交換条件
今度は即答と言うわけにはいかなかった。
「レナちゃんが……そう言ってたの?」
「さっき夕方、彼女がバイト終わって、オレがバイト始まる前にちょこっとだけ会ったんだ。そしたら君がそう言ったって……悲しそうな顔してた」
こいつらホントに……
あたしは『やった』なんて、ひとっことも言ってないんだから!!
「あのね、その前にユウキ君、あたしも訊きたいんだけど、合コンの後から昨日までのことって、タケルさん本人からいつ聞いたの?」
「今朝……9時頃かな。電話して。なんかすっごく眠たそうだったけど、一応全部話してくれたよ」
「じゃあ、ちゃんと事実を聞いたんだよね?なのに、なんでレナちゃんは、あんなふうに海のこととか誤解してるの?」
「俺がレナちゃんに、不必要なことは省略して話したからかなぁ……」
ユウキがサラッと答えるのを聞いて、アヒルは無性に腹が立ってきた。
「あのさ、あたしがマジで具合悪くってヤバかったコトとか、結局、二人で海行ったって言っても、別の場所に放置されてて帰りは一緒じゃなかった事だって、ちゃんとユウキ君知ってるわけでしょ?あたしにしてみれば、そこが一番大事なコトなのに、なんでレナちゃんに、ちゃんと説明してくれなかったの??」
一気に言い切ったアヒルの赤く上気した顔を見て、ユウキはクスッと笑った。
「アヒルちゃんだって、結局、曖昧にしてちゃんと説明しなかったんだろ?それってなんでか自分で分かってるでしょ?……俺と同じだよ。」
そして缶コーヒーを横に置き、両手を後ろに付いて足を大きく投げ出すと、急に真面目な表情になった。
「俺ね、君に感謝してるんだ」
アヒルはユウキの言ってる意味を測りかね、眉根を寄せてその整った横顔を見た。
「アヒルちゃんは、タケルさんが好きなんだろう?」
噴水広場の片隅で、ダンスを終えて息をきらした少年達5人組に、疎らな拍手が送られる。
「俺はレナちゃんが好きだから……だから君は、そのままタケルさんと寝たってコトにしといて欲しい」
後ろの方で、フォークギターと下手くそなハーモニカのセッションが始まった。
「そしたら俺、君に全面的に協力するよ。もし君が、タケルさんのことで知りたいことがあるなら俺の知る限り、なんでも教えてあげる」
ガーーーーーーーーーッ … カタッ!!
ガーーーーーーーーッ
ガーーーーーーーーッ
ガーーーーーーーーッ カタンッ…




