け子供達は
「や・・・やべ~・・・この、おっさんだったら死んじまうかも・・・」
等と言いながら、その場から立ち去り、その後、この男は茶山に
「大丈夫か・・・?茶山・・・」
と声を掛け、それと同時に、この男が灰川だと気付いた茶山は
「灰川・・・何で・・・儂なんかの為に・・・?儂は、お前を不幸に追い込んだ・・・張本人なんじゃぞ・・・」
と問い、それに対し灰川が
「いや・・・儂が一番、悪かったんじゃ・・・周りが怖かったとは言え不正に従ったりしなければ・・・お前を、こんな目に遭わさずに済んだんじゃ・・・だから一緒に、やり直そ・・・」
と言い掛けた時、茶山は隠し持っていた、あの時の拳銃を取り出し
「誰が・・・こんな手に引っかかるか~!お前が儂への報復を企んでいる事なぞ・・・充分に承知じゃ~!」
と叫びながら灰川に向けて発砲するが灰川は口から血を流しながらも不気味に笑い
「掛かったな~・・・茶山・・・儂は、ず~っと死にたいと思ってた・・・だが只では死なん・・・貴様を後戻り出来ん様に・・・」
と言い掛けて絶命し、その姿を見ながら茶山は
「ワ~ハッハッハッ・・・」
と狂った様に高笑いするのだった。
≪完≫
嘗ては幸福な日々と人間としての優しさを、それぞれ失った茶山と灰川・・・そんな2人は最終的には犯罪の加害者と被害者に・・・