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あたしはアヒル2  作者: るりまつ
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トンネルのその先へ

 長いトンネルを抜けて間もなく、タケルは右にウインカーを出し、センターラインに寄って停止して、対向車を2台見送った。それからハンドルを右に切り、勢いよくUターンすると、一見、雑草に隠れて右折する場所なんて無いように見えた場所に、国道から細く分岐する砂利道が現れた。そしてタケルの車はそこで止まった。

 その砂利道にはチェーンが掛かっていて、


『私有地』


 と書かれた札が下がっていた。

 タケルは車から降りるとそのチェーンを外し、また急いで車に戻って中へと進み、それからもう一度停車して、さっきのチェーンをきちんと掛け直しに行った。

 そして再び車に戻って来ると、助手席に置いてあったデニムの半パンを掴んで素早く穿き、巻いていた腰布はスルリと外して助手席に投げた。

 それから運転席に座り、サンバイザーに挟んであった濃い色のサングラスを片手で掛けると、ミラーで自分の顔をちょっと確認し、ようやく車を先に進めた。

 そのタケルの一連の行動を見て、アヒルは理由わけもなく緊張し始めた。


 両側を低い崖に挟まれた砂利道は、車が一台ようやく通れるかどうかという狭さだった。

 所によりかなり急に下っていて、空色のワンボックスカーは、時々小さなタイヤを滑らせながら、危うい感じでその坂を降りて行った。

 アヒルは再びしっかりと、助手席の肩を握りしめた。


 途中で、下から登って来るオフロード車が見えたので、タケルは自分の車を左に寄せて道を譲った。

 その車には、明るい色の服を身に付けた女の子が4人乗っていて、タケルを見つけると嬉しそうに手を振ってきた。

 タケルは口元で笑い返し、すれ違いざまにクラクションを鳴らすと、すぐに車を発進させた。

 アヒルは無意識に助手席の陰に身を隠したので、彼女たちはアヒルの存在には気付かなかった。

 

 空色のワンボックスは、ユラユラと洗濯ものを左右に揺らし、崖にそって最後のカーブを、大きく左に曲がろうとしていた。


 カーブを曲がりきるところに、ポツンと木の看板が立っていた。

 アヒルは小さな目を見開いて、その文字を読み取った。




 『 Welcome to the Secret Garden 』




   秘密の花園へ ようこそ




                   




                              


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