茶色の章(前編の下)
これまでの幸福な人生を一気に失ってしまった茶山は嘗ての友人達を頼るが皆、掌を返した様に冷たく更に衝撃の真実を告げられるのだった。
豪邸と言う程ではないが可成り立派な家で茶山は、これまで両親と共に幸せに暮らしていた・・・が、この家は両親が作った多額の借金の肩代わりをしたヤクザ達に奪われ此処での生活は突然、地獄へと一変した。父=勝兵は刑務所に入れられた為、おらず母=千代子は加齢と共に容姿が衰えた今でもヤクザ達と通じたマニアと呼ばれる部類の者達に息子が逃げ出さない為の人質も兼ねて体を汚される日々を送るが此処でヤクザの配下の不良達に扱き使われる日々を送る茶山は遂に脱走してしまい逃走中に
「やったぜ・・・!奴ら俺が、まさか脱走するなんて思ってないだろうから・・・裏をかいてやったぜ~!」
と心の中で叫ぶが、それは第三者から見れば肉親を見捨てて1人だけ助かろうとした行為であり自分が泳がされている事に気付かず、そして次々と
「開けてくれ~!俺だよ!茶山だよ!頼む!匿ってくれ・・・!」
等と叫びながら嘗ての級友達の自宅を回るが
「茶山だと・・・帰れ!」
等と門前払いされ
「何で~俺達・・・友達だろう!」
等と叫ぶが
「泥棒と友達に、なった覚えはない!」
等と掌を返す形で追い返され
「何で・・・?どいつも・・・こいつも・・・」
等と呟きながら途方に暮れる茶山の姿を嘗ての担任の銅島が見かけ声を掛け様とするが、その茶山の前に嘗ての級友の1人だった石居が冷たく笑いながら現れた事で身を隠し密かに様子を見る事にした。
「石居・・・君・・・俺の前に自分から現れるなんて・・・もしかして・・・?」
と安堵の表情で叫ぶと石居は、このまま冷たく笑いながら
「ああ〜!助けてやる・・・と言うとでも思ったのか・・・ば〜か!」
と叫び唖然とする茶山に
「未だ分からないのか・・・あの時、蹴落とされたのは灰川でなく、お前だったんだよ・・・茶山・・・!」
と叫び、それを聞いた茶山と隠れている銅島は更に唖然とし
「な・・・何で・・・俺達・・・友達じゃ・・・?」
と呟く茶山に石居は
「お前・・・本当に自分が何をやっても許される・・・とでも思っていたのか・・・流石に、あそこ迄、酷過ぎると反感、買うのも当然だろう・・・」
と言い放ち、それに対し茶山が
「じゃあ・・・何で・・・あの時、何も言ってくれなかったんだよ・・・?」
と問い反論するが、それに対し石居は
「お前の様な馬鹿・・・何、言っても無駄だろう・・・それに慢心し過ぎた奴は必ず転落するってのを証明したかったのさ・・・!」
と言い放ち、それに対し茶山は
「やろ~う!ふざけやがって~!」
と叫んで殴り掛かろうとするが石居は、その腕を掴むと、もう片方の腕で茶山を殴り飛ばした後、睨みつけ
「消えろ・・・塵以下の糞が・・・」
と呟き茶山が、その場から逃げ去った後、銅島が石居の前に現れ
「石居君・・・君は何て恐ろしい子なんだ・・・」
と言い放つが、そんな銅島に石居は
「それは貴方も同じでしょう・・・銅島先生・・・いや・・・貴方だけじゃない・・・主任や教頭、更には校長迄、自分たちのエゴの為・・・そしてモンスターである茶山の親らを恐れて立場の弱い灰川を矛先にした・・・」
と返し銅島は、それに対し何も言い返せなかった。
それから、しばらくしてから茶山は灰川の姿を見かけ、それに気付いた灰川が
「茶山・・・君・・・」
と言い掛けた時
「灰川~!皆、てめえのせいだ~!てめ~俺を蹴落とす為、わざと濡れ衣を着たんだろ~う!」
等と八つ当たりを兼ねて言い掛かりをつけながら何発も殴り、それに対し灰川は
「そ・・・そんなの言い掛かりだ・・・逆恨みだ・・・」
等と反論するが、それでも茶山は聞く耳を持たず再び逃亡しようとするがヤクザ達に捕まってしまい連れ戻され獄中の父が首を吊り母が下を噛み切って命を絶ったという事を聞かされ唖然とした後
「ワ~!」
と狂った様に叫び、そんな茶山にヤクザ達は
「分かってるよな・・・お前の生きる道は、もう1つしかねえんだよ・・・」
と呟き追い打ちを掛けた。
そして、その頃、灰川も酒の飲み過ぎが原因で父を失い茶山と同様、天涯孤独となった。
茶山は、その矛先を被害者である筈の灰川に向けるが・・・。