灰色の章(後編の下)
自らの罪を灰川に着せ好き勝手したい放題の茶山は面白半分で、有る事を持ち掛ける・・・だが予想外の展開が・・・
それから、しばらくしてホームルームの時、茶山は皆に
「なあ・・・このままだと灰川の奴も納得してない様だしさ・・・奴にチャンスって言うか良いプレゼントをやろうかと思うんだ・・・!」
等と言いだし級友達が、その事を問うと
「実は今度の体育を除く全教科のテストで総合的に最下位だった奴に新たに卒業迄、給食免除と昼休みの便所掃除の罰を受けて貰おうと思うんだが、どうだろう・・・?」
と提案し、それを聞いた級友達は面白がって
「良いね~!やろ~う!」
等と騒ぎ出し休み時間、特に仲の良い者達から
「良いのか・・・あんな事、言っちゃって・・・?」
と問われると茶山は
「良いの良いの・・・だってさ・・・どうせ最下位は灰川に決まってるじゃん・・・!」
と言い放つ。
そしてテストの日を迎えるが、その日の茶山は、いつも以上に調子が悪く心の中で
「やべ・・・何で、こんな問題が分かんないんだよ・・・もしかして遊び過ぎちゃったのかな・・・?」
等と呟き悩むが同様に灰川も悪戦苦闘している様子を見て
「まさか・・・奴に負ける筈なんて・・・ねえ・・・」
と安心しきっていた。
そして一週間後の結果発表の日、銅島が
「それでは結果発表する・・・総合トップは石居君・・・全部と言う訳ではないが100点が殆どだ・・・!」
等と言った後、級友達は
「さ~すが~!石居君!やっぱ、すげ~や!」
等と騒ぎ、続いて銅島が
「そして・・・残念ながら最下位は・・・」
と言い掛けた時、それを聞いた茶山が
「灰川だろ~う!」
と叫んだ時、銅島の口からは
「君だ・・・茶山君・・・!」
と言う言葉が帰ってきて一瞬、唖然とした茶山は我が耳を疑い
「そ・・・そんな嘘だろう・・・?じゃあ灰川の奴は・・・一体、何点なんだよ・・・証拠を見せろよ・・・!」
等と騒ぎ始め、それを聞いた銅島が
「そんなに言うのなら・・・仕方無いか・・・」
と返却前の物の中から特別に灰川と茶山の答案を皆に見せながら
「今回、私が最も驚いたのは灰川の点数だ・・・何と全て40点、越えている、これは高校なら赤点を逃れているという事だ、それに対し茶山君・・・君、一体どうしたんだ一けたや0点ばかりなんて・・・?」
と問い、その様子・・・見ながら石居は
「やはりな・・・」
と心の中で呟きながら冷たく笑った。そして茶山は震えながら灰川に対し
「分かったぞ・・・!灰川・・・てめえ・・・ズルしたな・・・カンニングか・・・濡れ衣、着た代わりに答えを、こっそり教えて貰ってたんだろう・・・!」
等と言い掛かりをつけながら叫ぶのだった。それに対し灰川は
「言い掛かりも程々にしろ~!」
等と叫ぶが、それに対し石居が
「お前がズルさえしなければ譬え最下位でも給食免除と便所掃除を取りやめにしてやっても良かったんだがな・・・」
と呟き周囲も、それに同意した事で灰川は卒業する迄、この罰を受け続けなければならなくなった。
そして月日は流れ中学卒業後、灰川は高校に行かず(と言うより行けず)この時代では珍しい中卒の自分でも働ける職場として父とは別の印刷工場で働くが、それは途中で乗り換え有りの電車通勤で朝早くから夜遅く迄、働き残業だけでなく休日・祝日の出勤も当たり前で夜間勤務も有りのブラック企業とも言える所で不器用で要領の悪い彼は此処でも良い様に利用され虐めの標的になるが、上の者達は傍観して
「嫌なら・・・何時、辞めても良いんだぞ・・・但し他に、お前の様な奴を、雇ってくれる所が有ればの話だがな・・・」
と言うだけで、そして母が亡くなってから父は酒浸りになっていた。
一方、茶山は高校生活を満喫し不良グループと仲良くなった事で生徒の中に逆らう者はおらず父は、より出世した事で家庭も裕福となった・・・が両親は共に若い愛人を作り不在となる事が多くなった家は何時の間にか友人となった不良達の溜まり場となっていた・・・が茶山は自らが幸福の絶頂に居ると過信していたのだ。
あの事件から数年の月日が流れ相変わらず不運な日々を送り続ける灰川に対し幸運な日々を送る茶山だが・・・。