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灰と茶と!  作者: AKAI
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灰色の章(前編の上)

貧しく根暗だが真面目で優しい灰川消介はいかわ・しょうすけは明るく裕福だが我儘な茶山味噌兵ちゃやま・みそへいから掃除当番を1人だけ押し付けられただけでなく・・・

 時は我々の存在する現実世界よりも未来で、より文明が発展し人々の生活も豊かになり様々な娯楽が盛んになったりした21世紀の後半頃。

 だが何時の時代でも、それらとは無縁の様な人生を送る者達が居るのは同じで、この作品の主人公の1人で10歳の小学5年生の灰川消介はいかわ・しょうすけも、その1人であり色白の瘠せ形で灰色の坊主頭の勉強も運動も苦手な劣等生で家庭的に貧しくテレビや漫画、玩具等と言った様々な娯楽とは縁が無く内気で身体も弱いが新聞配達のバイト等で印刷工場の万年平の工員の父=消一(しょういち病弱だが内職をしている母=屑江(くずえを支えている真面目で優しい心の持ち主だが、級友ら学校中の生徒達だけでなく、その親や教師たちに迄、疎外されている。

 一方、その級友の1人で、もう1人の主人公とも言える茶山味噌兵(ちゃやま・みそへいは褐色の肌に茶髪のイケてる感じの容姿で勉強は苦手だが頭は悪くなく冴え悪戯等が得意でサッカー部の主力選手の1人の明るい人気者で父の勝兵(かっぺいは大手会社の重役で母の千代子(ちよこはPTAの有力者と共に立場的に強く欲しい物は何でも手に入る様な裕福な家庭で我儘に成長した。


 そんな有る日、茶山は人気ホビーの1つでロボット玩具を操作して戦わせる「バトロボ」の新製品の発表会&先行販売等が行われる大手デパート内でのイベントに行こうとしていたが、その日は放課後の掃除当番の1人であり

「あ~!行きてぇ~や~・・・!」

 等と悩むが灰川も同じ当番の1人だと言う事に気付き彼1人に押し付ける案を思いつき、それを他の掃除当番の担当者の者達に話し、それを聞いた他の者達が

「灰川・・・1人に掃除当番を押し付けるって・・・本当に、そんな事が出来んのか・・・?」

「もしかして脅すのか・・・?」

 等と問うと茶山は

「まあ・・・!聞けよ!いいか・・・あの良い子ちゃんは、いつも掃除の時、自分からバケツに水を汲みにいくだろ・・・当番で無い奴らに俺達、当番の者達のカバンとかを先に持ち出して貰って・・・灰川の奴が居ない間にエスケープするって事さ・・・!」

 と答え、それを聞いた他の級友達も

「良いね~!面白そうじゃん・・・やろうぜ~!」

 等と答えホームルームが終了し放課後の掃除の時間になったのと同時に、それを実行に移し校内から無事に出、カバンを受け取り、そのままイベントに向かおうとした時、サッカー部の後輩の4年生の者達に

「あっ!茶山さん・・・!練習は、どうしたんですか・・・?」

 等と呼び止められた他、級友の1人でスポーツ万能の優等生の美形の大病院の院長の息子で皆の尊敬の対象とも言える級長でサッカー部の5年生の主将の石居硬太(いしい・こうたからも

「茶山・・・お前・・・確か今日は掃除当番だった筈じや・・・?」

 と声を掛けられるが、それに対し茶山は

「掃除なら灰川の奴が1人でやるってよ・・・それに・・・ワリー!俺・・・今日、どうしても大事な用事が有るんだ・・・勘弁してちょ!」

 と聞く耳持たず、その場から逃げる様に立ち去り、それを見た石居は

「全く・・・しょうがない奴だな・・・」

等と呟きながらも、その目は冷ややかな物だった。


 一方、灰川は1人で黙々と教室で掃除を続けていたが其処に担任で細身に眼鏡のインテリ風の容姿の中年教師の銅島信(どうしま・しんが入ってきて

「灰川!他の奴らは、どうしたんだ?」

と問うと灰川は

「そ・・・それが僕が水を汲みに行ってる間に皆、居なくなって・・・」

と答え、それを聞いた銅島は

「どうして気を付け無かったんだ・・・馬鹿!」

と怒鳴りつけ

「だって〜・・・」

と呟く灰川に

「だってじゃな〜い!」

と怒鳴りつけた。


その頃、級友らと共にイベントを楽しんでいた茶山は灰川1人に掃除当番を押し付けた事も部の練習をさぼった事も罪悪感を感じずイベントが始まる迄のレストランの食事でカレーを掛けたカツ丼の大盛りと共に注文したジョッキ入りのコーラに自宅から持ち込んだ小瓶に入れた父のウィスキーを、こっそり入れたり欲しいと感じた玩具や漫画等に次々と手を出す等、好き勝手したい放題、贅沢しまくるが、その為、所持金が足りなくなったりした事で一番の目的の品が手に入れられずイラつき捲り

「ち・・・ちくしょう・・・金が・・・金さえあれば・・・」

と悔しがりながら叫ぶのだった。


その翌日、茶山ら昨日、掃除当番をサボった者達と顔を会わせても、その事で一切、咎めたりしようとしない銅島に不満を覚える灰川だがクラス内で給食費の集金が行なわれた時、集金係の級友から貧しい灰川でさえ普段からの節約等で毎月、無理して支払っているのに遅れたり未払いのままでいる事を指摘された茶山はブライドを傷付けられた気持ちになり、この後の体育の授業を

「俺・・・昨日、食い過ぎちゃったみたいで・・・腹が・・・」

と言って抜け出し、こっそりと教室に忍び込んで集金係の級友のバッグの鍵を壊して自分以外の級友達が払った給食費入りの袋を盗み出し、この後、集金係の級友が鍵を壊された自身のバッグの中を見ながら

「な・・・無い・・・どうして・・・?」

等と大騒ぎをする中、それを聞いた茶山は

「そんなの決まってるじゃん・・・盗まれたんだよ!」

と言い放ち他の級友達が問うと灰川に向かって指をさし

「こいつだよ・・・!灰川だよ!」

と言い放ち、それを聞いた灰川は

「ま・・・待ってよ・・・僕に、そんな事、出来る訳ないじゃないか・・・アリバイだってあるし・・・」

と反論し、それに対し茶山は

「いいや・・・!こういう真面目そうな奴に限って怪しいからな・・・!」

と言い放ち、それを聞いた石居も

「確かに・・・それは言えるな・・・!」

と言い放ちクラス内でも発言力の強い彼の意見に周囲も次々と同意し、より不利になった灰川だが

「ち・・・違う・・・僕じゃな〜い!」

と叫び、そんな灰川に茶山は

「そんなに言うなら服・・・脱いで見せろよ・・・」

と無理難題を要求し、それを聞いた灰川は躊躇いながらも自身の無実を証明する為の手段として止むを得ず次々と着ている服を、その場で少しずつ脱ぎ捨て、それを見ながら級友の男児達と女児達は、それぞれ

「骸骨だ~!」

「や~だ~!」

 等と騒ぎ恥ずかしさや情けなさ等で目に涙を浮かべパンツ一丁の姿になった灰川に茶山は追い打ちを掛ける様に

「その・・・邪魔な物も取って貰おうか・・・!」

 等と更なる無理難題を要求し灰川は止むを得ず、その最後の一枚も脱ぎ捨て全裸になり両腕と足を広げたポーズで立ち

「これで僕じゃない事が分かっただろう・・・!」

と言い放ち、その姿を見た級友の男児達と女児達は、それぞれ

「すげ~!骸骨のストリップだ~!」

「や~だ~きも~い!」

 等と騒ぎ、その騒ぎを聞いて教室の外に集った他の生徒達に級友達は灰川を

「給食費泥棒への制裁!」

 と説明し、そんな中、担任の銅島が教室に入り驚きながら

「灰川・・・?何だ、その姿は・・・?」

 等と叫び、それに対し茶山は

「先生・・・こいつは所詮、貧乏人・・・こんな奴が今迄、給食費を払えたのは盗みをやっていたからだという事が今、発覚したんだよ・・・!」

 等と言い放つが、それを聞いた灰川は涙を流しながら

「それは違います・・・僕は・・・いや・・・父さんも、母さんも欲しい物を、いつも我慢していただけでなく・・・休みの日にも何処にも遊びに行かず美味しい食事もしない等・・それ以外の・贅沢を避け続けていたんです・・・本当です・・・信じて下さい・・・!」

 等と叫び、この後のホームルームで級友達は

「給食費泥棒なんかと一緒に給食を食べるのは嫌です!」

「給食費泥棒には罰として本当の事を自白し金を返す迄、連日、昼休みに校内中の便所掃除を、やって貰おう!」

 等と言い放ち、それに対し灰川は

「違う!・・・本当に僕じゃない・・・!」

 等と叫ぶが放課後、銅島の指示に従い校長室に行くと其処には、よく言えば風格が有り悪く言えば狸親父の風貌の校長の金山豪(かなやま・ごう瘠せ形で高い鼻と吊り上がった眼鏡がトレードマークの教頭の銀海鋭(ぎんみ・えい初見の者達はヤクザと間違えそうな容姿の5年生の学年主任の鋼田哲(はがねだ・てつが居て、それぞれ

「灰川君・・・可哀想だが今後のけじめとして君には本当の事を自白し盗んだ金を返す迄、特別に給食を免除するだけでなく昼休みに連日・・・校内中の便所掃除を、やって貰う!」

「それが嫌なら・・・君が・・・自身の悪事を打ち明け金を返せば良いんだよ・・・!」

「それでも自分が本当に無実だと言うのなら、どんな理由が有っても連日、学校に来い!・・・言っておくが早退等も許さんからな・・・分かったか!」

 と反論の隙を与えない様に次々と言い放ち灰川は肩を落として校長室を後にした。



貧しい身でありながら無理して給食費を払い続けた灰川だが裕福な身でありながら未払いを続けた茶山に給食費泥棒の罪を着せられ・・・

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